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李家に生まれて 閑話休題①

私個人の体験というより、ちょっと俯瞰して環境や文化について一つ。

両親が台湾人だからと言って何が違うのか
言葉以外具体的にそのギャップを伝えるのはなかなか難しい。
というか、自分からこの違いを話すことに抵抗があったとも言える。

一番の大きな違いは宗教だ。
台湾では旧暦の1日と15日にお祈りをする。

幼いころ、家には神棚というものはなかったが、
この両日に金紙と呼ばれる紙(あの世でお金になる)を燃やしていた。
集合住宅に住んでいるので、炎や煙をできる限り
目立たないように工夫していたが、それでも子供心に
こりゃ日本の社会ではアウトじゃね?と思っていた。
幸い訴えられたことはないけれど。

私が中学から高校のいわゆる多感な思春期に、
なぜか両親は神様という存在を身近にし始めた。
はじめは自分が神様だという方と父が兄弟の契りを交わしたり、
その方から龍の絵をいただいたり、
その方たちが台湾で行う祭事に参加したり、
さらに父は古の宗教文学に興味を持ち理を勉強したり、
しまいには、家には立派な祭壇ができあがっていた。

神様を日本に連れてくるには手軽に飛行機の預け荷物に
ぽーんととはいかないもので(当たり前)
一人が必ず一ご神体を大事に手元に持つ。
サイズとしては昔のブラウン管テレビ8型くらいかなあ、知らんけど。

台湾の一般家庭にもこのくらいの祭壇はあるが、
わざわざなぜ日本に?と私は疑問でしかなかった。
今思えば、そのころの両親はいろいろと
神様に頼りたい精神状態だったのかもしれない。

祭壇には、真ん中に関羽様、右に観音様、左に月下老人様。

我が家は日々祈りをささげているのだ。

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