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大学ラグビーをより『深く』知ろう(第1回)〜ベテランファンに聞く《慶應v筑波戦》〜

夏の甲子園1回戦
法政二高vs秋田経法大附属高

例えばこんな試合があったとする。とりあえず法政の附属校と秋田県代表が戦うことは分かっても、注目選手がいない限り選手の顔と名前は一致しない。もちろん戦略も戦術もわからない。

しかし、一度テレビをつければ、『人生に一度しかないかもしれない晴れ舞台』に全力投球する球児の姿に心打たれる。どちらの学校も応援し、負けた学校に労いを、勝った学校に激励を送る。また明日も次の試合を見てみようと思う。

大学ラグビーはこれに近い。たとえ卒業生であっても、ラグビーファンでない限り、一般学生である選手のことは何もわからない。でも見たら応援し、感動し、また見たいと思う。

ただ、ラグビーの戦略戦術について、さらにチーム、選手について理解できればさらに楽しいはずだ。

もっと知ってみたいから、話を聞いてみた

今回は、大学ラグビー観戦歴が長い『ベテランファン』の皆様にご協力いただき、10月4日秩父宮で行われた、関東大学ラグビー対抗戦グループ、筑波大学v s慶應義塾大学の試合についてお話を伺った。

また、今年初めて大学ラグビーを体験されている方にも参加していただいた。

大学ラグビーを多面的に観戦する、そんな試みの第1回。

トークメンバー

《いのこ》
トークのインタビュアー。若いころに見ていたラグビー観戦を再開。サッカー観戦、宝塚も好き。
《トヨノボリ》
50代男性3児の父。
中学時代よりラグビーを観戦、現在は早稲田大学のファンだが、最初は同志社大学ファンであったことは内緒。
プレー経験は大学の授業のみ、文句だけは一人前な典型的親父ラグビーファン。
自慢は息子が小学校時代に参加していたルーパスJrの交流フェスタで、大野均選手にラインアウトリフトしてもらったこと。
今年はコロナで聖地巡礼ができなかった熱狂的カープファンでもあり、小学校時代のあこがれはマルチプレイヤー木下富雄(現焼き鳥店店主)。
《しんさん》
50歳男性独身(×1)。大学在学時に観戦したワセダのラグビーにハマってラグビー観戦を続けること約30年。ワセダのみならずラグビーの「ラ」のつくこと全てと旅行とグルメをこよなく愛する。国際問題、政治を除く社会問題全般、サブカルチャーに薄く広く興味あり。有名人・他人のスキャンダル、ゴシップネタには全く興味なしの会社員。
《てん》
観戦歴は数年。ご主人が《シン & トヨノボリ》さんたちと大学の同窓で、夫婦そろってのラグビーファン。
《マリエ》
ラグビーワールドカップ2019日本大会からのラグビーファン。大学ラグビーは初体験。

ベテランのシン・トヨノボリ・てんさんは、冒頭の甲子園の対戦カードを見て即座に

『ヤマハHCの大久保直弥とCanon監督沢木敬介の母校、という小ネタだな。』

と理解するほど豊富な知識量のベテランです😅

今日はよろしくお願いいたします🙇‍♀️
それでははじまります。

質問その1:前半の筑波の良さって?

《いのこ》
前半は総じて慶應が再三チャンスを掴みましたが、前半終わってみれば5-10で筑波リード。筑波のどこが良かったでしょうか。

《しんさん》
筑波は総じてディフェンスが良かったですね。最後まで。

《トヨノボリ》
ポジッションでは圧倒されていましたが、特にラインディフェンスがよかったと思います。相手がミスするまで粘り強く守り、チャンスで確実に得点していました。

《テン》
バックスの差でしょうか。筑波の方が良かったですね。

《マリエ》
総じて筑波のプレイヤーの統率が取れている感じがしました。素人目ですが、15人全員の意思疎通が出来ているような印象を受けるグラウンドの使い方でした。

質問その2:前半を終わって

《いのこ》
前半終わった段階でこの点差、どんな感想をお持ちになりましたか?

《しんさん》
筑波が疲労して、後半は慶応ペースになると思いました。

《トヨノボリ》
私も、筑波が疲労して、後半は慶応ペースになると思いました。
ただイージーなコンバージョンを外したので少し嫌な感じがし、ギャップを突かれて簡単にトライを許してから、オフェンスも堅く行き過ぎてかえってミスを産んだ気がします。

《テン》
FWは慶應が優勢だったので、後半まくれるかなと。

《マリエ》
前半は慶應先制点ではじまるも筑波がとても調子が良く慶應がやりたい事が思うように出来ていない感じがしました。
慶應が流れを変えて自分たちの空気を作るには、全員の意識が大きく変わる、もしくはハッと目の覚めるような、一撃のようなプレーが必要なのでは...と少し焦りのようなものを感じました。

質問その3:勝負の潮目はどのあたり?

