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No.213 戯れごと(2)「name-dropping :名前–落とすこと・虎の威を借る狐」

No.213 戯れごと(2)「name-dropping :名前–落とすこと・虎の威を借る狐」

「name-dropping」英語にこんな表現がある。直訳で「名前–落とすこと」会話の中で、有名人・社会的地位の高い人・タレントなどの名前を挙げ、自分と関わりがある感じを醸し出し、話している相手に自分を「すごい」と思わせようとすることである。必ずしも有名人ではなく、学校で人気のある生徒や仕事の上司であることもある。大体はさり気なく行われ、この行為を行う人を「name-dropper」という。ことわざ「虎の威を借る狐」と意訳もされる。他の権威を頼って自分を大きく見せることの例えで、否定的な意味合いで使われる。

政治家の「先生?」と握手をしてのツーショット写真が会社の広報などに載せられているのを見ると「name-dropping」の手法を連想して、僕などは「この会社はロクな会社ではない可能性があるな。自分とは相性が悪いな」との判断をする。タレントさんたちが、無意識に詐欺まがいの宣伝に加担した事例は少なくない。もう少し穿った見方をすれば「わたくし、こういう者です」と渡された名刺の冠の一流企業名にも「name-dropping」の匂いを感じる。

古今東西、人はこれに似た言動を罪のない程度に取りがちであるゆえ「諺」や「訓戒」として成り立つのだろう。僕は自分を戒めもせずに、面白おかしく、友人知人や塾の生徒や保護者の皆さんたちに、話のネタとして「name-dropping」に近いことを意識的にしている。これまでのnoteの記事の中でも、何人かの方に登場していただいている。文字で表すと愛嬌が伝わらないかもしれないが、福島訛りの残る僕の話し方でも想像して読んで欲しい。「戯れごと」である。話は飛びそうだ。

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「まだ世の中に羽ばたいていない、まあ無名というか新人というか、そんな人がオレと知り合ったり話したりするとだね、その後その世界で有名になったり出世したりするんだな。具体的なこと?いくつか挙げてみるかな。

『長澤まさみちゃん』彼女の出世作、映画『世界の中心で愛をさけぶ』で、マジックの指導をしたよ。オレが会ったときは高校1年生だった(No.074)。マジックを見せた後『わたし、女優でやっていけると思いますか?』って聞かれたから『もちろん!やっていけるよ。オレと知り合うとその後、みんな活躍しているよ』って答えたら、笑って『ホントですか!何か自信もらえました!』って言ってたよ。ツーショットの写真もあるよ。

『神田うのちゃん』は、オレの若き友人と付き合っていたんだ。この話は長くて面白いからまたにするけど(noteでもいずれ詳しく書きます)歌手デビューCD『JESUS!JESUS!』にサインしてもらったとき『歌手としてはイマイチで、タレントとして売れたら幻のCDサイン入り、高くなるな〜』と良からぬソロバンをはじいたよ。実際そうなって3枚のCDが手元にあるよ。2枚友人にあげたのが悔やまれる。

狂言師『野村萬斎くん』の奥さんとは仲良くしているよ。『萬斎』を襲名する前、結婚する前でもあったね。『チエ(仮名)』から、うん、大学の後輩だったから呼び捨てなんだ。平日の昼間に彼女から電話があってね。「おお、こんな時間にどうしたの?ひょっとして結婚相談?」「ええ〜!なんで分かるんですかー!」「平日の昼間に、オレに電話してくるなんてそんな所かなって。相手は古典芸能関係かな?」「ええー!!そこまで分かるんですかー!!」

マジックの読心術ではないよ。以前、チエに「連れ合いの由理くんと、文楽をよく観に行くよ」って言ったら「狂言は行かないんですか?」って聞いてきたんだ。それで唯一暗記している狂言『萩大名』の中の歌『七重八重 九重とこそ思いしに 十重咲き出ずる萩の花かな』って披露したんだ。これもまさしくname-droppingの一種だね。そこからかな、特に親しくなって、美術の話なんかもよくしたなあ。

電話の話に戻そう。「シンヤさん、野村万作さん知っていますか?」「人間国宝だよね、今や。オレの世代だとネスカフェのCMのイメージが強いね」「万作さんの息子さんです。幼馴染なんです」2時間近く話したなあ。結婚式にも連れ合いの由理くんとお呼ばれしたよ。家に遊びにも来ているし、今度写真見せるよ。性格もいいし美人さんだよ。

