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短編

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詩やあまり長くない散文など。
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2023年2月の記事一覧

"圧倒されたくないんだ"

朝から動いていて、移動してまた別のことをして。体調はあまりいいとは言えず、喉の奥に突っかかった何かと、頭を覆っている正体不明の靄が気分を落ち込ませた。

しかし、なんだか日付が変わるくらいになって少し元気になった。眠気はすこぶる快調で、中央線の座席が妙に暖かいせいか今にも瞼が落ちてきそうだが。

元気ではあるが、疲れていないわけではない。むしろ今の僕は疲労感に包まれている。
ただし、これはどちらか

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冷たい雪に覆われたような寂寥に今日もまた苛まれながら真っ白に染まった街を歩いては今夜こそは早く寝ようと決めたはずなのにとっくに時計は明日になっていることに気づいて急ぎ足で布団に潜り込む二月の夜であった。

東京にも冷たい雪が降った。こんな日は家で静かに読書でもしていたいものだが、そういうわけにもいかずマフラーに首を埋めて外に出る。
吐く息はいつもよりもいくらか白く、ポケットに突っ込んだ手はひどく冷たい。

ビニール傘の視界が白い結晶で遮られて、街行く人は皆前のめりに歩いている。
数日前までの春のような日差しは今日は鳴りを潜めていて、刺さるような冷気が隙間という隙間から入り込んでくるようだ。

そんな

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2/2

すごい日だった。去年の5月に自分が照明をやったバンドと対バンした。まずこれが一つ目。
『縁』とはこういうことを言うのだろう。

二つ目。朝、ギターを抱えて駅に向かっていたら突然英語で話しかけられる。アメリカ人男性(21)。
なんとライブまで着いてきてくれて一番盛り上がっていた。
メキシコ出身らしくて、しかもだいぶ酔ってたせいで何言ってるかあんま分からなかったけどいい奴な事は分かった。
Good D

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