#33 雨着・雨具・レインギア=カッパ(合羽)
富士山に限らず登山をする時には欠かせない必需品がある。そのひとつが、雨着・雨具、今風に言うならレインギアだ。カンタンに言えば「カッパ」である。防水・透湿・保温・防風性を備えた数万円もする高性能のものから、雨・露をなんとか凌げる千円程度のビニール製の製品まで各種が販売されている。
小雨が降り続く中、御殿場行き最終バスから降りてきた若者二人。ビニールカッパを着て、これから山頂を目指すという。「そのカッパでは山頂を目指すのは無理ですよ」と翻意を促すと、「貴方のカッパ、いいですね。僕に貸してください。」と思いもよらない一言。「これは私の仕事着です。お貸しできません」と丁寧にお断りをする。二人は「僕たちはこのカッパでだいじょうぶです。いまからSNSで中継しながら登ります。じゃあ」と登山道へ消えた。心配していると、中畑さんが「だいじょうぶ、1時間で帰って来るから」と予言した。
予言通り、1時間後に「カッパを貸してください」君が一人で下山してきた。相方は一人で登山を続行中とのこと。「カッパ貸してください」君は、ホテルに忘れ物をしたので取りに帰り、明日早朝に友人を追いかけて登山をするという。雨は断続的に降り続き、タクシーを待つ彼は寒そうで気の毒になった。勤務時間はあとわずか。「カッパを貸してください」君に声をかけた。「私の予備のこの雨着を君に貸そう。下山したら、ここの勤務員に「みくりやさんから借りました。といって返して下さい」「はい、ありがとうございます」といって彼はその場で雨着に袖を通し「温かいですね」と嬉しそうに言った。まもなくタクシーがやって来て、彼は御殿場のホテルに向かった。
翌日は勤務がなく二日後に出勤して、朝番の勤務員に雨着を返してくれた人がいたか聞いてみた。「そういうものはありません!」と悲しい答え。ありゃまあ! 経緯を知ってる同僚の沼田さんから「彼はそういう男だったんだ」と慰めも。私が甘ちゃんだったのか??反省!!
私の雨着は、彼にとっては「屁のカッパ」だったのか!? 悩むところだ。
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