読み手から見た、読みにくい文章レイアウトのお話。【同人誌(ZINE)制作】
先日文学フリマにて初めて一般参加し、ZINE販売をしている本屋さん、通販SHOPさん等々から購入させていただいたご本を読んでいて、いくつか気になったことがあったので、記載させていただこうかな、と思います。
特に小説系を書かれている方向けの内容になります。
後日、制作側に回った時はこの内容を元に自分でも気をつけて作ってみたいと思っていますので、その際は「冊子制作覚書」として、纏めてみたいと思います。
私の立ち位置と目線の話。
さっさと本題に入るべきなのですが、どういう目線で語っているか、と言うことだけ明言しておこうかなと思います。
今回は一読者として。
但し、下地にはフリーペーパーなどを制作する会社で、デザインと編集を多少嗜んでいたことがあります。
あと、中くらいの読書好き。過去には同人誌を作っていましたが、ん十年足が遠のいていました。久方ぶりの読者参戦です。
制作は折本まで。そこから先の参戦は願望はあれど、未定。
その内お仲間になりたいと思っている一読者です。
【1】紙面に対する余白について
余白が少ないと読みにくい。
コレにつきます。
開いた時に見えるデザインとしてのバランスも気になるのですが、何より読み始めて目線を移動した時に、余白が少ないと、本からはみ出た情報が目の中に入ってきやすいのです。
色・カタチ・周囲の動き。
物語に集中して読んでいたはずなのに、紙面外の情報に意識が向いてしまうと、途端に集中力が切れます。
だから、文字を囲んでいる余白はほどほど欲しい。
ここらへんは手持ちの本で近い内にサイズ感を調べてみたいと思います。
因みに。
ノンブルやノンブルと一緒にタイトルを全てのページに入られれているご本もいくつか拝見したのですが、コレが本文との距離が近いと余計な情報となってしまい、読みにくかったりします。
フォントサイズが本文の文字サイズと同じくらいだと、なおさら視線が引きずられてしまうので、本文文字より小さいフォントサイズがオススメかなと思います。
【2】章タイトルと本文の差別化
章タイトルを例えば、少し大きめ、太字にする、フォントを変える。
そういう風に、章タイトルが本文と差別化がされていないと読みにくい。
文字自体に変化がないと、章タイトルと本文の間に行間が一行以上空いていたとしても、本文の続きかなと勘違いしやすいです。
そうすると、タイトルも次話も前話の続きとして読んでしまい、結果、場面転換したことに気が付かず内容が通じなくなってしまい、集中力が切れてしまったご本がありました。
余白ページを1ページ挟むことで、章タイトルと気がつける可能性もありますが、やはりフォントやサイズを変更したり太字にせず、本文と同等だと、本文一行目と判断して読む人も多いかな、と思います。
短編集なら、それぞれのタイトルに対してもそうですね。
目次に表されるようなタイトルは、本文ページ内でも装飾をつけて、目立つように欲しい。
【3】本文の文字サイズについて
当然ながら小さすぎると読みづらいです。
年齢が上がって、文字の視認力が劣化してる気がする今日この頃(辛い)。
フォントサイズが小さいと、「読まなくてごめんなさい」率が上がります。
私は仕事で広告やパンフレット作ることがありますが、全年齢対象の制作物でも、6pt以上で作るように心がけています。
デザインをしている時には、6ptが最小の限界かなと思っている私ですが、小説本文なら8ptは欲しいかなと思います。
5ptはルビとか注釈とかに使うこともありますが……、4pt以下は絶対に使わないですね。
余談ですが、読者ターゲットの年齢層が高めであれば、それ以上の大きさ推奨。
因みにフォントサイズ、級(Q)で表すソフトもあります。(1級の約1.4倍が1pt)
【4】行間と文字間の取り方
実は狭すぎても広すぎても読みにくい。と、言う事実…。
敢えて言うなら、行間は狭すぎるくらいなら広い方が読みやすいです。
詩なんかだと、敢えて広く取る方が情感を感じられるかもしれないので、ジャンルで推奨行間とか変わってきそうですね。
そして、文字間が行間と同等以上だと、読み方向がわからなくなります。
なので、広さは、行間>文字間ですね。
