見出し画像

No.050 英語・挫折の歴史・その9・TV英語会話1・五代さんとの出会い

No.050 英語・挫折の歴史・その9・TV英語会話1・五代さんとの出会い


今日はあまり「挫折の話」はないかも、です。

少しずつ英語の勉強のリズムが掴めてきた。ラジオの英語番組は酒屋商売をしつつ、ウォークマンで聞いていた。仕事が終わると、夕飯後毎日、録画をしておいた「TV英語会話1」を視聴した。週に二回30分の放送だが、放映日以外の日でも見て、その日の要点の英文3個は必ず暗記した。日によっては全文暗記もした。映像がある分、ラジオより理解しやすく自分好みだった。

僕が熱心に見ていた時の講師の先生は小川邦彦先生で、マーシャ・クラカワさんがアシスタントを務めていらした。他にその日のスキットを演じる三、四人の若者が出演者だった。「紹介する」「電話を受ける」などの「場合別」のシチュエーションと、「税関で」「レストランで」などの「場面別」が交互に放送される実践的な作りも気に入っていた。

番組の中に5、6分くらいだったろうか「チャレンジコーナー」が設けられていた。毎回二人の視聴者がその回のスキットを演じる。演技後、発音などの指導があり、マーシャさんが出演者に感想を聞く。結構人気があるようで、「申し込んでから一年待ちました」などの感想もあった。

番組に出演するのも面白いかなと思い、NHKに申し込みのハガキを送った。申し込みが多そうだし、当たったとしても、大分先のことと思っていた。ところが、なんと投函してから僅か二日後にNHKから出演打診の電話があった。人気のあるコーナーだよね?そんなに早いの、連絡が。

この時28歳、酒屋商売をしている社会人男性。出演希望は女性・学生が多かったようだ。NHKの番組の都合上、幅広い人選をしたいのであろう、こちらは最も「申し込みの少ないタイプ」だったのでしょうね。二週間後に、渋谷のNHKスタジオで撮影があるとのことだった。

送られてきた台本を見ると、スキットは場面別「銀行で」。アメリカに行った日本人旅行者が、銀行でクレジットカードを現金化したり、両替をお願いする役であった。

渋谷のNHKスタジオは結構広かった。見上げると、天井に無数の照明がある。薄暗い中に、番組で見慣れた机や椅子が置かれていて、小川先生とマーシャさんは既に打ち合わせ最中であった。そばに、二人を見つめる品のいい中年の女性が立っていらした。僕の他のもう一人の日本人役を演じる方、五代さんであった。

小川先生、マーシャさんを始め出演者、スタッフの方達と挨拶を交わした後、早速リハーサルに入った。天井から吊るされた照明からの光の明るさに驚いた。照明に照らされていると、向こう側はぼやけて、なんとか人が立っているなと認識できるくらいだった。

五代さんが、まず銀行での日本人役を演じる。とても綺麗な英語で、落ち着いていらっしゃる。次に僕が緊張の中、何とか役割を終える。いつもの番組の中で見る小川先生の注意もなく、リハーサルは終わった。

リハーサルの後、軽く休憩があった。共演の五代さんはとても社交的な素敵な方であった。おしゃべりも弾んでいると、本番の時間になった。

本番撮影が進み「チャレンジコーナー」の時間となった。五代さんは素晴らしく、自分の役をこなされた。僕の番がきた。間違いもなく、無難にできたかな。家での練習の甲斐もあったかも、だった。リハーサルの時にはなかった小川先生の言葉が続いた。" Do you accept this traveler's check?" の" acccept" の" p" の音が弱いとの指摘だった。マーシャさんの後に続けての練習で、「アク・・セット」と言った後、苦笑いで誤魔化した映像が今に残っている。幸い、ベータなど再生する機会も、機械も見当たらないだろう。

帰りぎわ、五代さん「あなた、時間あるならお茶でもご一緒しない?」有難いお誘いだったが、あいにくすぐに帰宅し仕事をしなければならない旨をお伝えした。「じゃ、後日でも、うちに遊びにいらっしゃい」と名刺をいただいた。名刺に、五代美子とあった。お住まいは渋谷区青山であった。今に続く五代さんとの出会いの日でもあった。

・・・続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?