Ignaz Lachner イグナツ・ラハナーを聴く。(1)

こんにちは。
今回からIgnaz Lachner イグナツ・ラハナーの音楽を、
8回にわけて連載でご紹介したいと思います。
心穏やかなひとときを過ごしていただけると嬉しいです。

作曲家と曲紹介は、こちらのサイトを参考にしています。
室内楽の楽譜に力を注いでいらっしゃるシルバートラストさんのサイトです。
http://www.editionsilvertrust.com/catalogue-works-in-progress.htm

Ignaz Lachner (1807-1895)

イグナツ・ラハナーは、三人兄弟の真ん中で育ち、
一番良く知られているお兄さんのフランツは、
シューベルトの親友でもあったので、シューベルトの音楽にも詳しかったそうです。
イグナツ自身は、オルガン、ピアノ、ヴァイオリンを習い、
とても上手だったそうですが、父親から教師になることをすすめられていたようです。

父親が亡くなった後、彼は、ヴァイオリンの名手である、
ヴィルヘルム・ベルンハルト・モーリック(Wilhelm Bernhard Molique)とともに、
ヴァイオリンを習い、それから、ウィーンでフランツの音楽仲間に加わって、
(シューベルトの影響はもちろん言うまでも無く、)
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの影響を受けたそうです。

主に指揮者として活躍しましたが、
かなり多くの曲を作曲し、大部分は室内楽の曲でした。
彼の音楽の特徴は、「古典派 ー ロマン派」です。

それでは、こちらをお聴きください。

「Piano Trio No.1 in B flat Major, Op.37 for Piano, Violin & Viola
 ヴァイオリン、ヴィオラ、ピアノの編成によるピアノ三重奏曲 第一番 変ロ長調、作品37」

Stefan Muhmenthaler, Violin
Anna Barbara Dütschler, Viola
Marc Pantillon, Piano

この曲は、この楽器編成でラハナーが作曲した最初のピアノ三重奏で、
室内楽の評論家で有名なヴィルヘルム・アルトマンは、
この編成を「無くてはならない」と評しています。

ピアノ三重奏と言えば、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの編成が、
今となっては一般的ですが、ラハナーはチェロの代わりにヴィオラを選んでいます。

その動機は詳しくわかっていないそうですが、
おそらく、ヴィオラの愛好家から依頼があったのではないかとか、
彼自身がこのアンサンブルで作られる響きの光を好んでいたのかも、と言う説があるようです。

この曲全体を通して、
素晴らしいシューベルトのメロディを感じます。
第一楽章のアレグロ モデラートは、
ベートーヴェンのメロディから始まり、
ピアノに応えるように弦が展開し、
とても独創的で印象的です。
2番目のメロディは、とてもラブリーなシューベルトのリートです。

第二楽章の ‎アンダンテ コン モートは、
弦のシンプルでナイーヴなトーンで始まりますが、
すぐに突然、ワイルドなシンコペイテッド・ダンスに変わり、
新鮮で、とっても独創的です。

その後に続く、力強いスケルツォに、
シューベルトとベートーヴェンのメロディが混ざった印象を受けます。

素敵な三重奏は、素晴らしいコントラストを生み出し、
ラハナーがエクセレントに仕上げたモーツァルトのメロディと、
綿密な最初のテーマが聴こえ、素晴らしい作品です。

親密な雰囲気が、とても心地よいなあと、思いました。

それでは、
Ignaz Lachner イグナツ・ラハナーを聴く。(2)に、続きます。


最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。 これからもよろしくお願いいたします。