"圧倒されたくないんだ"

朝から動いていて、移動してまた別のことをして。体調はあまりいいとは言えず、喉の奥に突っかかった何かと、頭を覆っている正体不明の靄が気分を落ち込ませた。

しかし、なんだか日付が変わるくらいになって少し元気になった。眠気はすこぶる快調で、中央線の座席が妙に暖かいせいか今にも瞼が落ちてきそうだが。

元気ではあるが、疲れていないわけではない。むしろ今の僕は疲労感に包まれている。
ただし、これはどちらかといえば心地よい疲労だ。

いいライブを観た時の疲労は、きっと美術館から出た時に感じるそれと似ている。ゴッホの絵に圧倒されて、エネルギーを貰う代わりに絵の持つパワーに圧倒される。
同じように、目の前で起きるライブという現象が持つ力強さを受け止めるために自分の力も使ってしまった。

自分に向かってくるものが力強ければ力強いほど、受け取るために使う力も大きくなる。その圧倒的なパワーに負けるまいと腰を落として身構えている。

だから、普段はなるべくそうしなくて済むように無意識のうちに色んな刺激に背を向けているのだと思う。
去年書いた曲(サビが難しすぎて没になった)の歌詞に、『圧倒されたくないんだ』という部分があるのを思い出した。
きっと、大きな力に立ち向かうのが怖くて、圧倒されないようにしている事を自分でもどこかで認識していたのかもしれない。

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