人柄、のようなものが生きる力の一つになる、という話

働き方改革という言葉を多く耳にするようになってから、「労働時間や能力に対して給与が支払われる」というもっともスタンダードなスタイルが少しずつ変わりつつあると感じます。
残業時間が減る、自宅ワークが増える、複業スタイルが増える、というのももちろんですが、もっと大きな変化として、感じることがあります。

こちらの記事からホリエモンさんの発言を引用します。

シェアリングエコノミーというのは、何にでも値段がつくんです。メルカリを見て下さい。たとえば今机の上にあるホテルのコースターでも値段がつく。
たとえば、ホリエモン万博に大阪から参加したいとしましょう。そこで「六本木までの往復の交通費と宿代をカンパして下さい。どうしてもホリエモンに会いたいです。その総費用が3万円です」とあったとする。すると一人あたり500円の支援額だと割とすぐに集まるんです。

どちらも、得られる「対価」は「労働時間」や「能力」につけられるものではありません。

一つ目のホテルのコースターであれば、ホテルの知名度、コースターの希少性、保存状態などを合わせて判断し、値段を付けることになると思うのですが、同じものを同じような条件でAさんBさん二人が出していたらどうでしょう?
どちらが「信頼」できるか(詐欺ではない、早急に対応してくれる、まともな送り方をしてくれる等)で判断するのではないでしょうか。

下に関してはさらにわかりやすいです。交通費と宿代なので、誰が出しても条件はほぼ同じでしょう。どのホテルなのか、新幹線か飛行機なのかなどは、カンパする側には(よほどでなければ)あまり関係がないと思います。
ではこの人にカンパしよう!と思った人たちの決め手はなんでしょうか。
「友人だし500円ぐらい出してもいい」「そこまで切羽詰まってるなら仕方ないなあ」「そういえば日頃からホリエモンに会いたがっていたなあ」「この人がホリエモンに会うとおもしろそう」「なんかカンパを求めることがおもしろい」など、色々と理由が予想できますが、それらに共通しているのは「信頼」とも少し違うように思います。

彼らは、何に500円(総計30,000円)の価値を付けたのでしょう??

わたしは、ここにあるのは「人柄」のようなものではないかと思います。
たとえ親しくても、あまりいい人ではなければ500円は惜しいでしょう。ホリエモンに会いたがっているのを知っていても、鬱陶しいと思っていれば知らないふりをするでしょう。

思い出したのが、ある企業の人材評価にかかわる項目を考えるお手伝いしたときのことです。モチベーション、積極性、対応力、リーダーの素質、失敗を恐れない気持ち、などが並ぶ中、「人に好かれる愛嬌のようなものを測れないだろうか」という意見が出ました。
能力がものすごく高いわけではない、リーダーというわけでもない、でも、その人がいればうまくいく、そういう人が確かにいる、というのです。
確かに、います。
どのような項目にしたのかはここでは言えませんが、評価に加えることになりました。
そういう時代なのだな、と感じました。
おそらく、もっとわかりやすい言葉で、このような力がいずれ定義されるのではないでしょうか。

なんか、うさんくさいなあ、能力の方がハッキリしてといいのでは、感じる方もいるかと思います。
が、わたしはあまり悲観的ではありません。

振り返ってみれば、わたしも、いわゆる「ややこしい」仕事のときに、能力の高い人よりも「嫌な顔をせずにしてくれる人」を選ぶことがあります。「嫌な顔をしない」という人柄が、すでにわたしにとってその人の大きな価値になっているのです。

自分がいればうまくいく!という人柄を意識的に形成するのはとても難しいことだと思いますが、「嫌な顔をしない」ぐらいならば、できる人も多いのではないでしょうか。

「労働時間や能力に対して給与が支払われる」スタイルでは、能力を高めるか長時間がんばるか、しかなかったのが、第三の道ができたということは、多くの人にとってチャンスだと感じます。(もともと能力が高い人、徹夜しても健康でいられる人、の方が少ないのだから)
「嫌な顔をしない」がベストではもちろんなく、逆に「はっきり意見してくれる」人がよい場合もあるでしょう。他にも「とにかく明るい」「話題豊富」「穏やか」「落ち着く」などなど、自分にできること・得意なことで、合う人・仕事に選ばれればいいと思います。


さて、観劇が趣味なわたしは今年もたくさん観に行きたいのですが、1,000円ほどカンパしてくれる人を募集したら、どれぐらい集められるでしょうか。笑 (※冗談ですw)

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