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「聞き上手」な先輩が、「これは嘘の“聞き上手"だよ」と言った話

わたしには、とっても聞き上手な先輩がいる。

先輩というか、もはやわたしにインタビューライターの基礎を叩き込んでくれた「師匠」のような人だ。

わたしは先輩の背中を見ながら「人の話を聞くとは何ぞや」を学んだ気がする。

その人と話していたとき、「自分はもともと聞き上手じゃないから、『聞き上手』って言われても、嘘だーーーー!と思っちゃうんだよね」と言っていたのが印象的だった。

先天的な「聞き上手」と後天的な「聞き上手」。生まれつきのイケメンと大学デビューの違いのようなものなのかな。

わたしにしてみれば、遅かれ早かれデビューしただけよくね???

と思ってしまうけど、たしかに自分にも心当たりがあった。

たとえば、わたしは人見知りコミュ障なのに、インタビューライターになってからはある程度会話ができるようになってしまったので、「人見知りなんです」と言っても「嘘だ!」と言われることが増えた。

別に嘘じゃないんだけどな〜と思いつつ、「後天的に身につけたものを、あたかも先天的なもののように囚われることへの違和感」があった。

そのモヤモヤの正体を考えてみると、もしかしてもしかすると、努力をなきものにされるものが嫌なんじゃないか…⁉︎

もともと聞き上手だったわけじゃない。それなのに、努力を重ねた末に聞き上手になってしまったがゆえに、その努力をすっ飛ばされて「聞き上手だね!」と言われてしまう。それがもどかしいんじゃないか。

わたしの応援しているアイドルグループ、モーニング娘。さんのなかにも、何でもかんでも器用にこなしているため、「褒められたことがほとんどない」というメンバーがいるけど、ちょっと不憫に感じてしまう。

ヘタクソなところから努力を重ねたメンバーばかりが褒められる。彼女の歌もダンスも先天的なものではないのに。

そもそも、先天的なものってどこまであるんだろうか。

だって、生まれたときから聞き上手な人なんて聞いたことがない。

みんな無意識なだけで、人と関わったり会話を重ねたりしているうちに、何かしらの「聞き方」を会得していっているはずなのだ。

努力したんだかしてないんだか、それはその人が自覚しているかによって変わってくるけれど、少なくとも最終的に相手の目に映るものは、先天的な人のそれと、遜色ないはずだ。

だから、「褒められたけど嘘っぱちだから」なんて思わずに、素直に受け止めてもいいんじゃかなろうが。

先天的だろうが後天的だろうが、現に今、自分はできているのだから、自分の自信に変えてあげてほしい。

少なくとも、わたしが背中を追いかけた先輩は、自身がどう思っていようが、わたしにとっては「聞き上手」だ。それが先天的なものじゃなくてもいい。

むしろ、先天的じゃないからこそ素晴らしい。

わたしも努力したら、彼のようになれるんじゃないかと思えるから。

努力をすれば、嘘は本当になっていく。わたしもどんどん「本当」を更新していきたい。

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