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2022関東インカレ観戦記

新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄される状況からようやく抜け出しつつあり、3年ぶりの有観客開催となった第101回関東学生陸上競技対校選手権大会(以下、関カレ)。個人的には人生二度目の関カレ現地観戦にして4日間のフル参戦を果たし、誰よりも楽しんだ自負があります。このままだといつまでも関カレの話をし続ける限界オタクへと化すのが目に見えているので、母校・早稲田大学の選手の特に印象的なシーンに絞って観戦記を残すことにしました。約4000字。

・井川くん(スポ科4年・九州学院)

井川くんのことは結構な回数を現地で観ています。もう4年生になったなんて信じられませんが、軍団長を張れるくらいには兄貴肌なのでなんだかんだ期待もしています。

2022/5/7の日本選手権から2週間足らずでの10000m出走ということで疲労の蓄積を心配していましたが、髪型もキメており元気そうで安心しました。レース中はカマウ選手が飛び出しても無理してついていくことはせず、2位集団を自主的に引っ張るなどしながら終盤ではカマウを吸収。惜しくも優勝は逃したものの、ラスト1周になるところで長い脚が少しもつれたのが信じられないくらい見事なスパートで2位をもぎ取り、ポテンシャルの高さを見せつけてくれました。

2020箱根3区、2021日本選手権10000m、2022箱根1区と、今まで大舞台では無理してハイペースに乗っかり終盤に失速することもあった井川くんですが、ついに「無理につかない」という判断ができるようになったのですね。この成功体験を活かし、箱根予選会では日本人争いをしてもらいたいです。

・間瀬田くん(スポ科1年・鳥栖工業)

入学前から複数回5000m13分台をマークおりトラックもロードも集団走も単独走もできる、ということで速さ以上の強さに期待がかかる間瀬田くん。早スポの事前特集で「今シーズンは1500メートルを頑張ろうと思っています」とあった通り1500mでの関カレデビューとなりました。

ファン同士では「菖蒲くんのいちばんのライバルは間瀬田くんかもね」なんていう会話をしていましたが、その予想を全く裏切らない予選での冷静な走り、そして決勝での飛び出しでした。しかも間瀬田くんは元々、集団に最後までついて行ってラストで飛び出す、というのが得意パターンだったはず。決勝へ進んだ唯一の1年生でありながら、勝ちに行くためか自分のレパートリーを増やすためか、中距離専門の他大選手に真っ向勝負を仕掛けにいく姿はとてもかっこよかったです。

そしてもうひとつ触れておきたいのが、間瀬田くんの作ったハイペースの影響もあって、菖蒲くんがPBを更新し3位に入った点。間瀬田くん本人は残念ながら入賞を逃しましたが、同じレースを走るチームメイトのアシストにはなっていたわけです。個人競技としての要素が強い陸上競技ですが、自分から流れを作りに行く選手と確実な勝利を狙いに行く選手が存在することは早稲田としての総合的な強さに繋がるのかもしれない、と感じました。5000mの予選で自ら先頭に出た同じくルーキーの山口くんと共に、下級生からの突き上げでチームに勢いをもたらしてくれることを楽しみにしています。

・北村くん(スポ科3年・樹徳)

長距離ブロックのファンが最も心配していたであろう、山下りのメガネくん。昨年の部員日記で「陸上をやめようかと思ったこともあった」と溢していた彼が六大学で9ヶ月ぶりに復帰したときは本当に嬉しかったです。

今だからこそ言えますが、3000mSC予選をタイムで通過した後、北村くんは片方の脚を庇うような歩き方をしていたんですよね。貧血による長期離脱が響いて軽い怪我でもしたのかとヒヤッとしました。しかしそれは杞憂でしかなく、決勝では落ち着いたレース運びでラスト1周を迎え、さらに早稲田陣営の見える第二コーナー付近でスパートして一時は3位に浮上するという展開。その後失速こそしたものの入賞を成し遂げ、今シーズンの活躍を匂わせてくれました。

こうしてチームメイトの姿を糧に力を振り絞る選手を見ると、良いチームなのだろうなと外野からも思えます。有観客開催、声援が解禁されれば、微力ではありますが応援する者として力になりたいものです。

・菖蒲くん(スポ科3年・西京)

せーの

「「あっちゃんかっこいい〜〜!!」」

というのはさておき、今年も1人で2種目を兼任し、4日間のフル稼働でチームに14点をもたらしてくれましたね。ありがとうございます来年もよろしくお願いいたします。

菖蒲くんは入学当初から「4年間の目標は、世界大会に出場すること」と宣言しており、この大きな目標へ向けて長期的目線で計画を立てることのできる非常に賢い選手です。先日3000mSCで標準切りを果たしユニバ出場を決めたかと思いきや選考に漏れ、誰よりも悔しい思いをしたことでしょう。

