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赤ちゃん(生後4ヶ月)とネントレと私

 産前、私がいちばん恐れていたのは「夜眠れない」ということだった。

 母乳やミルクなどの栄養面、順調に発育しているかどうかは、助産師さんや保健師さんに赤ちゃん本人を見ながら判断して貰えばいい。病気のときや検診では、小児科のお医者さんや看護師さんもいる。
 でも、睡眠は(ほぼ)家庭でしか見ることができない。母子手帳にも「新生児のうちは3時間おきに母乳ミルクを与えます」「赤ちゃんは泣くのが仕事です」とかしか書いてない。情報が無さすぎる。

 夫のサポートがあるとしても、母乳育児なら夜間胸が張ってしまうから授乳に起きる必要があるという。混合栄養だとしても、夫が育休から復帰したら夜は私がメインで対応することになるだろう。でも私は昔から、入眠が下手で寝起きも最悪なのだ。
 どんな育児書やエピソードを読んでも、私に夜泣きの対応ができるとは思えなかった。がんばれて1か月…日中のサポートがあって3ヶ月くらいかな…もし耐えられなかったらどうしよう。つわりのせいもあり、ネガティブな想像が止まらなくなっていた。

 とにかく今できる準備をしようと、本屋や図書館で妊娠出産の本を片っ端から読み、SNSやウェブでの経験談、口コミを探していく(私はいつもこのやり方だ)。
 そこで出会ったのが「ねんねトレーニング(ネントレ)」という言葉だった。

 ネントレとは、赤ちゃんが自分で眠る習慣をつけるトレーニングのこと。「ジーナ式」など色んな方法があるらしい。10冊ほど読み比べて、いちばん私にとってわかりやすいと感じたこの本を手元に残した。

家族そろってぐっすり眠れる 医者が教える赤ちゃん快眠メソッド

 ただでさえ細かいことは覚えられないのに、産後のフラフラな状態でたくさんのルールに従うのは無理そうだ。でもこの本はシンプルでポイントを抑えていると思った。
 生後0〜2ヶ月、3〜5ヶ月、6ヶ月以降の赤ちゃんの睡眠について、大まかなスケジュールや夜泣き・寝ぐずりの対応法が書いてある。
もちろんねんね(睡眠)の環境の作り方や、ネントレの考え方も。

基本的な対応

  • 睡眠の環境は遮光・音・温度管理が大切。

  • 窒息防止のため、ベビーベッドの中には何も置かない。掛け布団は要らず、おくるみ→スリーパーを利用する。

  • 寝る前のルーティンを作る。

  • 泣いたらすぐ抱っこではなく、泣いている理由を探る。

睡眠リズムの経過

  • 生後3ヶ月頃までは昼夜の区別がつかず、だんだんとリズムが整ってくる。

  • 生後6ヶ月頃までは消化器官が未熟で、夜間にも栄養を欲しがる可能性が十分にある。

  • 以降はある程度しっかり眠れる土台が作られているので、抱っこや授乳ではない方法で寝かしつけできるようにトレーニングできる。

 ざっくりと書き出した程度だけど、これを産前に知っているだけでかなり気が楽になった。



 出産後、毎日この本を開きつつ、少しずつ娘の様子を見ながら試していった。

 生後0〜2ヶ月の頃、夜間泣き続けて途方に暮れたこともある。しかも何度も。
 でもそれは「今だけ」で、6ヶ月頃までには眠れるようになる、ならなくてもトレーニング方法がある、と思うと心強かった。

抱っこで泣き止まないなら、赤ちゃんが求めているのは抱っこではないのです

『家族そろってぐっすり眠れる 医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』 森田麻里子

 泣いているのはかわいそう、どこか具合の悪いところがあるのかも、お腹がすいているのかも、やっぱり抱っこが安心するのかな…そんな不安を打ち消すように、ひとつひとつのことをこなしてみる。
 それでもダメな時は「今の月齢なら仕方ない、だって昼夜の区別ついてないんだもん」と開き直りつつ、寝ていた夫と交代して睡眠をとった。

