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よわよわ作家とつよつよ編集さん 11

11 あとがきって何書くの?


 米田さんからメールが来ました。

米田さん『(前略)こちらしっかりと改稿原稿を受け取らせていただきました。
加筆修正および、前回よりも『……』や空行のカットをして下さりありがとうございます!
こちらが最終稿ということで、私のほうで体裁を整えた後に校正の赤ペンチェックが入ります。』

 いえいえ。
 私のほうこそ、日本語の基礎もあやしいような不安定な文章に対し、根気強く修正コメントをいれていただき、誠に恐縮でございます……。(ゆるやかに土下座)
 そしてまだ校正とかあるんだ……たいへんだなぁと他人事のように意識外に持っていったところで、無視のできない言葉があることに気がついたのです。

米田さんメールの続き『そして、あとがきですが、遅くても来月頃までにいただけるとありがたいです。もう少し先でも大丈夫かもしれませんが、後に延ばしていると忘れやすくなってしまうめ、覚えている内に書かれると良いように思います』


みつき「え……? あとがき……? あとがきって何書くの……?!?!?(◎_◎;)」


 自室の本棚を見回しても、小説の指南本に「あとがきの書き方」は載ってません。
 常識的に考えて、読者さんと担当さん、それに絵師さんにお礼を言うのは必須だとしても、読者さんが喜ぶようなあとがきって、何を書けばいいのでしょう。

1Pみつき「作品の内容やキャラについて語るとか……?」
2Pみつき「それは難易度が高いから、やめておいたほうがいい」

1Pみつき「じゃあ、家で飼ってるネコの話とか」
2Pみつき「ネコ居ないでしょ。見栄を張るんじゃない」

1Pみつき「読者さんからのおたよりコーナーとか」
2Pみつき「感想、まだもらってないよね?」

1Pみつき「よ……米田さんの書評で」
2Pみつき「担当さんの負担を増やさない! しかも贅沢すぎる!」

 

 ……困った。弱った。
 あとがきを教えてくれる人がいない今、誰かのあとがきを参考にして書くしかないのです。

 そもそもあとがきの目的って何……? 読む人いるの? みんな作品を読みたくて購入してくださるんだよね? 作者本人には興味はないよね? 

 って思うんですが。

2Pみつき「そーゆー人もいるよ。みつきも好みの小説に出会ったときには、作者さん自身に興味を持つでしょ? ついでにいうと、あとがきから読む人もいるくらいだよ」

 そっかぁ……。
 でもね。言ってることはわかるんだけどね。
「作者にまで興味を持ってくださる読者さん」が、あとがきまで読んで、作者の実態を知ってしまったせいで、元の小説まで嫌いになったら……と思うとね。不安しかないのですよ。
 ならばいっそ、あとがきなんてないほうが平和じゃないですか?

2Pみつき「どうしてそこまでネガティブな想像ができる……いやいや、『この作家さん、作品は好きだけど、SNS見なきゃよかった』ってパターンと似てるのかな(笑)……だったら、日常のちょっと面白い話、とかを書けばいいじゃない?」

1Pみつき「うん。じゃあさ、中学生のとき、自分の卒業式の日だけ遅刻して、お情けで皆勤賞をもらった話とかでいい?(※実話です)」

2Pみつき「面白くない……」

1Pみつき「まだあるよー。高校の入学式の日、全新入生の中でひとりだけ上履きを忘れて、スリッパで体育館に入場したときの話とかは?(※実話です)」

2Pみつき「つ、つまらん。出直してまいry……そうだよね。みつきはSNSでも面白いこと言ってないもんね。あとがきを面白く書くなんて、無理だよね、ゴメンね」

1Pみつき「SNSで面白いことを言っちゃったら、いざ作品を書くときの溜めがなくなるじゃん。いいんだよ、あっちはつまらなくて。作品に全力を注ぐべし!!」

2Pみつき「(またわけのわからないことを言い始めたよこの子)……わかった。毒にも薬にも草にもならない話を書きなよ。最初だからね、無難にいこう」

 ――このような脳内バトルの末。
 結局、毒にも薬にも、そして草も生えない話をあとがきに書いたのでした。

※ところで、作品も面白いのにSNSで面白いことをいえる作家さんは尊敬しております。作者本人が魅力的だと、宣伝力が違うんだろうなぁ……いいなぁって思ってます。

>12へ続きます

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