《いのこ》
勝負の潮目はどのあたりだったと思われますか?

《しんさん》
前半終了間際の筑波陣ゴール前の慶応ボールスクラム選択でしょうか。「焦らずショットで3点刻んで2点差で後半に入れば」との選択に?でしたが、スクラムで逆に反則を取られて「ガクっ」と慶応フォワードが落ち込む音が聞こえました。逆に筑波フォワードは渾身のガッツポーズ。「これは結構後引くターニングポイントかも」と思いました。
ハーフタイム後、筑波が先にグランドに出てきた時も「行ける!」という雰囲気を受けました。

《トヨノボリ》
慶應がゴール前まで攻め込んで、エノサ君が取り切れなかった時かなと思います。

《テン》
後半、筑波のPKが重なった辺りからでしょうか。

《マリエ》
後半、植村くんのトライです。

質問その4:活躍が光った選手は?

《いのこ》
この試合、筑波で最も活躍した選手を挙げてください。慶應で目立った選手も挙げてください。

《しんさん》
13番の谷山君でしょう。後半最初のトライのオフロードは、フルバックの植村君との呼吸もピッタリでただ者ではないですね。ジャッカルにパントキャッチと鬼神の働きでしたね。
慶応はフランカーの山本かい君が際立ってましたね。前半の優位は彼によるところが大きい。ただ後半存在感が。。何故だろう?

《トヨノボリ》
全般的にキッキングゲームだったので、ハイボールキャッチの差が出ました。注目は新人の谷山君と多分FBの植村君だと思います。
慶應はFLの山本君が再三ノットリリースを誘っていましたね。

《テン》
筑波#13谷山くん 慶應#7山本くんでしょうか。

《マリエ》
筑波は谷山くん、オフロードもキャッチもタックルも凄かったです!

質問その5:両チームへの今後の期待・課題

《いのこ》
両チームの今後の期待もしくは課題を簡単にお話しください。

《しんさん》
慶応はあまり引きずる必要はないのではと思いました。失点は谷山君、植村君の個人技によるところが多かったので。せっかく用意していたであろうプレーも最後のハンドリングエラーで潰していたので、その辺りの確度を上げる。
筑波は、ディフェンスは良かったのと二人の個人技、後スクラムハーフの判断は良かったのでそこを伸ばしていくのと、セットプレーは課題ですかね。

《トヨノボリ》
筑波のBKは決定力があります。今日はエース松永君抜きですから上がり目しかないかと。
FWは特にセットプレーでかなり慶應にやられていたので明治、帝京あたりにゴリゴリ来られると厳しいかもしれません。
慶應は22mまでもっていく力はあるので、決定力、そしてプレイスキックの精度向上だと思います。今日は優位だったFWが上位勢との対戦では逆転しますので、得点機に確実にスコアしないと。
昨年もそうでしたが留学生がインパクトプレイヤーになっていないのが気になります。

《テン》
筑波のFB争いが気になりますね。慶應はどうBKの精度を上げるかが課題でしょうか。

《マリエ》
この一戦で、慶應らしさが溢れ出る試合をぜひ見たいと思いました!!

質問その6:大学ラグビーの魅力とは?

《いのこ》
トップリーグともスーパーリーグとも違う、大学ラグビーならではの魅力とはなにか、簡単にお話しください。

《しんさん》
高校ラグビーもそうですが、限られた時間の中で全力を尽くす姿ですかね。4年生は一生に一度だけですからね。

《トヨノボリ》
毎年入れ替わりに伴いチームが変わっていくこと、その分シーズン中での伸びが観ていても感じられます。
成熟したチームのレベルの高いゲームとは違った歓びというか楽しみがありますね。

《テン》
番狂わせが多いことや、シーズン中の成長が凄いですね。

対談を終えて

この後、再度筑波慶應戦を見直すと、通り過ぎていたシーンがクリアになる事実に少なからず驚いた。

《考えるな、感じろ!》初心者はまずこのブルース・リー的心構えが必要だが、『深く知る』機会を持つことも又、その後の観戦に一層の深みを加えるという点で大切にしたい時間だと思う。

また同時に、私も含め、ラグビー初心者は『感じる』ことを恐れてはいけない、と今回つくづく感じた。興味を持って物事を見つめれば、誰でもその『核』を大枠ながらも掴むことができる。その繰り返しが『ベテラン』への道のりなのではないか。

(本記事は、クボタスピアーズ岸岡選手の大学ラグビー応援企画に参画する、いのこさんのインタビュー記事を、みきしのが編集しました。)


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