31歳女が初めて水泳を習う

 私は31歳ですが、泳げません。平泳ぎやバタフライはもちろん、動きが単純なクロールですら25M泳ぐことができないのは、息継ぎができないからです。多くのカナヅチの人が、同じ原因を抱えているのではないでしょうか。

 クロールの最大の難点である息継ぎさえできるようになれば、ひとまずは足をつかずに泳げるようになれる。そうすれば、ジョギングより楽しい有酸素運動で脂肪を燃焼させたり体を鍛えたりできる。
 そう考えてこの年ではありますが初めて水泳プログラムを受けに行きました。

 行った先は、近所にある大阪市営のジムで、毎週土曜日の午前11時45分から45分間、初心者向けの大人水泳教室を開いています。プールの利用料金は1回700円、プログラム受講料は310円、合計1030円。毎週受けに行くとすると、月約4000円強。大人の水泳教室としては安い方かと思います。

 集まったのは私含め9名。全員が女性で、私以外のみなさんはだいたい50代以上のようでした。少人数だし、なかなか気楽な雰囲気で安心しました。
 ちなみに水着は、前開きのジッパーで着る、五分丈の上着×ハーフパンツのタイプ。楽天でスイムキャップつき3000円でした。これ、着やすいし肌も隠れるし、すごく気に入っています。この水着のおかげで、プールに入ることへの抵抗感がなくなりました。

 まずは、水中で鼻から息を吐く練習です。潜って、鼻から息を吐いて、苦しくなったら浮かんで口から空気を吸う。これを5セット×2回。この時点で、「すぐ苦しくなるし、自由に呼吸できない水中ってやっぱりコワイ」と後ろ向きになり始める。周りのおばさま方は皆、何度も受講して慣れているようで軽々とこなしている。

 次に、手足をまっすぐ伸ばして頭を水平にする「ふしうき」にトライ。これはできるんですよ。バタ足も、水をかく手の動きも、不恰好ではあるけれどなんとかできる。問題は息継ぎなんですよ。ふしうき25M×2回、ふしうき+バタ足同量とこなし、やっぱり水の中に浮かぶって楽しいなあと思う。
 私は、泳げないけど水の中で遊ぶのが大好きなのです。ジョギングはただただ苦しいけれど、水の中にいるのは気持ちいい。

 話は逸れますが、女優の小山明子さんや吉永小百合さんは水泳が趣味らしいですね。お2人があんなに若々しくて美しいのは、水泳に依るところがあるのではないか? 体への負担が大きくなく、年齢を重ねても続けられる水泳は、体型維持や健康美のためにとても良い習慣なのではないか? 何より、水の中にいるのはとても気持ちいいぞ。趣味なんかどれも中途半端だけれど、水泳を習慣づけたら、「趣味は水泳です。下手なんだけれど、ゆったり泳ぐのが好きなの。週1回は必ず、400Mは泳ぐかしらね」って言える。この、たるみきった体をゆるやかに引き締められるかもしれない。泳げないという欠点を克服したいという思いに加え、こういった考えが前々からありました。

 プログラムの続きです。今度はビート板を両手で持ち、顔をつけてバタ足で進む。苦しくなったら、顔を正面に上げて口で息を吸う。
 これがすごく難しい。というか苦しい。すでに音をあげたくなる。
 息を吸うとき、力が入ってしまって頭を上げすぎる。バタ足も止まってしまう。うまく吸えないから苦しいし、結局そこで足をついてしまう。
 とりあえず、水中で鼻から息を吐かなきゃいけないのはわかったけど、うっかり吸ってしまいそうになって鼻が痛い。頭を下げて! って言われて下げたら、もっと痛い。たぶん、吐く勢いが足らないのだと思います。それに、みんな見ているし、顔を上げた目の前に先生がいるから緊張する。緊張すると息があがる。余計苦しい。なんか、もう、ちょっとめげそうだ… 息を吸うとき、必ず口に水が入るし… この水って綺麗なの? っていうか、私、鼻水垂れてない? ずっと鼻触っているけど、わからない。もしかしてすごい出てる? 私、ホントすぐ鼻水出るんだよ… 普通の人の10倍出るんだよ本当に。なんかさ、ぶっちゃけ、泳げなくても生きていけるよね? 今さら習ったって、できるようにならないかもしれない… やめてもいいかな…
 根性なしの本領が発揮されそうになる。

 やぶれかぶれでつらいターンが終わり、次に移る。片方の手でビート板の先端を持ち、もう片方の手で手前側を持つ。手前側を持った方向に顔を向け、先端を持った方の耳を水につける。そのまま、顔を浮かせたままでバタ足で進む。
 こんな方法、初めて聞いた。

 これが、やってみるとすごい楽しい。これ、ずっと泳げるよ!! 立たないで進めるって、楽しい! 息継ぎしなくていいから楽だし!
 テンションが持ち直したところで、ビート板を外し、手の動作をつける。大きく、遠くまで円を描いて手を回して! と言われ、肘を伸ばして頑張ってみる。肩が固てえなぁオイ。慣れている人は顔を上げて! と言われるんですが、慣れてないし、どうやって上げるのかわからないよ…どうやるのよ…と顔をつけたまま進むので途中、立ってしまう。っていうか、私、鼻水出てない? と終始そわそわしている。

 ここまでレッスンして、本日のプログラムは終了。1日では泳げるようになりませんでしたが、とりあえずプログラムに参加し、メニューをこなした満足感でいっぱいでした。そもそも、水中で鼻から息を吐くという基礎中の基礎をこれまでしていなかった私にとっては、とても有意義な45分間でした。
 何より、水に慣れられたことが良かった。冒頭では、鼻が痛い、と泣きが入っていましたが、何度も水中で息を吐く練習をしていたら、恐怖心が和らいできました。

 せっかくジムに来たから、トレーニングもしたかったけれど、あとの予定もあったことだし、初めから無理をしたら続かないもんね、ゆっくりいこう。と言い訳をつぶやきながらそそくさと帰りました。
 プールは楽しい。毎週泳いで、痩せてやるからな。

 

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