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何かをする”理由”が必要なら、無理矢理でも”理由”を作ってみる

よく「意外だ」と言われるけど、新卒のとき、わたしは営業をやっていた。

可愛らしい雑貨メーカーの営業で、そもそも雑貨自体がキュートなのであまりゴリゴリの営業をしなくても売れた。今思えば理想的な会社である。ゴリゴリ営業しないと買ってもらえないようなプロダクトを売るのは良くない。

そんな営業のお仕事は大きく分けて3つあった。

ひとつは、自分の担当している店舗や営業先をまわること。売れゆきをチェックしたり、自分たちの商品が綺麗に見えるように棚づくりをしたり、足りないものを受注したりする。

もうひとつは、マーケティング。営業先に売れている商品の情報や、今後ほしいと思っている商品をヒアリングしたり、雑貨店をまわってトレンドをチェックしたりする。

そして最後に、新規開拓とフォロー。展示会で接客をしたり、営業まわりで知らない雑貨屋さんを見つけたらカタログを届けにいったり、最近あまり注文がないようなお店に電話をかけたりする。

わたしは出不精だったので、できるだけ外に出る日程を少なくするべく、メールマガジンを作ってオススメの商品をプッシュしたり、在庫表をFAXしたり、まわるときは1日に5軒もの営業先をギュッと詰め込んでうまくやりくりしていた。

とはいえ、何か理由があって営業先に行くのは良いが、理由がないときはすごく困っていた。新しい商品が出たときや、先方が欲しがっていた商品が入荷したときは行きやすいし、相手も喜んでくれるけど、理由もないのに行くのはなんだか気が引けたのだ。

そんなときに活用していたのが、「ポップ」である。

ポップとは、商品の棚につける小さいカードのようなもので、うちにはデザイナーさんが作ってくれたポップと、それをラミネートする機械と、裁断する機械があった。

わたしはいつもこのポップを大量にストックし、つねに持ち歩くようにしていた。営業をする理由を作っていたのである。ふらふらと現れると「何しに来たん?」と思われるが、このポップさえ携えておけば、「ポップを届けに来た人」になれるのだ。

そんな会社は1年半で辞めてしまい、あれからわたしは一切営業をすることなく、のうのうとフリーランスをやってきたのだが、なんとまた再びポップを手にする日がやってきた。

本を出版してからは、書店を見かけては立ち寄って自分の本が陳列されているかどうかをチェックするのがルーティンのひとつになっていた。しかし、一度として書店員さんに話しかけることはなかった。

「わたし、この本の著者なんですよ!」

と声をかけたところで「はぁ、そうなんですか」という話である。当たり前だがすべての本には著者がいるし、きっと他にも色紙を持った漫画家さんや著者さんが毎日のように訪れているはずだからさほど珍しいことでもない。

でも、ある日書店員のフォロワーさんから「全然話しかけてください〜!」と言われたので、わたしは頭を抱えた。いやだから、何をどう話しかけたらいいのよ…!

そこで思い出したのが件のポップである。

そうだ。あの神器があればいけるかもしれない。

早速編集さんに連絡し、20枚ほどのポップを送ってもらった。それを携えて、早速いつもジムに行くたびに通りかかっている地元の本屋さんへ突撃してみる。

たかがポップ、されどポップ。理由があるだけで、わたしは書店員さんと普通に話すことができたのである。

理由がないなら理由を作る。たったそれだけのことが勇気となり、背中を押してくれることもあるかもしれない。

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