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ボランティアのおっちゃん、コロナひとり旅から戻る。【美術館再開日記18】

10月から東京もGoTo解禁だとか。移動することがこんなにも注視(というか監視)されるコロナ時代。ものすごく我慢する人も多い。でもやむにやまれず、旅に出る人もいる。人はいろんな事情を抱えて生きている。

美術館を居場所のように使う人たちはいろんなタイプがいると思うが、美術を介してそこで誰かに出会えるから通う、という人がけっこういる。高齢者比率が高い当館のボランティアの皆さんは、ほぼそうである。仲間に会えたり子どもに会えたりするから、通う。家族を失ったりして、ますます足しげく通うようになる人もいる。でもコロナで突然、仲間にも子どもにも会えなくなった。健康リスクを抱える人も少なくない。この先どうしたらいいんだろう。それぞれに考えあぐねている。

旅に出て帰ってきた、ボランティアのおっちゃんのこと。今回は短いです。


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美術館再開60日目、8/10、猛暑日。旅から戻ったボランティアのおっちゃんに会う。

都内のコロナ陽性確定者ざっくり200人。

珍しくスナック菓子をぽりぽりかじる。
「森のパテシエ ふらのたまねぎチップス」。

今年は活動しないよと言って軽トラを買い
北海道までひとり旅をするんだと話してくれた
ボランティア、やんちゃおじさんの
超オススメのお土産である。
無事に行って帰ってきたらしい。

それがさあ、誰にも迷惑かけないように
軽トラのなかで寝泊りしようと思ってたのに
みんなに止められてさ。
結局ホテル泊まっちゃったよ。

みんな、というのは旅先の土産物屋とか
食堂の人たちのことらしく、
コロナがらみのことより、それなりに高齢の
やんちゃさんが熱中症にでもなったら、
と心配されたようだ。
全くまっとうな人情と心配りに安心する。

迷惑をかけないように。

コロナでますますインフレを起こしている言葉。
いつもいつもモヤモヤする。

やんちゃさん、
活動しないよと宣言したわりには
けっこう館内で見かける。
ミュージアムショップの店員に
すごく話しかけていたりする。

店員の方はやんちゃさんがなぜそんなに
親しげに話しかけてくるのかわからない。
微妙に切ない。


※やんちゃさんが旅に出る理由。それを知った日の日記はこちら。当館を支えているボランティアの雰囲気がわかると思う。


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