 夜な夜な対応してきた効果が現れたのか、発育が環境に追いついてきたのかはわからない。それでも生後3ヶ月に入る頃には、少しずつ眠る時間が長くなっていった。
 保育園にも行き始め、お昼寝の時間は園と合わせてみた。寝ぐずりはまだあるが、なんとなく1日のリズムが決まってきた。そうすると、眠くて泣いているのかお腹が空いているのか、もっと別のことなのか、区別がつくようになってきた。

 寝る前のオススメルーティンに、生後3ヶ月頃からは19時にお風呂→ミルク→おやすみの挨拶をして20時就寝と書いてあったが、なかなかスムーズに寝付くことができなかった。
 ふと夕方からもう眠そうだと思い、18時お風呂→19時に就寝を試してみたら、娘にはあっていたようだ。ベッドに寝かせて30分以内には眠るようになった。



 生後4か月に入る頃には、夜間2回あった泣きが1回に減り、とうとう一度も泣くことなく、夜通し眠るようになった。
 起きてからもしばらく機嫌よく過ごしているから、スッキリ目覚めているらしい。
 夜間の授乳がなくなったため、ミルクの1日トータル量が減り、体重増加も緩やかになった。このまま痩せていったらどうしようと心配したが、保育園や検診で相談して問題ないようだった。

 それ以来、娘はほぼ毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるようになった。ぐっすり12時間睡眠だ。
 日中楽しそうに過ごしている。お昼寝は約2時間。通しで寝ないこともあるが、きちんと習慣になっているようだ。
 朝寝や夕寝の時間帯は、まだ寝ぐずりする。それでも声をかけて背中をトントンとすると指を吸いながら寝落ちていく。30分くらい経つと自分で起きてくる。

 夜通し寝てくれると、親としては非常に助かる。娘が寝た後は大人の時間。睡眠時間も取れている。
 もちろん途中で泣き出す日もある。でもその時の対応も心得ている。



 実際のところ、娘がよく寝るのはネントレの成果なのか、それとも本人の資質なのかはよくわからない。後年に実は嫌だったと言われるかもしれない。こればっかりはわからない。

 でも、こうして振り返ると、赤ちゃんの泣きの対応に必要なのは「観察」なのだと実感した。ネントレはそのために有効だったと思う。

 泣いたらあやすのではなく、その原因を探る。
 おむつ?落ち着かない?暑い寒い?体調?話しかけながら、触りながら、子どもを観察していく。泣き声に焦ってしまうけれど、環境を整えておき、見るべきポイントがわかっていれば、大丈夫。

 そうしているうちに、だんだんと生活に見通しが立つようになってきた。
 「いつもはこの時間に寝るからお出かけはその前に済ませておこう」とか、「いつもなら寝付くタイミングなのに、ずっと泣いている。具合が悪いのかな?」(この時は汗をかいており、着替えて体を拭いたらそのまま寝た)とか。

 すると、生活にある程度の枠組みができる。その枠組みを手がかりにして、親にとっても子にとっても負担がかかりにくい判断や行動をすることができるようになった気がする。

 自分が眠る時間を確保するためだけにやってきたことだけれど、いつの間にか「落ち着いて日常を送ることができる」、さらに言えば「安心して眠れる」環境を作れたんじゃないだろうか。

そんなわけで今回は
・子育てにおける睡眠が不安で、色々読んで準備したよ
・ネントレなるものを知り、実践してみたよ
・だんだんと時間をかけて夜通し寝てくれるようになったよ
・泣いている赤ちゃんの観察のポイントがわかり、生活に枠組みができてよかったよ
という話でした。

 今も娘はほぼ同じ時間に寝起きしています。少しずつ朝寝や夕寝が減っていますが、大抵朝からごきげんです。助かる!
 私もねんトレで育ちたかったな…

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