見出し画像

実務翻訳7年生の気づき

個人的な働き方改革を始めて2か月。これまで履歴と職歴を合体したCVを日本語・英語で準備していたのですが、派遣仕事を探すときは普通の会社に登録するので、履歴書と職歴書を出す状態に突入。

派遣仕事でプラスとなるのは実務翻訳の経験ですが、まだ7年生の駆け出しには大した経験も少ない上、音楽業界での経歴は普通の会社では大して役に立たず、逆に不真面目な人と思われるほどです。

とは言え、普通の会社にアピールできる仕事をまとめるには、この7年間の仕事内容を思い出す必要があります。そこで、あれこれ考えていて、はたと気づきました。

私が実務翻訳に参入した時期が、偶然IT翻訳やローカライゼーションが一般的になり始めた時期と一致するようで、最初にスカウトされた欧州の翻訳会社から、実務翻訳初心者には考えられないほど、多種多様な内容の翻訳仕事が依頼されました。

今でもIT翻訳と一括りに呼びますが、現在は分野の範囲が広がり、サブエリアが細分化しています。扱う内容によっては、単なる翻訳能力では太刀打ちできないものもあり、理解力が足りずに直訳に毛の生えた程度のダメな訳文になってしまう場合もあります。

特に日本語は「これはこんなふうに言わなくてはいけない」ルールがあって、その方程式から外れると誤訳になってしまうのです。確かに「方程式」に沿っていれば間違うことがないわけで、いかにも日本人らしいなと思います。

そんなことをあれこれ考えていて「自分が一番楽しい実務翻訳はなんだろう?」と思ったとき、なんと「コンサルティングのホワイトペーパーと資料」と、自分に即答しちゃいました。

その理由は単純です。

その時々の社会トレンドが如実に分かるし、それをどんなふうに活用するのかを垣間見る機会に恵まれるから。翻訳しているだけなのに、社会の動きが見られるって素敵じゃないですか! それに、ちゃんと意味の通じる文章なので、翻訳していて楽しいんですよ。

そんなこんなで、私はもうIT翻訳に手を出すのをやめます。これまで接触のあった範囲内ですが、IT翻訳を扱う翻訳会社にしろ、派遣会社にしろ、なんだか柔軟さが足りない印象があって、私とはウマが合わないと気づきました。

CVにも「IT翻訳はいろいろやってきたけど、これは苦手なのでやりません」と明記する予定です。3~4年前に求められたレベルと現在のそれは確実に異なりますから、発注側も受注側もケガをしないようにしないと。

でも、7年生にして実務翻訳の得意分野が見つかってよかったです。あちこち手を広げると器用貧乏になってしまうし、興味のないことは努力しても覚えられませんから。

そう言えば、昨日は久々に14時間ぶっ通しで字幕のMTPEなんてのをやって納品しました。

合計40分のプロモーション動画10本で、字幕アプリではなくWord書類上でPEするという変わり種。内容は全く難しくなく、問題は140ページという分量でした。

1ページ当たり1~2行の字幕が7~8本、タイムコードと一緒に書かれているので、書籍などのページ密度とは全く異なります。しかし、ソースが12,000W、最終的なターゲットが40,000字で、MTPEとはいえ、1日でこなせる分量を遥かに超えていました。

でも、五十路後期のおばちゃんに、体力・気力・集中力がまだこれだけあると気づけて、かなり嬉しいです。逆に一つのことに100%集中したせいか、今朝は心身共にスッキリして、まるで浄化されたようでした。

さすがに毎日14時間は無理ですが(9時間以内なら無問題)、たまにはこんなハードな仕事も良い変化になっていいかも…なんて思っています。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?