選挙が役所にもたらす負担と、市民の方々に望むこと
「福祉の増進と職員負担の軽減との両立をめざす」が最近のテーマとなっている、みきやと申します。
この記事を書いているのは2024年10月ですが、衆議院選挙が公示され、10月27日の投開票に向けて日本全国の役所が大慌てで準備に取り掛かっていることと思います。
投票する側からすると、投票所に行って紙をもらい、候補者名や政党名を書いて投票して終わり、という単純なものと思われがち。ですが、その裏で役所は相当な負担を負っているという事を知ってもらいたく今回の記事を書きました。
どういう負担があるのか、また、これらを踏まえて市民の皆様に従事者が望んでいることを書いていきたいと思います。
選挙に伴う負担
①時間面
選挙に伴う業務は通常業務に上乗せされます。選挙があるから児童手当の支払いを2か月ストップします、とか、介護保険の認定を延期しますといったことは許されません。
投開票そのものは日曜日に行われるため、月~金で勤務している役人が何を甘えているのか、という方もいらっしゃるかもしれません。社会人経験のある方ならわかるかと思いますが、当然事前の準備に時間がかかります。準備8割とかいう言葉もありますが、投開票当日以上に様々な時間をかけて当日を迎えています。
具体的に言うと、こんな感じです。
期日前投票所における従事や不在者投票の運営
投票所として使用させていただく学校園との調整(今回は運動会シーズンに急に決まったため、苦慮している自治体も多いかも)
投票管理者となる方への挨拶および説明
前日の設営、等
もうそろそろこういった業務を外部に委託するようにしないと、本業にも支障を来しかねない状況になってきていると思います。児童手当などは10月に拡充し、追加で申請できる方からの申請が殺到しており、12月の支払処理に間に合うように入力を負えないと「事故」扱いになってしまいます。
その一方で選挙後に必ず代休を取得しなければならず、通常業務に従事できる時間が一層少なくなるという事態になっています。
②メンタル面(事務編)
選挙に関する各種事務に従事するにあたり、必ず言われることがあります。それは、「間違えたら必ず報道発表されるぞ」ということ。投票用紙を反対に交付してしまったとか、1人に2回投票させてしまったとか、毎回日本各地のどこかで起きているミスですが、100%報道発表されます。
人間のやることだからミスがあっても仕方ないことだし、根本的にやり方を変えない限り根絶できないミスなのに、ミスれば報道発表という地獄と隣り合わせで職員は選挙事務に従事するわけです。
期日前投票は午前8時30分から午後8時、選挙当日は午前7時から午後8時。人によっては前日に自腹でホテルに泊まって投票所に向かう人もいます。役所に泊まる人もいます。役所の職員は超絶睡眠不足の中で投票所事務に従事しているということに少しでも思いをはせてもらえると幸いです。
③メンタル面(人間編)
また選挙のときって必ず文句を言ってくる人がいます。例えば、通路の柵を乗り越えようとして入口に頭をぶつけた人がいたとします。シンプルに自業自得なのですが、「ちゃんと貼り紙をしておけ」と文句を言ってくる始末。実際の事例を言うことはできませんが、こんな感じで文句を言ってくる人がいました。
文句を言う側も「自分こそ正義」みたいな考えで来るので、悪者扱いされる我々としてはけっこうしんどいんですよね。こうなってくると先回りして注意喚起しておこうという考えが働きます。その結果、投票所は貼り紙だらけになります。そのうち「貼り紙だらけで見苦しい」というクレームがきたらどうしましょう(笑)。
過去実際にあった(今もある?)ものとしては、
「時計の時間が正確じゃない!」→時計の近くに『調整中』と貼る(学校園の時計に関する文句を担当じゃない人間に言われてもねえ、、、)
「校歌の中に候補者と同じ名前が書かれており、特定の候補者に有利になる!」→効果に目隠し用の紙を全貼り
みたいな感じです。もはや病的とすら思えるクレーム対策、、、
こんな感じて、「これも何か言ってくる人がいるかも」「あれも何か言ってくる人がいるかも」とビクビクしながら従事し、メンタルに負担がかかっている状況です。もう少し大らかになればいいのに。
他にも投票所周辺で喫煙する人もいるため、その人たちのために水入りバケツを用意したりしています。親子連れで投票に来る人もいる中でさすがにやめてほしいですね。ただでさえ学校園はこどもたちのためにある施設なので、そもそも周辺での喫煙はやめてほしいです。
従事者として市民に望むこと
こんな感じで、本業に支障を来さないよう、限られた時間の中で職員は選挙に従事することになります。ましてや当日は相当な睡眠不足。少ししんどそうにしている職員を見かけたら、「ご苦労様です」と声をかけてもらえると嬉しいです。
あとは、終了時間ギリギリに駆け込んでくるということもできれば避けていただきたいところです。投票所に従事した職員は投票終了後速やかに開票作業に移る必要があり、投票所を片付けて役所に戻る作業に遅れが生じることにもなりかねないので。
投票する方が心地よく過ごせるよう役所も努力していますので、こういった職員の見えない頑張りに目を向けていただき、できれば役所の広聴部門にお褒めの言葉をいただければ幸いです。