教師の力量をはかる公式
教師の力量を、この記事では、生徒への対応力と定義する。生徒を正しい成長へと導くことができる力を指す。
以下の公式が成り立つ
■手札の多さ
手札とは、生徒にどのようなフレーズを使って言葉がけをするか、どのように根回しをするか、どのようなタイミングや場所で指導にあたるかの指導のバリエーションの数のことである。
トライ&エラーで成功体験と失敗体験を積み、血肉となるような経験から得た手札は後の教員人生で有効なカードとなる。
当然の話だが、初任者は 手札にカードがほとんど ない。だから初任者は先輩の技を自分から盗みにいき、自分でガンガン実践していく姿勢が求められる。
教壇に立つ以上、手札は一生を通して新しく追加したり、逆に封印したりしないといけない。僕は「SNS指導のカード」を時代とともに追加した。「体罰」のカードは封印しないといけない。時代とともにカードをアップデートしていくことが教師の力量を上げる根幹となる。
手札は、他の教員の生徒指導を見聞きしたり、一緒に指導を行ったり、書籍を読んだり、先輩からアドバイスをもらったりして、追加していくことができる。個人的には、指導がうまい先生と一緒に行うのが一番勉強になると思う。
インプットしただけの手札は、使える手札のうちにカウントされない。実際に手札のカードを使ってみて(アウトプットしてみて)、はじめて、自分の使えるカードにカウントされるのである。
僕自身、過去に暴れている生徒を制止するために、腕をつかんで生徒の腕にあざをつくってしまったことがあった。暴れて飛び出してしまう危険があったため制止したのだが、その行為が逆に保護者に詰められる展開になり、悔しい思いをしたのは、今でも忘れない。
そのときに追加したカードは「暴れている生徒を制止するためには、腕ではなく、服をつかむこと」である。これは書籍では学べないことだ。
やはり、自分の体験から得たカードは一生の財産となる。
■カードを選ぶ力
生徒を正しい成長へと導くために「今、どのカードを使うべきか」という判断力も教師の力量の根幹となる。
指導方法にバリエーションがあったとしても、タイミングや使うフレーズを間違えると効果が薄くなったり、場合によっては逆効果になったりする。
切るカードを選ぶ力は、センスともいえる。
このセンスは、同僚の先生に相談して磨かれる。
指導に迷いがある場合、相談した方がいい。
「〇〇の事案ですが、△△の流れでいこうと思います。大丈夫ですかね。」と同僚の先生に尋ねてみるのだ。
「△△の流れだと××ということが懸念される。△△の前に■■をしよう」など、別のカードを切った方が良いとアドバイスをもらい、指導においての視野の広さを学べることができる
▼この場合どうする?
同僚に報告する
クラスメイトに事実を伝える
Aさんの気持ちと話しを聴く
保護者に連絡をする(電話 or 家庭訪問 or 本人と一緒に)
どのカードをどの順番で切るかが大切。
保護者に言わない
生徒には、保護者には言わないよと言うが、保護者と電話で話す
生徒には、あったことは保護者に言うといって、保護者と電話で話す
保護者に来校してもらう
Bさんの思いや精神状態によって使うカードを選ぶ必要がある。
▼指導にあたった先生の感覚を優先させる
生徒指導に当たっていない先生が「この事案は〇〇方がいい」と指導の方向性を決めることもあるが、これは一長一短である。
利点は、視野の広さを得ることができること。
欠点は、指導の方向性を決める教師がその生徒の話を直接聞いていないため(指導にあたった教師のまた聴きであるため)的をはずれた指導の方向になってしまう可能性があることだ。
指導にあたる教師が内心、「ほんとは、あまりしたくないんだけど・・・」と思いながら行う指導は間違いなく失敗する。
指導の方向で迷ったときや、職員で意見が分かれたときは、指導にあたった先生の感覚を優先させる職員集団の風土が大切だと思う。
■教師の力量は高められる
仕事を続けていく上で、いくつになっても勉強と実践は必須だと思う。授業で毎年過去のプリントを使い、同じ教え方をするのではなく、新しい手法を取り入れていくことが大切だ。
手札を増やして、それを実践をする。実践することで成功と失敗の経験を得ることができる。その経験は「今これを言うと、生徒はこうなる」という予知能力みたいなものともいえる。これをカードを選ぶ力という。
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