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私の人生初めての“推し”が卒業した。

わたしは知らなかった。推し活がこんなに幸せだったなんて。

2022年12月10日、わたしの推しであるモーニング娘。'22の加賀楓さんが卒業された。

公式サイトより

爆イケなビジュアル、爆イケなダンス、爆イケな歌唱…なのに赤ちゃんのようなピュアな性格に、まっすぐでストイックなマインド。

抜群のビジュアルとスキルを持ちながらも媚びることはなく、グイグイ自分をアピールするタイプでもない。さっぱりとしているのに、パフォーマンスに対する情熱は計り知れず、ダンスも歌も魅せ方も粛々と磨きつづける。

「こんな子がアイドルをやっているなんて奇跡なのでは?」と思うほど不思議な魅力を持つ子だった。

楓ちゃんのことを知れば知るほど、どんどん夢中になっていった。

ここまでアイドルにどっぷりとハマるのは初めてのことだったので、自分でもびっくりした。

もともと声優の田村ゆかりさんのことはずっと推していたけど、どちらかといえば「憧れ」「尊敬」の念が強いので、このたび新たに「見守りたい」「健やかに生きてほしい」「おいしいごはんを食べてもらいたい」という謎感情が生まれ、大変戸惑った。

この気持ちはなんだろう? 恋のような母性のような不思議な感情である。

とはいえ、わたしは基本的に在宅ヲタク。

DVDを観たり、YouTubeを観たり、ツアーが始まったら千秋楽に行くぐらい…のはずだったのだが、卒業が発表されたことで「今時間と金を使わないでどうするん!!??バカなん!?」と慌てて日程を調べてチケットを申し込みまくった。

25周年イベント、バースデーイベント、座間ホールでのライブ、北海道でのライブ、武道館ライブ、インターネットサイン会、オンラインお話し会…

極めつけには楓ちゃんが観光大使を務める加賀温泉郷のスペシャル宿泊プランにまで申し込んだ。

そんなわたしに対して、先輩ハロヲタたちは「絶対に行けるだけ行ったほうがいい!」と背中を押してくれた。

激戦だった卒業公演のチケットも、落選したわたしの代わりに勝ち取ってくれた。後悔先に立たずだから、と。

ライブのチケットは決して安くない。8500円ぐらいする。さらに遠征すると考えるとチケット以上の交通費や宿泊費もかかる。

でも、これがめちゃくちゃ幸せな課金なのだ。

ライブ中、バチバチにかっこいいパフォーマンスを見せる楓ちゃんを観ながら、こうして同じ空間で同じ時間を過ごしていることがとても不思議に感じる。ただの奇跡じゃねぇかと。

これを8500円で観させていただけるのだから安いもんだ、とすら思えてくる。

お話し会なんかは3000円の課金で25秒間も楓ちゃんとお話ができるのだが、「楓ちゃんの貴重な1秒が100円なのは安すぎんか???」と思いながらもちろん買った。

しかし、もはやその時間をわたしに使わせるのすら申し訳なくて、トーク内容に散々悩んだ挙句つまらんトークしかできなくて落ち込んだ。

挙句の果てに、楓ちゃんもわたしばかりじゃなく、もっとたくさんのヲタクと話したほうが絶対にええ!と、ほかのヲタクたちにお譲りするまでした。この訳わからんシェアハピマインドはヲタクならではかもしれない。

微々たるものかもしれないが、わたしの課金で楓ちゃんがおいしいものを食べられたり、素敵な衣装が着られたり、邪魔かもわからんけどファンの想いが何かの糧になってくれていたら嬉しい。

そこに「リターンがほしい」という気持ちは全然ない。

推し活とは圧倒的にギブな行為なのである。

っていうかすでに「存在している」だけでヲタクたちはギブされているようなものなので、リターンなんて求めるもんじゃない。

わたしの友だちにLDH(EXILEなどのグループの事務所)を推している子がいるのだが、ツアーを全通(全箇所まわること)する様子を見ていて「そんなにお金と時間をかけてすごいなぁ…」と思っていた。

まさか自分がそっちに行くことになろうとは思ってもみなかった。

「推し活」、ましてや二次元ならともかく、三次元の「いつかはいなくなってしまうかもしれない人」を好きになるなんて辛すぎる、儚すぎる、絶対にイヤだ!と思っていた。

でも、「人を好きになる」というのはある種抗えないことで、気付けば想いが膨れ上がり、大好きになってしまっていた。

仕事の合間や寝る前に動画を観て感動の涙を流したり、ごはんを食べながらインターネットサイン会を観てニコニコしたり、コンサートでひたすらに姿を追いかけたり、コンサート後にTwitterで名前をサーチして「わかるぅ!」なコメントを見つけて嬉しくなったり。

そんな日々、とても幸せでいっぱいだった。「わたしの推し、世界一素敵でしょ」って毎日毎日思っていた。

だからこそ、卒業は本当に寂しい。もちろん応援したいけど寂しい。

わたし自身、卒業の実感が持てず、どこか夢心地のまま卒業コンサートに参加して、真っ赤なサイリウムに包まれながらバチバチにキメる楓ちゃんを観ていた。

楓ちゃんのデビュー曲「BRAND NEW MORNING」のなかに、こんな歌詞がある。

ねぇ なんにも持たざる私に何が出来るの?
ねぇ なんにも失うもの無い今の君は
「誰よりも最強」

楓ちゃんは、中学生でハロプロに入り、デビューするまでに4年もの歳月がかかった。思春期の女の子にとって、途方もなく長い時間。

さすがに高校2年生になったとき、マネージャーさんに辞めるかどうかを相談したという。でも、それを乗り越えた先にデビューを掴んだ。

あれから5年の月日が流れた今、自信に満ち溢れた笑顔で「誰よりも最強!」と高らかに歌い上げる姿を見て、なんかもうめちゃくちゃに泣いた。

モーニング娘。でたくさんの経験をして、あれだけ入りたかったモーニング娘。を手放してまで、やりたいことを見つけた。もう、失うものなんか、何もないんだよねぇって。

「できるだけパフォーマンスを観せたいから」とMCを極限までカットして、悲しいお別れの言葉もなく、この日のために磨き上げた最高のパフォーマンスを披露して軽やかに去っていく。「完璧な卒コンにしたい」という言葉通りの完璧な卒コンだった。

楓ちゃんはこれから、ダンスをもっと突き詰めるために新たな道へと進む。

もうすでにこんなにダンスがうまくて振り付けだってできるけど、やるなら本格的にやる! ってところが、ストイックな加賀楓という感じがする。

正直、「アイドルをやっていたことが奇跡」というほどの子なので、これから表舞台に出てくるかどうかわからない。

楓ちゃんの最後の曲のラストは、何度も何度も同じ曲が繰り返される仕様になっている。

それは、つんくさんからの「これからもずっと踊り続けるんだよ!」ってメッセージなのかもしれないし、ファンの「この夢のような時間が終わらなければいいのに」という想いが具現化されているのかもしれない。

誰よりも最強な楓ちゃん。

いちヲタクがこんなことを言うのは大変烏滸がましいかもしれないけど、願わくば、楓ちゃんがこれからも幸せでありますように。

あなたを推せて幸せでした。




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