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助産師が教える!母乳育児の実践ガイド

 母乳育児は、赤ちゃんと母親の絆を深めるだけでなく、健康面でも多くの利点があります。

本来母乳育児しかなかった時代から、現在では、ミルクや様々な育児グッズが販売され、母乳育児とは何かも知らないまま、ネットやSNSから情報収集をして子育てされている方もいます。

ママ達の頭は混乱するばかりです。

このガイドでは、母乳育児の基本から、トラブルシューティングまで、安心してスタートできるように、助産師である筆者が、母乳育児の実践的なアドバイスやコツをお届けします。

母乳育児のスタート:基本と準備

母乳育児を順調にスタートするために、知っておきたい母乳のメリットや、準備する方法を伝えて行きます


①母乳のメリットを知ろう!


母乳育児は、赤ちゃんと母親の両方に数多くのメリットをもたらします。
以下は主な利点です。

《赤ちゃんにとってのメリット》

  1. 栄養価が高い

    • 母乳は赤ちゃんの成長に必要な全ての栄養素をバランスよく含んでいます。

    • 初乳(コロストラム)は特に免疫物質が豊富で、新生児の免疫力を高めます。

  2. 免疫力の向上

    • 母乳に含まれる抗体や免疫物質が、赤ちゃんの感染症や病気から守ります。

    • 母乳育児を受けた赤ちゃんは、呼吸器感染症や下痢のリスクが低くなります。

  3. 消化が容易

    • 母乳は赤ちゃんの未熟な消化器官に優しく、消化吸収がしやすいです。

    • 授乳によるアレルギー反応のリスクも低いです。

  4. 発育と発達の促進

    • 母乳に含まれる長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFAs)は、脳と視力の発達を促進します。

    • 感覚統合と認知機能の発達に寄与します。

《母親にとってのメリット》

  1. 子宮の回復

    • 授乳中に分泌されるオキシトシンが、子宮の収縮を促し、出産後の回復を助けます。

    • 産後の出血を減少させる効果があります。

  2. 健康リスクの低減

    • 母乳育児は乳がん、卵巣がん、心臓病、骨粗鬆症のリスクを低減します。

    • 長期的な健康促進効果があります。

  3. 体重の減少

    • 授乳はカロリーを消費し、産後の体重減少を助けます。

    • 自然な方法で体型の回復が期待できます。

  4. 経済的なメリット

    • 母乳は無料であり、粉ミルクや哺乳瓶、乳首のコストを節約できます。

    • その他の育児関連費用も削減できます。

  5. 母子の絆の強化

    • 授乳の時間は、母親と赤ちゃんが親密な関係を築く大切な機会です。

    • 皮膚接触とアイコンタクトが、情緒的なつながりを強化します。

《社会的・環境的メリット》

  1. 環境に優しい

    • 母乳育児は、粉ミルクの製造や輸送に伴う環境負荷を軽減します。

    • 哺乳瓶や乳首の使用によるプラスチック廃棄物が減少します。

  2. 医療費の削減

    • 母乳育児により、赤ちゃんの病気が減少するため、医療費の負担が軽減されます。

    • 公衆衛生の向上に寄与します。

《防災上のメリット》

  1. 災害時に哺乳瓶や、消毒など用意する物が少なくて済む

  2. 赤ちゃんの栄養が確保できる

母乳育児は、赤ちゃんと母親に多くのメリットをもたらす事がわかりますね。


②母乳育児をスタートするために準備しておくこと


 「生まれたら母乳がすぐでると思っていませんか?」

昔からずいぶん出産スタイルが変わり、女性の食べるものや体型が変わり、生活スタイルが変わり、現代の女性は、出産がとても大きな負担になってきています。

出産の変化は、産後の体の回復を遅らせ、生まれてすぐ始まる赤ちゃんのお世話に影響してきます。

母乳が出るためには、順調に出産が終了し、産後の体への移行がスムーズに行われる必要があるのです。

だから、出産前の妊娠中からの準備が必要になります。

1.出産を乗り越える体を準備しよう。

・スムーズな出産は、産後の体の回復を早めます。
・出産時間の短縮、出血量の減少、余計な医療介入を減らします。
・子宮のゆがみが減るので赤ちゃんの体のゆがみが減り、その後の発達が良くなります。

規則正しい食生活や、出産に向けての体力作り、ストレスフルにならない生活を心がけましょう。

2.赤ちゃんが母乳を飲みやすいよう乳首を整えておきましょう。

・妊娠36週になったら、乳首のマッサージを始めましょう。やり方は、病院の助産師が教えてくれると思います。
・軟らかく、のびが良い乳首は、生まれてからの傷の防止や、痛みの予防になります。
・乳汁の出口が開くので、生まれてすぐから初乳を飲ませることができます。

産後の母乳分泌が良好なママに、妊娠中に何をしていたか聞いたことがありました。

そのママは、とにかく乳首をマッサージしていた、と言っていました。

助産師が母乳が出るのも、興味でたくさんマッサージしている事が影響しているのかな、と勝手に思っています。

3.授乳や抱っこの練習をしよう。

・生まれてからでも、もちろん間に合いますが、知ってると知らないのでは、慣れるまでの時間が変わります。抱っこのやり方を知っているママの方が、緊張せず抱っこでき、長い時間の授乳姿勢にも苦痛を感じません。

母親クラスなどで育児の練習をしましょう。
正しい姿勢で抱っこや、授乳ができると体の負担を減らすことができます

赤ちゃんはママが緊張していると、その緊張感が伝わり、不安になってしまいます。なぜか良く泣く子は、このあたりが影響している事もありますよ。


まとめ

 母乳育児をスタートするためには妊娠中からの準備が必要です。

痛い時にすぐ薬があって、おなかがすいたら食べたいものを食べれて、好きな洋服を着て、そんな現代の女性にとって、体形が崩れる、食べたいものが食べられない、薬を飲めない、など妊娠によって我慢することはたくさんあります。

だけど、赤ちゃんがいればきっと頑張れます。
苦しかった分、それ以上にあなたに喜びをくれる存在になるはずです。

 助産師として働いてきて、3人の子育てをしてみて、私は「ほぼ母乳育児」が一番現代の女性に合っているのではないかと思っています。
メリットを受けつつ、大変なときだけミルクで補う、母乳とミルクのメリットの恩恵を両方得ることができるからです。

完全母乳じゃなくてもいいんです。

母乳にはたくさんのメリットがあります。どうかその可能性を消さないようその後の子育てを考えて、妊娠中から準備を始めてくださいね。

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