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海外でビジネスパーソンとして働くための英語力はTOEICでこのくらい

海外で仕事してきました。
いろいろな日本人の方とお仕事でご一緒しました。駐在で赴任してきた人も現地採用社員の人もいました。英語力はみなさん様々でした。
そんな中で、どのくらいの英語力があれば海外でどのくらいの仕事ができるのかが見えてきました。TOEICのスコア(Listening & Reading Test)を基準にして書いてみます。

この記事を書いた人のスペック

私はこういう経験をしてきました。この記事は私と似たような経験をする方々に向けて書いています。

  • アジア/ヨーロッパに延べ10年以上滞在

  • その間オフィスでサラリーマンをする

  • 業務内容は、日本の会社でも普通にあるようなオフィスワーク

  • 勤務先は多国籍企業、あるいは日系現地法人

  • 同僚/上司/部下に日本人はいない、もしくは数えるほど

  • オフィスでは基本的に英語のみ使用

私の経験した範囲以外の場合については、この記事では何とも言えません。たとえば、手に職を生かして海外で働く方々など、です。


TOEIC運営によると

TOEIC主催元によると、多くの企業が海外赴任する社員に期待するTOEICスコアは、700点前後だそうです。

TOEIC700点は、高校まで英語をしっかり取り組んだ人や受験英語をくぐり抜けた人にとっては、手の届かない点数ではないでしょう。

ただ、英語を仕事で使いこなすのは、700点では難しいかもしれません。

TOEICスコア700点でできること

実際に仕事でできること、できないこと

TOEICスコア700点ならば、パソコンの力を借りることで、メールを英語で書いたり、英語の書類を読んだりすることができます。
いまは翻訳ソフトも充実しています。うまく使いこなせば、支障なくこなせるでしょう。

しかし、おそらく会話は難しいです。
相手が話すことを聞き取れませんし、自分が何か話そうとしても、英語を言葉にするまでに時間がかかりすぎてしまいます。

駐在で赴任する場合

駐在で赴任する人で、会社から与えられた任務を全うすることができればよい、ということなら、TOEICスコア700点でも十分です。特に大企業の場合、もっと低くても問題ありません。

TOEICスコア700点ではスムーズな会話をすることができません。そのような状況でも、部下は辛抱強く話しに付き合ってくれます。
なので、指示や命令は通ります。会社から与えられた任務を遂行するという意味では、問題ありません。
肩書の力のおかげです。

「肩書の力」を利用する

海外赴任するということは、現地でそれなりに重要な業務を任されるはずです。日本ではもらえないような肩書をもらう人もあるでしょう。

この肩書が重要です。

海外では(アジア太平洋/欧州/北米を問いません)上司の命令は絶対です。
上司の指示に面と向かって反論するなど、ありえません。
部下にとって上司の命令は絶対ですから、上司の英語力がどうであれ、部下のほうが頑張って指示を聞こうとします。合わせてくれます。

「海外では上司の命令に逆らわない」と言うのは、直感に反していますが、事実です。理由はこうです。
海外では、日本のように人事部が人事権を握っているわけではありません。採用も評価も上司の意見が大きく通ります。そんな状況で上司の命令に逆らったら、上司の一存でクビになりかねません。
保身のため、たとえおかしいと思っても、上司の命令に逆らうことはありません。おかしいことに耐えられない人は、静かに転職していきます。

「会話ができない」と命令しかできない

ただ、言葉でのやりとりが難しい状況では、コミュニケーションを取れないわけですから、思ったよりも仕事に制約があります。
指示命令以上のことを行うのは、ほぼ無理です。

まず、部下が言うことを理解できないため、指示が正しく理解されているかを知ることができません。
また、本当のところ部下が何をどう思っているかを、知ることも察することもできません。これは仕事のことだけではありません。上司としての自分についても、どう思われているかを推察することができません。
周りで話される雑談など、とても着いていけません。あいつら何を話しているんだと、疑心暗鬼にもなりかねません。

そのような状況で、自分が先頭に立ってチームを率いていく、とか、そもそも無理です。部下に伝えられるのは、あらかじめ作成した英文の原稿の範囲でしかありません。
議論できないからです。
フィードバックのやり取りもできません。
できるのは指示し命令することだけです。

