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偶然で生きてくのもいい『みゃーこ湯のトタンくん』
2021年12月に発売されたスケラッコさんの『みゃーこ湯のトタンくん』。ネコの街で銭湯「みゃーこ湯」を営むトタンくんと、そこではたらく唯一の人間・ハラさん、そして銭湯にやってくるお客たち(すべてネコ)の日常を描いた漫画だ。
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本作は、ネコしかいない世界であることや人間がひとりそこに迷い込んでしまったことについて、あまり深く言及しない。
丁寧に描かれるのは、銭湯の楽しみ方やしくみ、掃除や湯沸かしの方法、そして町の人びと(猫ねこ)にとって銭湯がどういう場なのかということ。ハラさんは、毎日の仕事のなかでそれらを身につけていく。
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すぐに読んでしまった
最後の方ですきなシーンがある。そこに見えたのは、偶然に出会った人や場所によって、次にやることや行き先が決まっていくような人生のあり方だ。
目指すべきところを見つけ一心不乱に向かっていく生き方もすばらしい。が、なんとなく居合わせた人やもの、場所を知らずのうちに愛しちゃってそこにいる……みたいな人生っていうのも、すごくいいではないか。流されてしまった船が財宝の眠る島に漂着するように、思わぬ宝物を見つけられそうな気がする。
やりたいことがないとか何かをあきらめたとか、なんかちょっと虚しさを感じたときにその辺を散歩したり銭湯へ出かけたりするのは、実は案外、悪くない人生に直結する行動なのかもしれない。
本作に限らず、スケラッコさんの漫画では「犬や猫がしゃべる」などの不思議をなぜか違和感なく受け入れてしまう。それと同時に、これまで当たり前だったことは改めて違和感をもって凝視してみたくなってしまう。私がスケラッコさんの漫画ですきなのはそういうところなのだろう。
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いずれも手書きのミシマ社らしさ
ちなみに「みゃーこ湯」は、滋賀県大津市の膳所駅にある「都湯(みやこゆ)」という実在の銭湯をモデルにしているという。調べてみるとめちゃくちゃいい銭湯……行きたい場所がまた増えた!
『みゃーこ湯のトタンくん』は、Twitterのスケラッコさんのアカウントで第1話を試し読みできます。ぜひー!
猫の日ということで…🐱
— スケラッコ (@sukeracko) February 22, 2022
「ネコが人を拾って、
一緒に銭湯ではたらく話 」
その① pic.twitter.com/Jb2PqSYQiv
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