大学の同級生『セイラ』とお父さんの『小澤征爾さん』、ご家族との思い出はたっくさんあるよ。noteでも少しだけ触れているけどね(No.072 No.088)きちんとした記事にすると3、4回にはなると思う。大学での話だと、作家の『須賀敦子先生』(No.119)俳優で歌手の『西田ひかるちゃん』にはちょっとだけ話しかけたよ。モデルでトライアスロン選手の『リサ・ステッグマイヤー』もいたね。『linguistics言語学』のクラスの一つでいつも隣だったよ。リサには図書館で漢文の読み下しなんかを教えたよ。

趣味のマジック関係になると、そうだね、この世界で有名な人を『name-dropping』してみるね。戦後日本奇術界の草分け『高木重朗さん』(No.066 No.076)重鎮トンさんことマジックランドのオーナー『小野坂東さん』日本有数のカーデシャン『桂川新平さん』(No.103に登場)最近英語での作品集も発行されたアンダーグラウンドの怪物『佐藤喜義さん』(No.068 No.069)関西の才人クリエーター『赤松洋一さん』マニアックな研究家『平木圭一さん』コインの使い手にして勉強家ふーくんこと『堀木智也くん』こちらの塾の手伝いもしてくれた若手カーデシャン『M.Oくん』。照明など裏方の仕事をこなしてくれている『山田タカマサくん』(No.053)これから活躍の場を広げそうな若いマジシャンたちも、こちら中板橋にきているよ。『サンタくん(本名です)』『らいちくん(芸名です)』とは特に親しくしているよ。そして独自の活動をしている『メンタリストDaiGoくん』とは彼が大学在学中の時に出会ったよ。

DaiGoくんがテレビなどで活躍し始めた時、あるマジッククラブの会合で顔を合わせた。僕が「おお〜、稼いでいるなー!」と茶化すと「何言ってるんですか。テレビはお金になりませんよ」との返答がきた。続けての会話「東京ミッドタウンの最上階Fさんの自宅で初めて会い、フォーク曲げを見せてくれたね。そのあとオレがDaiGoくんに何て言ったか覚えているかい?」「覚えていますよ。『カネになりそうなことしているな。売れるよ』って、シンヤさん言ってくれましたね。嬉しかったなあ」「おお、よく覚えていたなあ。オレの見立ては当たるだろう」って笑い合ったよ。

その一方でだけど、物なり名を上げた人がコチラと会った後は、上手くいかなくなった話も多いんだよ。『元証券会社社長のTさん』『元TV放送局長のNさん』とか。まあ、愉快じゃない部分もあるかな。時が経ったら話す機会があるかも、だね。

え、なんでそんなに知り合いが多いのかって。人生の中で交差した人を『name-dropping』してみただけだよ。ワタクシは『庶民の街板橋の片隅でひっそり生きている』人です。誰にも媚びずに生きていることを誇りにしてはいるよ。

noteを始めてから2年近くになったよ。ネットだけで人と繋がっている。オレには今までにない経験で楽しんでいるよ。この中に、これから羽ばたいていく人も確実にいるね。今は、どこかの街角でひっそり暮らしていたり、上手くいかないで己の中で格闘していたり、美術館で真摯に絵画や彫刻に向き合っていたり、工房でひとり制作に取り組んでいたり、世界の紛争地域を歩いた経験から何かを学んでいたり、家事の傍ら情報や自分の思いを綴っていたり、とかね。

もちろん、有名になる必要なんかはないよ。結果として自分の行動から世の中に知られたら、その時また考えればいいだけかな。小さな幸せな家族を作っていくこと、自分が誇りを持って生きられること、そちらの方が大事かな。平和で、みんなが幸せになって欲しいよね。そんなことが政治的判断で、踏みにじられることが連綿と続いている。それってどうにかならないの?話が長くなってあちこちに行った。飛躍しすぎかな。終わるね」

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「name-dropping」「虎の威を借る狐」とも訳される。他人に被害を与えなければ笑っても済ませられる。人を陥れようとの意思があれば罪である。何処ぞの国の最高権力者さまは「武力(虎)の威を借る愚か者(狐)」だ。対戦国の人たちの命や平和を奪っているだけでなく、「平和」の名の下に己の名誉と支配欲を優先させて自国民の命をも奪ってもいる。

「name-dropping:名前–落とすこと・これまでの実績、成してきた名声を落とすこと」こんな意味を付け加えよう。


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