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【良い小説良い哲学】~「良い小説」と「いい話」を峻別しよう党

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いい話が世の中溢れています。それはとても良いことだと思います。でもいい話と良い小説は違うのです。いい話は勧善懲悪の水戸黄門です。小説とは美を表現するもの。きれいな小説でもない。じ…
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#言葉

先生が泣いて、授業に空白ができた日。

困らせようとしたわけじゃない。 ふてくされていたわけじゃないし。 深い意味はなかったのに…

他人のきもち、自分の気持ち。

8月の終り近く。 人の気持ちってむずかしいねって思って いた。 それはもともとそうなのだけ…

銀河はラズベリーの香りがする。

銀河売りがこんなに流行する前。 宇宙飛行士として地球をみてきた ひとりの学者と栞はつきあっ…

心の中の言葉をどうして、言いたくなるんだろう。

谷川俊太郎さんの新聞の連載「どこからか言葉が」の 「わざわざ書く」というタイトルの詩だ。 …

救われましたなどと2度と言わない。

街クジラがこの街にやってきたのは 栞が生まれる前だったらしい。 街クジラはひとりぼっちで…

言葉狩り

みこちゃんが、言葉狩りの現状をオイラに教えてくれました。 当初は、言葉に内包されている差…

【短歌エッセイ】言葉は生きもの

 「今日は五月晴れだね」  ある梅雨の晴れ間の日に、パートナーに言われた。  「え? 五月晴れって5月の晴れの日に言うんじゃないの?」  驚いて訪ねる私に、パートナーは、「梅雨の晴れ間のことを五月晴れって言うんだよ」と答えた。  湿度が高く蒸し暑さを感じさせる梅雨の晴れ間と、カラッと爽快に晴れる5月の晴れの日では、

¥100

フェアじゃないねと、つぶやきながら。

咳をしても金魚。 あの人が残した短い詩のような 言葉が今も栞の耳の中に棲んでいる。 トオ…

あたらしい父に会っている気がする。

父と1年ぶりに会った。 父が趣味ではじめたことに お祝いすることがあったので 上京してき…

永遠のにぶんのいち、あげる。

栞はその時、読んでいた本の言葉を 思い出していた。 「ひとが、存在していることの根っこに…

哀しい氷がとけてゆくように。

凍った星をグラスに浮かべた。 すっごく不安定な形の細すぎる脚を 持った建築物が入り江に建…

いま、なにがみえてる?

わたしは算数ができなかった。 父曰く、引き算という概念が ぼんちゃんには、なかったねって…

透明な手紙の香りがした。

透明な手紙の香り。 そんなタイトルを君は8月のカレンダーの いちばん最後に書き込んでいた…

ネゴシエーター〜学内トラブル交渉人 第3話 義務教育から才能を守って!

花岡涙(はなおか るい)と入れ違いに、少年の手をひいて入ってきた山中里志(やまなか さとし)警視監は、嬉しさのあまり頬が綻びそうだったから、それを隠すために、 「ロリコンだったのか?」 と勇作に尋ねた。 勇作はまるで親が会いに来た様な感覚となり、照れ隠しのため、 「お孫さんですか?」 とふざけて応えてみた。 それでもお互い、お互いの思いを感じた。 輝咲勇作(きざき ゆうさく)と山中の再会は短いものだったが、その一瞬の間、二人の間には薄紅色の優しい空気が流れた。 そして山中