3000mSC決勝の際、場内アナウンスでは「注目は早稲田大学の菖蒲くん。この種目の二連覇がかかります」とプレッシャーをかけられ、チームからもポイントゲッターとしての役割を当然のように期待される中、レース中盤から誰も寄せ付けずに1人抜け出してそのままリードを守り優勝する姿は観る者の涙を誘いました。インタビューでは関カレよりもむしろ世界大会へのこだわりが垣間見え、自身が闘う主戦場として3000mSCへかける想いと視座の高さがよく伝わってきました。ぜひこの調子で8分22秒をターゲットとし、世界へ飛び立って強火菖蒲担の財政を圧迫してもらいたいです。

・菅野くん(教育2年・西武文理)

15分台で入学し3月の学生ハーフで1時間4分31秒を叩き出した勢いのまま、弱冠2年目にして早くも関カレのハーフで堂々の臙脂デビューとなりました。“一般組の星”という言葉は彼のために存在するのかもしれません。

最初の5kmを14分35秒で通過した菅野くんですが、5000mのPBは14分22秒で、これはセカンドベストに匹敵します。しかもこの時点では確か先頭集団後方にくらいつき13番手あたりにいた時です。学生ハーフ後のコメントで「もし出場できるなら63分台が目標」「ハーフ経験者として予選会ではチームを牽引したい」と述べていた通り、高い目標とチームへ貢献したいという想いを感じさせるレース運びでした。終盤は日差しが強くなって気温も上がり、順位としては19位に終わりましたが、初ハーフとはまた違った収穫があったのではないでしょうか。

素人目線で恐縮ですが、最後まで脚が止まらずフォームが崩れていなかった点と、常に前だけを見据えて走る姿が印象的で、まだまだ右肩上がりに伸びていくことを確信しました。部員日記で「人一倍ケアをしている」との紹介があったり、PBを出した際に短距離ブロックの同級生が歓喜のツイートをしていたりするところから察するに、相当な努力家であることも伺えます。

più mosso/cresc.

2022年5月24日現在、菅野くんのツイッターbioにあるこちらの音楽記号。意味は「これまでよりも速く、だんだん強く」です。一般組の星として、野戦病院状態のチームの光として、より一層の速さと強さを身につけ活躍してくれることを期待しています。

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【番外編】マイルについて語りたい

マイルって超かっこよくないですか?3000mSCとかいうハードな競技を考案した人は性格が悪いか狂っているかの少なくともどちらかだと思いますが、マイルを考案した人は10000000000000%天才だと断言します。まず1人で400mを走る時点でかっこいいじゃないですか。大きなストライドで素早いピッチとか長距離と短距離のかっこよさの濃縮還元ですよね。そして400mって後半型の選手であっても最後だいたい死ぬほどキツそうにするので、瀕死状態でバトンを次走者に託すのもかっこいいじゃないですか。で、そのバトンを受けた選手が「ここからは任せろ!」と言わんばかりに猛スピードで駆け抜けていくの、めっちゃかっこよくないですか。さらに激アツなのが、みんな同じところからスタートしてみんな同じところに帰ってくる点。陸上競技としては珍しく団体競技みが強いですよね。ゴール後に4人で集まってしんどそうにしているのとかもう、全員が全力を出し切った様子が前面に出ていてほんとかっこいですよね(ニチャア(オタク特有の早口

予選後の眞々田くんの笑顔が爽やかすぎて、部員日記で競走部の皆さんが語彙力を駆使して彼をイケメンだと表現するのにも納得しましたし、竹内くんのバチバチに絞れた体格とクールな表情も最高でしたし、藤好くんは2021静岡国際でのPB更新を覚えているのでマイルを走る姿を観ることができて感慨深かったですし、新上くんがゴール後に(ほら、みんなで応援してくれた人にありがとうございますするよ)みたいな感じで他選手に声掛けしていたのを見て一生ついて行きたくなりました。マイルメンバーかっこよすぎで草。

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あとがき

長距離ブロックの話に戻しますと、箱根予選会のレベルが年々上がっている点と指導者交代による混乱により、3年前と同程度の苦戦を強いられるのではと危惧しているのが正直なところです。素晴らしい選手をたくさん抱えているのは紛れもない事実ですので、どうかそれを結果で証明してほしい。マネジメント志向が強い創士くんによる改革をはじめとして、兄貴肌の4年生、意識の高い2〜3年生、粒揃いの1年生、それぞれの良さがうまく噛み合って、全日本と箱根との二冠が達成できることを心より願っています。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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