いつか、最後の恋を。-episodeⅠ-
特に何があったというわけじゃないけれど、思い通りに生きれない、悪夢のような散々な日々だった。人生における数少ない美しい思い出は、若さによるまやかしか、あるいは独りよがりの妄想の中にしかなかった。
初恋の人はテレビの向こう側のスターで、いい年した大人になってもずっと彼のことが忘れられなかった。将来彼と結婚するんだ、なんて子供らしい夢は見なかったが、彼に恋する前の自分にはどうしても戻れなくて、それ以降、私はこの恋を抜きに本当の自分を語る術を失った。
それは、他の誰に恋をしても