伝え方の裏技 4つ【教員】
驚いた。夏場の体育館が涼しかったのだ。
僕はトライやるウイークの仕事を担当しており、その概要について、先日 学年集会の場で生徒200人に向けて話した。
学年集会は体育館で行われる。
この時期の体育館は蒸し暑いので、正直言うと生徒は学年集会は嫌なのだ。(体操座りも考えものだが、ここでは触れないでおく)
だが、体育館は涼しかった。朝の7:30に学年主任が体育館に風を送り込み、クーラーで冷やしてくれていたからだ。
空間が暑いと、話し手がどんなに上手に伝えても内容は聞き手に伝わりにくい。僕のする話を最大限生徒に浸透できるように、学年の主任が下ごしらえしてくれたのだ。
■話術だけじゃないんだよ。
人に何かを伝えるためには、話し方の技術が必要です。
ただ、伝わり方を考えれば、技術ではない部分にこだわる重要性が見えてきます。
伝わり方を最大限高めていくための 話術以外の裏技をこの記事に書きました。
■心地よい温度にする
暑いときはクーラーをいれて温度調節しておく。クーラーがない体育館なら学年集会をする場所を教室(クーラーあり)にして、teamsを使ってリモートで話す。
しかし、話しの中身が 心に刺したい道徳的な内容であれば teams は得策ではない。話し手の熱量が伝わらないからである。事務的な連絡ならばteamsでもかまわない。
寒いときは、暖房をつけて空間をあたためておく。暖房器具を生徒の視界に入る位置においておくと、気持ちだけでもあたたまる。また、あらかじめ防寒具をもってくるように指示を出しておく。
冬場の体育館で行われる講師を呼んでの2時間講習などは、寒い寒い。講師の方の話が生徒たちにスッと入るように、温度の下ごしらえしておくのは、教員の仕事である。
■壁に背をむけて話す
部活動のミーティング時を例にする。
上の図のように壁に背を向けて話す方が伝わる。
生徒目線に立ってみよう。生徒が見るものは、先生と、その奥の動かぬ壁である。故に生徒の集中は教師にのみ絞られる。
逆に壁に背を向けずに話すと、話は伝わりにくい。
生徒は先生を見ているフリをして、その奥の景色をみているのだ。
奥の景色は動く。グラウンドが近い場所では、人が通ったり、野球部の顧問がノックをしていたり、陸上部が走っていたりなど、動くものに注意が行き、先生の話を選択して聞くことが困難になる。
練習試合の際の他校の敷地内でのミーティング、野外で生徒に向けて話す場面において、教師は、「自分がどこの位置からしゃべり、どこに生徒を座らせるか」を考えて指示を出すことだ。これは、かなり伝わり方の効果を左右する。
■音は遮断する、できないなら話さない。
あたりまえだが、伝えたい話をする際には、静かな方がいい。その部屋のドアを閉めて話そう。となりのクラスの生徒の笑い声が聞こえてくると、教師の真剣な話は台無しになる。
生徒の心に刺したい切れ味のある話ができるチャンスは1回だけである。
その1回を騒音の中で話し始めるのは、あまりにももったいない。
騒音の中で話すと伝えたい内容が無駄弾化してしまう。
だから、音が遮断できない場所なら、真剣な話はしないと決め、別の機会を準備する方が良い。
ちなみに、僕は伝えたい話をする際は、必ず窓も閉める。確率はかなり低いが、教室に虫が入ってきたら、教室の空気がパニックに乗じたお祭りムードに切り替わってしまう。神経質すぎるかもしれないが、そういう未来を詰んでおきたいのだ。
■心が動いているときに話す
合唱コンクールの練習時間に、下級生のクラスが上級生のクラスの合唱を見に行くことがある。
練習期間内では、本来 クラス内でパートに分かれて練習をするのだが、練習の手をとめて、先輩たちの合唱を見学して学ぼうという魂胆である。案の定先輩たちの声量やまとまりを肌で感じ、下級生のクラスメイトたちは先輩の合唱の凄さに圧倒されるのだ。
さて、先輩の合唱を見終わったが、まだ練習時間がある。下級生のクラスの担任として、あなたは次にA,Bどちらの指示を出すか。
これはBの方がいい。なぜなら、生徒は先輩の合唱を見て 圧倒され、心が動いたが、1秒1秒 経つごとに、その心の動きは静まってくるからである。
極端に言うと、時間が経てば経つほど、感動を忘れていくのだ。
十中八九 振り返りの時間に担任やクラスメイトから、"先輩のすごさ " と "自分たちはこうしよう"の話題がでてくる。
先輩の合唱で心が動いている旬なタイミングに、その話題を出した方が、生徒に浸透することは目に見えている。
焦って、「練習しないと!」と急ぐよりも振り返りを行い、生徒の心に火をつける方が長い目でみたときに良い合唱ができるようになる。
■伝え方よりも伝わり方
授業内容、道徳的な内容、事務的な内容など、伝えることにこだわりを持って仕事をしていこう。
キーになるのは話術だが、話術がすべてではない。
伝わる環境にもこだわっていくのがプロだと思う。
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