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過去最高の出来のパウンドケーキ

先日、同居人と大喧嘩をした。

もう知り合って10年以上になり、何度も喧嘩をしたものだが、ベストスリーには余裕で入るのではないかと思われる大喧嘩だった。

そして、一緒に住んでから初めての喧嘩だ。

幸いにも二人とも話し合いでの解決法を望んでいたため、早急に話し合いが行われ解決はしたのだが。


気まずい。


喧嘩後に同じ家(しかも1K)の部屋にいることがこんなに気まずいとは。


問題が解決しても、一度ぐつぐつと熱くなった気持ちがすぐには落ち着かないのだ。

ティファールですぐに熱くなったお湯がしばらく熱いように…と、ティファールで沸かしたお茶を飲みながら気をそらそうとしてもイライラするものはイライラする。

喧嘩後、ひとりになってクールダウンする時間がほしい。

かと言って「ちょっと散歩に出るわ」なんて

いかにもまだ根に持ってます!的な行動をしたら次の喧嘩になりかねない。


というわけで、パウンドケーキを作ることにした。

ただの思い付きである。

2年ぶりくらいのお菓子作りである。

例え1Kの小さなキッチンであってもひとりぼっちになれるので、思い付きにしてはいいアイデアだ。

先日300g98円で店頭売りされていたホットケーキミックスを買っていて良かった。

パウンドケーキはどこぞの国の田舎のお母さんが作る簡単料理で、小麦粉とバターとたまごを100gずつ入れて混ぜて焼いたらできる!と以前たまたまネットで読んでいて良かった。

ガサツな私でもすぐできそうだ。

ガサツな私だが、100g量るのはきっちりやってみた。

量るという行為はイライラすると進まないもので、

ホットケーキミックスとバター(足りない分はサラダ油)とたまごをグラム単位できっちり量っているうちに、頭の中でぐつぐつ沸いていた熱湯が若干ぬるくなっていくようだった。

そして混ぜる。

たまたま私の読んだものに「嫌だったことを思い出しながら混ぜるとストレス解消になる気がする」と書いていたので、もうその通り、嫌だったことを思い出しながら全力でシャカシャカ混ぜた。

もういい加減、混ざっただろうと思う段階でもまだ嫌だったことを思い出していたためシャカシャカ混ぜた。

腕も疲れて、心も晴れ晴れ、清々しくなってきたところで、牛乳パックにいれて、オーブンで焼く。

しばらくすると、部屋中にバターのいい香りが漂ってくる。

ワクワクしてきて自然と「いい匂いがするねぇ!」と同居人に話しかける。

「いい匂いやなぁ!」「パウンドケーキ作ったの。すごく膨らんでるよ!」「まだ出来ないかなぁ」「おいしそうだなぁ」「俺も前にパウンドケーキを作ったことがあるんだけどその時は・・・」

いつの間にか会話が弾んでいた。

45分経ってオーブンがピーッと鳴って、さぁ食べよう・すぐ食べよう・焼きたてのうちに食べようと急いでカットする。

焼きたてアツアツのパウンドケーキは、しっとりふわふわ、外側が少しだけカリッとしていておいしかった。


・・・気まずい気持ちがどこかへ行っていたのもあるのだが、そういう感情的なものを抜きにして、過去最高においしかった。

パウンドケーキは喧嘩の後に作ったものに限るのかもしれない。

#眠れぬ夜のレシピ

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