よわよわ作家とつよつよ編集さん 14
14 ハッピーハッピーはっぴー……?
翌朝の話です。
落ちこんでいるときこそ、「自分を大事に」と思うのですが、なかなか難しいことですね。
とりあえず、
「ぼちぼちいこ……」
の精神で、その夜は過ごします。
この「ぼちぼち」というのが重要なポイントでして……。自分に甘くしておくと、いざというとき外部に対しても優しくなれるので、ふだんからきっちりがんばらないことにしています。(ちょっとはがんばります)
それはさておき、朝起きていちばんにPCを開いたところ、須束さんから表紙絵が届いていました。
みつき「(……修正されている?! ここも、ここも、そこもあそこも?!)」
わ――――…………(´;ω;`)ブワッ……!!!
みつき「(できるかどうか約束できないってことだったのに、直してくれたんだ……。
絵師さん、どんな思いでやってくれたのだろう……編集のお二人も、(私以外のことで)仕事が忙しいはずなのに……。(´;ω;`)ブワッ(二回目))」
なんと予想に反して、イラストが修正されていたのです。
昨日までのもの思いはなんだったのか。あれほど考えたことに意味はあったのか。とにもかくにも、心配事があっさりとなくなりました。
みつき「よかった……大丈夫だったんだ……。皆さんに感謝だなぁ」
しばらく感激で心が満たされていたのですが、黙ってるだけじゃ伝わりません。
この嬉しさを編集のお二人に伝えなければ……! と、さっそくキーボードを打ちはじめます。
みつき『おはようございます(略)
ありがとうございます、ありがとうございます!
キャラも色使いも果てしなく可愛いです……!
髪型と、小物も調整して下さり、本当にありがとうございます。 こんな完璧に可愛く画いていただいて、なんとお礼を言ったらいいのか。(略)
イラストレーター様には、作者が涙を流して喜んでいたとお伝えくださいませ。 お二人もお忙しい中、ありがとうございます!』
まとまりのないお礼文をつらつらと並べます。(何回、同じ言葉を言ってるのでしょうか(苦笑))
「そういえば」と、ここで思い出したのですが、よく見ると表紙絵の構図が、初期に私が出した案と似てるんですね。
そちらをあとで確認してみたところ。
みつき「米田さん、この表紙絵、以前私が「主人公がこうしてこうしてこーゆー感じの構図でどうでしょう」っていう希望案を拾ってくださったんですね?」
米田さん「(´▽`*)ニコリ」
みつき「ふわーーー」
なんていい人たちなんだろう……(涙)
キャラデザからはじまり、表紙絵の構図、色、作品性まで考えての細かい修正、しかもこんなに私の話を聞いてくれてなおかつ丁寧にやってくださるなんて……(´;ω;`)ブワッ(三回目)
「恐縮です」なんて言葉では足りない。
もう私、つよつよ出版(のある場所)に足を向けて寝られないです。
南に向かって敬礼しなくては――と、ビシッと気持ちを整えたあとで、もういちどキーボードをたたきます。
みつき『改めまして、表紙の打ち合わせをありがとうございました。まだ少し本文の修正が残っていますが、こんなにすばらしい絵を描いていただけて、とても感謝しております。 正直、自分はまだまだ小説家としては未熟で、書籍化いただいていいのかな? と考えたこともありましたが、コンテストで選んでくださった編集の皆さまを信じて、この本に関しては胸を張ろうと思います。発行まで、どうぞよろしくお願いいたします』
よし、ちゃんとご挨拶しました!
表紙もできあがったし、このペースでいけば予定通り初夏の発売に間に合いそうです。
ハッピーハッピーハーッピ!!
……。
………………。
あれ……。
表紙ができあがったくれたのはとても嬉しいんだけど……あと、何かあったような?
表紙の印象が強すぎて、すっかり終わった気でいたのですが……よく考えたら、この後まだ工程があったはずです。
米田さんからもらった出版日程表を確認します。この先は、校正(赤入れ)による本文修正、あと装丁と……契約書もまだ書いてないことに気がつきました。
契約書って(出版社さんによって違うと聞きましたが)、たいてい本が出る直前、あるいは出た直後に交わすみたいなんですよ。
これは、なぜなのでしょうね。
作者にとっては、最初に契約してくれたほうが、そのあとメンタルでの変な揺れもなく、安心して執筆作業ができると思うのですが。
もしかして、何が起こるかわからないから、最後なのでしょうか……?(震え声)
――さてさて。
ここまでくれば、あとはすんなり書籍発行までいくと思いますよね?
私も、そう思ってました。もうつまずく要素もないし、問題なんか起きないだろうって。
私が関わる仕事も赤入れの修正くらいだろうし、あとは発行後の宣伝をがんばることかなっ、て。
……でも、いかなかったのです。
>15へ続きます
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