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最近よく耳にする”次亜塩素酸水”(じあえんそさんすい)って何?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で、世界中の経済や生活が麻痺しており、生まれて初めての緊急事態宣言に直面しました。
そこで今回、ニュースやSNS等で、「次亜塩素酸水(じあえんそさんすい)」って、よく耳にすると思います。それに伴い、新型コロナと次亜塩素酸水に対して多くのご質問を頂きますのでまとめてみましたので、次亜塩素酸水について明確にしていきたいと思います。
※あくまでも電解水事業に30年間携わってきた立場からのお話をさせて頂きます。

次亜塩素酸水って何?

結論から言うと、”次亜塩素酸水”は、食品添加物の名称です。

食品添加物になるまで

食品添加物になるまでには、様々な試験をクリアしエビデンスを揃えなければなりません。
まずは、殺菌試験。
そもそも殺菌できない様であればお話になりません。
細菌や真菌、ウイルスなどへの殺菌試験および不活化試験を第三者機関でします。
次に、安全性試験。
急性経口毒性試験、皮膚刺激性試験、急性眼刺激性試験、皮膚感作性試験、口腔粘膜刺激性試験、復帰突然変異試験及び染色体異常試験などをクリアしなければなりません。ちなみにこの試験を全てやると高額な試験費用がかかります。
最後に使用実績などをまとめ、食品安全委員会、食品安全委員会添加物専門調査会などの審議を経なければなりません。
少し難しくなってきましたが、大丈夫でしょうか??
とにかく、食品添加物に指定されると言うことは、時間もお金もそれに関わる人も想定以上にかけなければならないと言うことです。

次亜塩素酸水の定義

上記でお話しした、様々な経緯を得て次亜塩素酸水は、晴れて食品添加物に指定される事ができたのです。 では、詳細について知っておきましょう。
次亜塩素酸水とは、2002年6 月10日に官報で公示された食品衛生法施工規則 別表 第125の次亜塩素酸水を指しております。
この次亜塩素酸水には、きちんと定義付けがされており、本品は、塩酸又は食塩水を電解することに得られる、次亜塩素酸を主成分とする水溶液である。と、明確になっております。
そうなんです。
次亜塩素酸水とは、電気分解方式で生成された水溶液しかないのです。
さらに、液性も明記されており、次亜塩素酸水は3種類しかありません。
 ・強酸性次亜塩素酸水:pH 2.7以下、有効塩素 20〜60mg/kg
 ・弱酸性次亜塩素酸水:pH 2.7〜5.0、有効塩素 10〜60mg/kg
 ・微酸性次亜塩素酸水:pH 5.0〜6.5、有効塩素 10〜80mg/kg

以上です。
ここでのポイントは、原料は何か?また、その生成方法液性がポイントになります。
上記で明確になった様に、次亜塩素酸水は3種類しかないと言うことを覚えておいて下さい。
それを前提に次のお話を進めます。

その水、本当に次亜塩素酸水ですか?

ちまたで販売・流通されている、次亜塩素酸水は、ほとんどが次亜塩素酸水ではない事をお伝えしておきます。
なぜなら、次亜塩素酸水は、長時間放置しておいたり保管をしておいたりすると、殺菌の主成分である次亜塩素酸の濃度が低下または失活してしまうため、予め調整したものを「次亜塩素酸水」として流通してはいけないからです。
ウイルスをやっつけていると思ったら、効果のない水だったなんて事があったらたまりませんよね。
※食安基発第0825001号 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長通知
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/10/dl/s1028-8f.pdf

では、なぜ多くの次亜塩素酸水が流通しているのか?

私の初見では、販売している人も上記の様な歴史や詳細の内容をほとんど知らないのだと思います。
知っていて次亜塩素酸水を謳っていれば、よっぽどの事だと思いますが・・・

次亜塩素酸水と称して販売している塩素系水溶液(塩素水)について

1. 食品添加物の次亜塩素酸水と全く同じ生成方法で生成している電解水タイプ
2. 電解水のpHを下げているタイプ
3. 次亜塩素酸ナトリウムと希塩酸等でpHを次亜塩素酸水に合わせている混合希釈タイプ
4. 次亜塩素酸ナトリウムと希塩酸等でpHを次亜塩素酸水に合わせているタイプで有効塩素濃度を上げている高濃度混合希釈タイプ
5. 次亜塩素酸ナトリウムを水道水や精製水で薄めたタイプ
 以上が、大きく分類したタイプになります。

その塩素系水溶液の安全性は?

上記の5タイプでかなり異なると思いますが、次亜塩素酸水と謳っているのであれば、少なくとも食品添加物って何?でお話をした安全性試験の内容を確認してみてはいかがでしょうか。
その場合、その水溶液の名称が記載されている事をご確認下さい。

まとめ

ちょっと難しい内容になってしまったかもしれませんが、これを機会に次亜塩素酸水や塩素系水溶液(塩素水)について考えてみてはいかがでしょうか。
なお、ここでは、雑貨としての電解水や高濃度の塩素系希釈水溶液の販売流通について言及しているものではございませんので、塩素系水溶液購入に関しては、販売先に直接お問合せ下さい。
また、公共機関や善意で無料配布をされている事もニュースやSNSで取り上げられておりますが、その塩素系水溶液につきましても配布元にご確認下さい。

最後に、使用者および販売者の注意点をまとめてみました。
1. 使用者は、販売者のから製造方法、成分、pH、濃度、使用方法、保管方法、保存期間、使用に際しての注意点などの説明を良く聞き、自分自身で判断をする(自分でも最低の知識は持つ)
2. 使用者は、使用する前に、きちんと試験紙や計測器で液性(pH、有効塩素濃度)チェックをする(本来、塩素系水溶液はそういうものです)
3. 販売者(配布元)は、次亜塩素酸水や塩素系水溶液(塩素水)について熟知し責任を持つ
4. 販売者(配布元)は、安全性の責任を持つ
5. 販売者は、次亜塩素酸水という名称を使用しない

以上です。
この内容が、世界中で猛威を奮っている新型ウイルス感染症の収束に少しでも繋がればと思い書きました。
世界中の人々が、正しい認識を持って行動し、この人類の困難に立ち向かっていきたいと思います。

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