冷たい雪に覆われたような寂寥に今日もまた苛まれながら真っ白に染まった街を歩いては今夜こそは早く寝ようと決めたはずなのにとっくに時計は明日になっていることに気づいて急ぎ足で布団に潜り込む二月の夜であった。

東京にも冷たい雪が降った。こんな日は家で静かに読書でもしていたいものだが、そういうわけにもいかずマフラーに首を埋めて外に出る。
吐く息はいつもよりもいくらか白く、ポケットに突っ込んだ手はひどく冷たい。

ビニール傘の視界が白い結晶で遮られて、街行く人は皆前のめりに歩いている。
数日前までの春のような日差しは今日は鳴りを潜めていて、刺さるような冷気が隙間という隙間から入り込んでくるようだ。

そんなに疲れている訳ではないのにやけに体が動かないのは、多分この寒さのせいで、そうでないとしてもそういうことにしておく。

母校が雪に包まれているという写真をいくつか見る。懐かしさと同時に、日に日に離れていくあの栄光の日々を失ったことへの寂寥が胸を支配する。

早く春が来て欲しい、とにかく早く。

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