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世界初のダイエット教材とは何か

お客様が本当に求めているものをお客様は知らない

 ちょいとお仕事で、教科書的なマーケティングのことを調べていました。ウィキペディアではこんな風に書かれています。

マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。出典:マーケティング-Wikipedia

 これはとても良くまとまっています。この「真」にというところがなかなか文学的です。

求めるものは実は性能や効果そのものではないという話

 視点を変えると、それまでめんどうくさいと思っていやいややっていたことが、180度うって変わって楽しくなるということがあります。

 たとえばお掃除です。

 大抵の男性はお掃除が好きではないと思います。

 だから世の男性は、洗剤などにはまったくこだわりを持ちません。自分が洗剤に「真」に何を求めているかを知らないからです。

 台所の洗剤を買うのに「真」に求めているものもへったくれもあるかあ、きれいになればいいんだよ!という考えもあります。

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 でも、洗い物を実際にされたことのある男性の方はご存知だと思いますが、主に女性担当の家事というのは、きれいになればいい、というのとは若干違います。

 強いて言えば、汚れを「きれいにしたい」ではなく汚れを取り除いて「快適にしたい」が正解なのです。

 だから、男性は後片付けが大嫌いですね(笑)。それはきれいにすることを目的としているからです。女性の多くは洗い物によって快適なリビング空間を手に入れたいという思いがおそらく男性より強いと思います。

 少し大袈裟に言うならば、きれいにしたいは義務、快適にしたいは創造的なものだと言っていいかもしれません。

 だから、洗い物をした後紅茶を淹れて一緒に飲む、というのが地続きだったりするわけですね。

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顧客は自ら欲しい物を知らない

 これが、台所用洗剤に求められる「真」の欲求なのです。快適さを手に入れたいというところから、洗剤にシトラスやオレンジの香りをつけたりするわけですね。

 マーケターとよばれる人、この例の場合には商品開発系の人は、この真の欲求がなにかということを懸命に考えます。

 真のイノベーティブな起業家や経営者は、マーケターに任せずに、自らこの「真」を追求します。

 ヘンリー・フォードはこう言いました。

「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬が欲しい』と答えていただろう。」

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 早い馬が欲しい、油汚れがよく落ちる台所用洗剤が欲しい。この考え方では、もっと音質の良い電話がほしいという考え方が出てきます。

 これがつまり、日本企業からiPhoneが誕生しない最大の理由です。

 スティーブ・ジョブズはこう言いました。

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“Some people say, give the customers what they want, but that’s not my approach. Our job is to figure out what they’re going to want before they do.”

【訳】「顧客が欲しがっているものを提供せよ」こう言う人もいる。でも僕はそういうやり方はしない。我々の仕事は顧客が実際に望むより先に、彼らがこれから望むであろうものを理解することなのです。

 彼らがこれから望むであろうもの、というのがつまり、「顧客が真に望むもの」です。これを顧客自身はたいてい知りません。もしスティーブ・ジョブズがアップル社の顧客に、「今度アップルで電話を開発するんだけど、どんなのが欲しい?」と聞いたらきっと、「新技術で音質がとんでもなくきれいなもの」という答えが返ってくることでしょう。

 だからジョブズは、重要な製品コンセプトを考える時には市場調査などは当てにしませんでした。

日本の教育にかけているもの

 だから日本人は創造力がなくてダメなんだ。このように指摘することは簡単ですが、ではいったい創造力はどうやったら出てくるのでしょうか。

 これは難しい問題なので、また別のnoteにすべき話題だと思います。一つだけ言えるとすれば、男性も子供も含めて、日本人全員が食べ終わった後の食器の洗い物を楽しめるようになること、だと私は思います。

 つまり、何かを目的の手段としてだけ考えるのではなく、その手段そのものを楽しみの中の一環として捉えるということです。

 勉強をいい大学に入るためのひとつの手段とだけ捉えるのではなく、学ぶことそれ自体を楽しむ態度が重要ではないでしょうか。

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 後片付けもまた、その後テレビを見るためにしょうがないからやるのではなく、「快適にすることが楽しい」というワンセットでくくってしまえば、苦痛ではなくなります。