大抵のテキスト入力ソフトは、デフォルトが行間>文字間になっているので、あまり気にしなくて良さそうですが、たまにページ数と文字数の関係か、行間ギッチギチになってる人のは、文字間とほぼ変わらなかったりして、読みにくさが二重になっている方がいらっしゃいました。
ここにフォントサイズ6pt以下が重なると三重苦、「読めなくてごめんなさい……」となります……。(折本で時折見かけます……)
尚、調べたところ、一般的に行間の基本はフォントサイズの1.5倍、だそうです。
因みに、先日作ったエッセイ折本「一番大好きだった美術館へ」の行間は、8ptに対して12pt(ページによっては12.5pt)の行間を開けていました。
8×1.5=12。私は無意識に制作してましたが、概ね基本行間で制作していたようです。
試しに16pt開けてもそこまで読みにくさは感じませんでしたが、10ptまで狭めると読みづらいと感じました。
【考察?】なぜ読みにくい本文になるのか。
何故ページ余白が少なかったり、行間が狭かったり、フォントサイズが小さかったりするのか。
そうなる理由はね、自分で折本を作っている時点でもなんとなく気がついてはいました。
使えるページ数に対して、文字数がオーバーした時。
私もどこを削るかめちゃくちゃ頭を悩ませました。
これが印刷所に出す本となれば、予算との兼ね合いも出てくると思います。
ページ数を増やせば経費も右肩上がり。
でも大事な作品の文字数は減らしたくない。めちゃくちゃわかります。
そうなるとまず行間、次にフォントサイズ、そして上下左右の余白。
犠牲になっていくんですよね……。
めちゃくちゃわかる。書きたいこと沢山あるんですよ!削れるかぁ……!と、折本作ってる時も心の中で叫んでました。
なので、読みにくいなと思う同人誌を手に取るたびに、共感もしています。
ただ、共感は出来るんですが、読み進められないんですよね、物理的に読みにくく集中力が切れやすくなってしまうので……。
面白いのに物凄く勿体ない、と思いながらなんとか読み進めているものもあります。
内容が面白いなら問題ないでしょ、と思われるかもしれないんですが、新しく手に入れた他の面白くて読みやすい本に取って代わられる可能性は大きいですし、そうなると積読の底に沈みかねないです。
私は実際読みやすい本を優先しちゃいますしね……。
特に装丁が凝ってあればあるほど、残念に思うのです。
手に取ってもらう努力が物凄くされている表紙なのに、中が読みづらい。
めちゃくちゃ勿体ない。
【考察?】どこを削るか、という話。
入り切らなければ削るしか無いわけですが、 とは言え、どこを削り、どこを残すかは、作家さん本人の選択に委ねられます。
余白なのか、行間なのか、フォントサイズなのか、それとも内容なのか。
いっそ前後編にして、次回イベントの新作にしてみるだとか……。
本当に難しいなと思います。
でも、せっかく本の形にしたのに、ストーリーと関係のないところで、読むのが辛いのは本当に勿体ないので……。
本を出す時に、一度本文レイアウトを見返していただけたらなと思います。
因みに私の場合、前職で「文字数の為にテンプレートを崩すな、レイアウトの基本を外すな、溢れるなら文字数を減らせ」と、言われて仕事をしていたので、無駄な言い回しや情報がないか、推敲に推敲を重ねて、伝えたい内容をわかりやすく枠内に収まるよう書き直す癖がついています。
フリーペーパーの文字が読めなかったら、クライアントに損を与えてしまうのでシビアになります。
大量の文字を小さな枠に詰めたいクライアントとの闘いも良くあったなぁ……と懐かしい思い出が蘇りました🤤。
わかるよ、気持ち。でもそれ読者読まないんだ……。
なので、折本「一番大好きだった美術館へ」は最初の文面から考えると3分の2から半分程に縮小されています。でも概ね書きたかったことはほぼ入っています。
……まあ、その後noteに書いた裏話は好き放題の文字数ですけどね。
※配信は終了してます。他の折本を出した際には同時に再配布するかも。
「折り本の忘備録」良ければ合わせて御覧ください。
以前折本を作った忘備録、これも同人誌(ZINE)作りに繋がるかな?と思うので、良かったら御覧ください。