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よわよわ作家とつよつよ編集さん 16
16 延期すること風の如く
ちょっと不安が大きくなってきたので、ダメもとで米田さんにメールを送ります。すると、こんな返事がきました。
(※返事をいただけるのが当然のように書いてますが、中には返事をくれない編集さんもいらっしゃるそうです)
米田さん『ただいま表紙の装丁を進めている最中で、まだ正式な発売日は決まっていない状態なのですが、このペースだと翌月後半頃になると思います』
みつき「(え……?? さらっと発売日が延期されてる……?( ゚Д゚)」
以前話したときは、たしかに決まってたよね? 仮だったってことなのかな?
どうしたんだろう。なにか勘違いしてるのかな。
それに内容が米田さんらしくない、いかにもな事務メールです。
もしかして、聞かれたくないことを聞いてしまったのかも。でもこれを聞かれたくないものだと仮定したら――と、にわかに焦りが出てきます。
表紙の装丁とレイアウト作業は、作者は関わらない部分なので、待つことしかできません。
結局「次のご連絡をお待ちしております」と返信し、おとなしく日々を過ごすことにしました。
出るはずだった予定日をすぎ、数週間が経ちました。
それでも、連絡がいただけません。
みつき「さすがにおかしいよ……。だってあと装丁だけだよ? 装丁でこんなにかかるのおかしいよね? それとも出版社さん都合で発売日が延び延びになる現象って、よくあることなのかなぁ……」
部屋をぐるぐる回りながら、ひとり言をつぶやきます。
改めて、編集さんに、聞いてみようと思いました。
舎野さんは挨拶を交わしたばかりの間柄なので、ここはやはり担当の米田さんにメールを送ります。
みつき『米田さん、お世話になっております。そろそろ告知が来るかな?と、心待ちにしているところです。書籍の件、今どのへんまでいってますか? 舎野さんには、今、表紙の装丁を依頼したところまで聞いているのですが』
米田さん『ただいま舎野さんに確認を取って参りましたが、ロゴをお願いしたデザイナーさんのご身内が入院され、さらにデザイナーさんご本人も体調不良になられたようで、進捗が遅れている状態とのことです』
ん?
聞き慣れない言葉が……入院!?( ゚Д゚)
米田さん『よって、現在、相手からのレスポンスが鈍く難航しており、今後の予定が確定できない状況にあります。大変ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありません。状況が確定次第お知らせ致しますので、今しばらくお待ち下さい』
みつき「わ……(思考停止)」
「まま、まじですか……!?!?( ゚Д゚) ちょっと、猫さん! 猫さん、来てください!!
今すぐに猫さんを吸わないと、おかしくなりそうです!!!!」
しばらく我を見失ってしまいました。(※家に猫はいません)
このままでは、先の見通しが全くたたないので、もう少し詳しく聞こうと魂を肉体に引き戻します。
みつき『お返事ありがとうございます。ちょっと混乱して……そんなことが起こってたのですね。この件、舎野さんに直接、お聞きしたほうがよろしいんでしょうか?』
米田さん『お心を煩わせてしまい、本当に申し訳ありません。どうしても人間である以上、体調面や生活上のトラブルが発生することがあり、舎野さんも不確定な情報をみつきさんにお伝えして振り回すわけにはいかず、お伝えするタイミングが遅れてしまったものと思われます。
私も先方の状況をすべて把握しているわけではないのですが、入院=本人ではないため、相手の調整次第で仕事できる内容だった→→何度も舎野さんが確認の連絡を取るも、反応が鈍い……といった状態で、対応が難しかったという側面もあります。
昨夜、このままだと話が進まないと判断し、別の方にお願いすることにしたとの連絡をいただきました。今回のような件はかなりのレアケースです。
当初の予定より遅れてしまい大変申し訳ありませんが、これから新しい方に依頼して進めていくと、来月上旬頃の発行になるかと思われます。
大変申し訳ありませんが、今しばらくお時間をいただけますよう、お願いいたします』
え。。。(◎_◎;)
つまり、ロゴ装丁は最初の段階からやり直し……?
出版社さんだったら何人かデザイナーさんをキープしているはずだけど、皆が皆、予定が詰まってたら、さらに延び延びになってしまうってこと……?
ええと。
今の時点で、何回延びたんだっけ。
最初、春の予定だったから、四回めくらいだったような。でも、こういう事情だと来月上旬っていう予定も確定ではないはず……。
となると最悪、一年待っても出ないってことに。や、もしかしたら、それ以上……?
みつき「ふわっ……(涙)」
メンタルやば……っ、崩れる――……
埋葬だ!!!!!!( ゚Д゚)
いや、瞑想、瞑想の間違い!!!!!!死んじゃダメっ!!!(ここは本当にキーボードを打ち間違えました)
この時の衝撃を、なんて表現したらいいんでしょう。
もはや涙すら、抜かれていく魂に持ってかれる気がします。
イメージする絵面を例えるなら、人生に疲れた厚化粧の女性がバーの片隅でぼっち、白目をむきながら煙草を吐き出している姿でしょうか。
もしくは、冷蔵庫から2リットルの炭酸ジュースを取り出し、ふたを開けた直後に滑って落としたことで、噴射を顔中に浴びたあとの虚無感あふれる姿でしょうか。
もしかして、永久に出ないんじゃないかなぁ?
あるいは天からの試練? もしくは、こういう運命なのかな?
――思考が悪い方向へ流れていきます。止まりません。
止めるべく、瞑想に入りますが、なかなか心も静まりません。
結局この日は、心を整えるのに必死だったため、米田さんからのメールには返信をしませんでした。
>17に続きます
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