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自信がなくても「やります!」と言ったほうがうまくいく理由

イベント企画を手伝ったときに気付いたのです。参加から運営に立場が変わったら、今まで見ていたはずの対象から新たな気づきや発見が得られたことに。経緯は説明するとこんな感じになります。

  • 企画する側として、多くのイベントに参加した

  • 企画視点で見ると、参加者の時には気に留めなかったことに目がいく

  • イベント運営の動きや情報発信のすすめ方など、新たな気づきを得た

不思議なことに、立場が変わるだけで今まで全く気にも留めてなかった内容に意識が向かっているということです。また同じ情報を見ていても人によって得られる対象理解はバラバラだろうなと。

つまり理解内容が前提条件によって劇的に変わっているぞと、そんなことに気づきました。

これって「自分の見たいものしか見てない」ということになんだろうなと思ってしまったわけですね。そうなるとモデリング観点としては、その「見たいと思わせる構成要素」が気になります。

もし構成要素がわかれば、自分が理解したい内容をコントロールできるかもしれないという期待に結構ワクワクしながら、モデリングしてみました。


「カラーバス効果」という現象

まずこの「自分の見たいものしか情報が入ってこない」という状況は、心理学で「カラーバス効果」呼ばれる現象のようです。命名される現象だけあるので、多くの人が経験していることになります。

こちらの記事にかかれているように、カラーバス効果とは色(Color)を浴びる(Bath)ですが、別に色に限定しているわけではなく特定のものを意識すると自然とそれに関連する情報に目に入りやすくなるようです。音だと「カクテルパーティー効果」が近い現象になります。

これと似たものがハーバード大で行われた実験です。バスケットボールを投げあっている中で「何回パスをしたか数えてください」といわれてビデオを見たあとにいくつか質問が出てきます。

多くの人は、その時にパス回しの回数は数えられても、その文脈以外の問にはうまく答えられないのです。でもビデオを見ると誰でも分かるくらいに簡単な問題となります。

これは見方を変えると、人間の認知能力には限界があるので同じ解像度で対象のすべてを認知できないということです。カメラで被写体を撮ると個人差が出る状態に近いのではないでしょうか。

眼の前に被写体がいれば常にピントを合わせられる状態ですが、そこからシャッターを切るとフォーカスが固定されます。この固定されたフォーカスポイントがいわゆる理解したい内容の差分です。

自分の情報アンテナは何に影響を受けている?

「これを見たい」や「これが気になる」というカラーバス効果は、認知バイアスがかかっている状態です。

自分の情報アンテナが特定方向にどうやってフォーカスされるのでしょうか。

意識なので、私たち一人ひとりの価値観、興味、期待値などによって生み出されています。この意識を作る構成要素を含めて、各々の理解に差が生じる状況をモデリングしてみました。

対象理解のPRePモデリング

作ってみるとシンプルなモデリングですが、下記がポイントになります。

  • 同じ対象を見ても理解が違うのは視点が違うから。

  • 視点が違うのは意識と視座が違うから。

  • 意識は役割と立場により構成される。

なお、モデリングの見方はこちらの記事をごらんください。

今回はシンプルなので重要な構成要素は「意識」だとわかります。そうなると認知バイアスをもたらす根本原因は「役割」や「立場」となりました。途中にある「意識」は点線で無実体要素であるため属人的になりがちでコントロールが難しいものですが、役割や立場は実線の実体要素なのでコントロールが可能です。

対象理解の差分を生む根本原因は「役割」と「立場」

モデリングして面白いなと思ったのが、自分の情報アンテナの方向性を決定づける根本原因になっているのが、自分の内部的要因よりも周囲から見られる立場や期待される役割といった外部要因が大きいのではないかなということです。また立場と役割は実体がある再現性とコントロール可能な要素となります。

実力がなくても「やります!」と言えば、道が拓けていく

今回の結果から自分が見たいという意識は、自分が対外的に認知される立場と役割であることがわかりました。

これは名著繰り返し読むと、違った理解や解釈が得られることに通じるのではないかと思います。その当時は共感できなかった内容の箇所が改めて読むと心に深く響くのはよくあることです。またそういった名著に限って、最初に読んだ時はしっくりこないこともよくあります。

この現象については、時間を経て自分の意識に変化が起きているということが理由だろうと考えていましたが、今回モデリングしたことで自分の立場や役割が変わったから意識の変化が引き起こされているのだろうなと思い直していて、この現象に対する解像度が高まった気持ちです。

また著名人の自伝などでも、全く実績や実力もないのに「できます!」といって仕事を受けたことをキッカケに成功して、素晴らしいキャリアを形成していく話があります。もちろん全て成功するわけではないですが「まずは実力がついてから」と断るよりも、やると決めてしまった方が早く正しい行動ができる意識になり成功確率は高まることになるのです。

モデリング前は「この人、勇気あるなぁ」と思っていましたが、今は「うまいハック方法だな」と感心するようになりました。

他者が「自分の見たい」をコントロールしている

モデリングしてわかったのは、特定の立場や役割を与えられる、もしくはその立場や役割であると強く思い込むことで、自分のアンテナがそっちにチューニングされるのです。

この自分をコントロールするために他人の力をどうやって借りていくと良いのかについては、今回もPodcastで話しております。カラーバス効果に似た現象や、モデリング内容の詳細な解釈や、解決策のアイデアについて興味があればぜひ聴いていただけると嬉しいです。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!

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