これは、日本で仕事する時には体験することがない未知な状況です。
人によってはストレスを強く感じるかもしれません。

現地採用での就職を目指す場合

英語力に関係なく、現地採用で活躍している方も多くいます。
そのような人の多くは、専門知識を駆使して仕事をこなしています。

駐在で赴任する場合の例として、肩書を出しました。
現地で就職する場合、これが使えません。このとき役立つのが、仕事に関連した専門知識です。肩書に似た役割を果たしてくれます。

専門知識があれば、英語力の不足を補ってくれます。
英語でのコミュニケーションが難しい場合でも、成果物を使って実力を見せることができます。
また、同じ専門分野の人どうしならば、英語力に関係なく、仕事に関するコミュニケーションがある程度可能になります。

ただ、会話が難しいという状況はどうしようもありません。
英語が話せないだけで、実際の実力よりも低く見られる場面もよくあります。
下でお話しするように、渡航前に英語力を高め、TOEIC900点程度まで上げておくのが、より適切です。

TOEICスコア900点でできること

人と人としての暖かいコミュニケーションをしたいのであれば、TOEICスコア900点程度まで点数を高めるのがよいでしょう。

TOEICスコア900点があれば、人間味のある意志疎通が可能です。
現地スタッフの方たちの英語も聞き取れるでしょうし、自分の思っていることや考えていることを英語で話すこともできます。
雑談ができます。
もっとも、テンポよく会話するのは難しいかもしれませんが、相手との関係性が成り立っている状況ならば、ふつうにコミュニケーションする分には問題ありません。

理想的な状況です。

現地スタッフと同じレベルではないにせよ、会話を楽しむのには十分だろうと思います。
仕事の指示を出したり報告を受けたりすることも支障なくできるでしょう。

ただ、現地スタッフや現地の関係先などに自分の考えを伝え、議論を深めたりするのには、まだ難しいレベルです。
もっとも、それでも問題ありません。
駐在で赴任する場合は、肩書がありますから、言うまでもなく、関係維持のために、相手がこちらに合わせてくれます。
また、肩書がなくても、相手がこちらの専門知識を認めてくれていれば、お互いに尊重しあう形のコミュニケーションが可能になります。

仕事で英語を使いこなすには「1200点」

ふだんの仕事の場で、日本にいる時と同じように英語を使いこなすためには、聞き取りはもちろんですが、話すときにも間を空けずテンポよく言葉が出てこなくてはなりません。日本語の場合と同じです。
また、仕事ですので、相手も手加減ありません。議論になった場合でも、その場でちゃんと言い返し、自分の考えを主張できなければなりません。

仕事や生活の場で、日本にいるときとほぼ同じレベルで英語を流暢に使いこなすのに必要なTOEICスコアは、おそらく1200点ぐらいだろうと言われています。
もっとも、TOEICの満点は990点ですから、1200点はというスコアは存在しません。
これは、もし990点以上が存在するとしたら、英語を使いこなす人のスコアは1200点ぐらいになるだろう、という意味です。なぜかよく聞きます。

このレベルに至るのは、TOEIC対策のような勉強だけでは、もちろん足りません。
プレッシャーのかかる場面で英語を使うような状況をひたすら経験し、慣れるしかありません。
現地に飛び込んで現地で慣れていくのも可能ですが、ストレスフルです。
それよりも、できることなら海外に行く前に訓練する機会を持つほうがよいと思います。

行く前に自分の英語力を客観視すること

海外で働く前に、実際に自分の英語力で何ができる/できないかを知っておくことで、どんな困難が待ち構えているか、あらかじめ覚悟することができます。
コミュニケーションで厳しい場面があったとしても、あらかじめ心構えができていれば、受けるストレスも少なくて済みます。
仕事をよりスマートに回すことができます。

駐在で赴任するのであれ、海外で就職や転職するのであれ、現地での仕事や生活をより充実したものにできるかは、自分次第です。
ストレスもありますし、楽しいことばかりではありません。
それでも、新しい発見は、確実に視野を広げ人生を豊かにしてくれるでしょう。


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