 紅茶を淹れてテレビを見るのも快適に生活を送ることですし、大切な食器を愛でること、きれいに磨き上げることもまた快適な生活そのものなのです。

ダイエットもまた、ダイエットそのものの意味を確かめ、それ自体を楽しむべきものである

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 ひとつ、こうした点から非常にユニークなダイエット教材をご紹介します。

 ダイエットと言うと、女性であれば肌が露出する夏に着る服がないとか、男性であれば娘にお腹の出っ張りを指摘されて落ち込んでいるとか、とにかくダイエットが済んだ後の体を手に入れること(だけ)が大事だと考えがちです。

 しかしこのホープホースさんのダイエット教材はこうした考え方を180度転換しています。

 ホープホースさんは独立起業を果たされていますが、その過程でとても沢山の成功本を読破されたそうです。

 そして、最初は意図していなかったのに、気がついてみるとダイエットにも成功していた。そこから、ホープホースさんの独創的なダイエット理論は着想されました。

まさかのダイエット?
百数冊の「ビジネス書」を読んで、そこに書かれていたことを日々の生活で実践していたボクは、気づくと痩せていました。
4カ月で9キロ減です。
太ってしんどかった毎日がウソのよう。
身体が引き締まり、自分に自信が持てるようになり、気持ちがさらに前向きになりました。
そう、「成功法則」には健康的な身体を手に入れるためのエッセンスがたくさん含まれていたのです。
それもそうだろうな、と思います。
健康でなければ、「成功」なんてなかなか手に入れることはできませんよね。
「成功」しても病気に苦しんでいれば、それは「成功」とは言えないでしょうから。

 これは、まさしく先程の洗剤の例と同じです。洗剤をただ単に、汚れ物をきれいにするための道具と考え、洗い物を快適に紅茶を飲むための手段としてだけ考えるのではなく、ダイエットを夏の洋服や、メタボからの脱却の手段としてのみ考えることをやめるということです。

 人はなぜ起業するのでしょうか。お金が欲しいと言うだけならば、普通にお金を稼げばいいだけだと思います。そうではなく、少なくとも起業に成功している人は、起業を単なるお金儲けの手段としてではなく、「成功」というプロセスに生き生きとした人生の充実感を感じているのだと思います。

 そう考えてみれば、ホープホースさんが起業にあたって実地につかんだ成功法則からダイエット理論を考えついたというのもうなずける話です。

 単なる手段は、何やっても義務感だらけで面白くありません。

 でも、自分の人生が生き生きとしていく実感そのものをダイエットに感じることができるのならば、それは、もはやダイエット自体が一つの目的、人生の目的の一部となっていると言えるでしょう。

 人生を楽しくすることを途中で放棄したいと考える人はまれです。であるならば、ホープホースさんのダイエット法則を使えば、ダイエットを途中で放棄してしまう人もまたまれである、ということになるはずです。


「学んだこと」に「忘れたこと」 を足すところに創造性が満ちる

 同様に、子供が学校で良い成績だけを追求するのではなくて、勉強が楽しくなること、学ぶことに喜びを感じること。案外そのあたりに日本の教育を再生するヒントがあるのではないかと、私は思います。

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 ゆとり教育は、負担を軽減するというマイナス思考でした。

 しかし創造性とは何かを減らすのではなくて、何かを加えたり、乗じたりするものだと私は思います。

 こんな式になると思います。

学んだこと - 忘れたこと=詰め込み教育の知識
学んだこと + 忘れたこと=創造性

 冒頭にも書きましたが「真」に求めているものとは、まことに文学的だなと思います。


「あなたが本当に欲しかったもの、実は昔ほしいと思って、いつの間にか忘れてしまったもの、それはこれでしょ」

 メーテルリンクの『青い鳥』です。

 忘れたことの中に真実がある。まさに文学!

 日本人からスティーブ・ジョブズが生まれるのはきっと、これをサラッと言える子供が育つときだと私は思います。

 そして、日本からダイエットで悩む人がいなくなるのも、創造的な楽しいダイエットが根付いたときではないでしょうか。


*このnoteは「【決定版】これが私のイチオシnoteだ!(有料note対応)」寄稿作品です。
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