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くびれの仕組みと美意識のちぐはぐ

「どうしたらくびれが出来ますか?」という質問を頻繁にいただきます。

私はいつも、具体的な答えと共に「くびれが欲しい」という価値観の疑問点について触れるようにしています。

今日の記事は、「くびれは作れるけど、そもそもあなたの身体はくびれがあった方がいい身体なの?」という問いかけです。


◆くびれの仕組み

痩せたらくびれが出来るというイメージが広まっていますが、実際は、痩せても出来るとは限りません。脂肪の量が決定打になる訳ではないからです。

骨格によって出来やすい人、出来にくい人がいます。

くびれの仕組みはこんな感じ。

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肋骨と骨盤の隙間にできます。ここが凹むことで、皆が欲しがるあのカーブが出来るんです。

この隙間が長い骨格の持ち主は、くびれが出来やすいタイプ。

また、胴体の長さだけでなく、生まれつき肩幅や骨盤が広い人も、肩〜腰〜お尻にかけて凹凸がつきやすいので、くびれが出来やすいタイプです。

肩幅が狭かったり、骨盤が狭い人たちは、筋肉をつけて、ボンキュッボンの『ボン』を強調することで、キュッがなくてもカーブをつくることができます。

巷のフィットネスクラブやトレーナーが注力するのはこの点で、このボンッを強調するために、肩の筋肉をつけたり、お尻の筋肉をつけたり、姿勢を直すことに焦点を当てた指導をするんです。

くびれの注目度とは裏腹に、この仕組みはあまり知られていなくて「痩せれば勝手に出てくるもんだ」という勘違いが多いんですよね。


◆結局は服とポーズで決まる

私はこの肋骨と骨盤の隙間が指3本ほどしかなく、骨盤も横に広いわけではないので、くびれは出来にくいタイプです。

無理して作ろうとすれば、たぶんゾンビみたいにガリガリのゲソゲソにしつつ、お尻だけはふっくらを目指さないといけない。

そしたら、おっぱいはどこへゆく?

ゾンビな身体だけど心だけはハッピー!なんてはずもないので、私は体型でくびれを作るのは諦めてます。無理に追ったって得るものより失うもののほうが多いから。

そのかわり、肩やお尻に目線がいくような服や立ち方を学びました。例えばこんな感じ。

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ウェストの締まった服と、ダボダボパンツのコンボ。服のラインは肩からヘソにかけてシュン!と伸びてるので、逆三角が強調されます。

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肋骨の下まであるハイライズのタイツと、肩幅が強調されるクロップトップのコンボ。さらに片足に体重をかけることで右側のカーブ(くびれもどき)が出来ます。

左の胴体のところみると真っ直ぐストンと落ちてるでしょ?でもぱっと見、そこには注意が行かないでしょ?

そう、服やポーズでどうにかなっちゃうんです。

くびれを強調しているモデルさんも、よくよく見てみると服やポーズでどうにかしている場面をよく見かけます。プロでもやる技。
(次インスタでいい写真見つけたら観察してみてください。価値観ガラリと変わるから...!)

だから、身体に合ってないと思ったら、潔く諦めちゃって大丈夫。あなたにはその他に合った方法がある。くびれ作りに執着する必要ないんです。


◆くびれは無い方が身体にはいい

肋骨と骨盤の隙間にある硬い組織は背骨のみ。地震のように揺れたら真っ先に腰から折れてしまう骨格をしています。

重たい上半身を支えるためにも、その隙間を筋肉で埋めるように進化したのがヒトの身体です。

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くびれを無理して作ろうとすれば、支える筋肉が弱くなるので腰痛に繋がります。

アスリートを見るとよく分かりますが、身体を健康に丈夫にしようとするとくびれは無くなり、寸胴になります。

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(Athlete by Howard Schatz (HarperColllins))

動くために進化したヒトにとって、くびれは無い方が身体にとっては理にかなっているんです。

くびれがあった方が美人だという美の基準の方が後から来ました。たった100年くらい前の話。


◆その価値観、どこから来た?

『くびれがある人は美しい』って誰が言い出したか、考えたことはありますか?

そもそも、私たちはどうして『くびれが美しい』と思うのでしょう?

「そんなこと、考えたことなかった...」と思うかもしれません。私も、痩せることに必死だった時は、理由なんて考える暇もないほど痩身に必死になっていました。

私たちは、自分の価値観がどこから来たかもよく分からないまま、なんとなくその美意識に流されて、運動や食事制限を始めます。たくさんのお金や時間をかけて手にしようとする人もいます。

数年に1度は変わる身体の流行...。

どこの誰だかが決めた美の基準に振り回されて、自分の身体に合わない理想像を追い回した先に、何を得るでしょうか?


◆自分に合わない理想

自分の身体に合ってない理想を追ってもいいことはありません。

まず、理想に到達するまで人一倍時間がかかります。スタート位置より後ろからスタートするから。ハンデ持ちのスタートです。

そのうえ、生物学的に届くことのできない理想を求めていると、どれだけ努力しても満足できない『努力沼』にハマります。

極端な(でも本当によくある!)例は、こういう風になりたいって思う人で、海外セレブの名前を挙げるパターン。骨格が違うからいくら運動頑張ったって届かないのに、目指すはテイラー・スウィフトだったりする。

何代ご先祖様を遡って遺伝子を組み替えなければいけないのか...。

仮にいろいろな荒波をすり抜けて、理想に到達できたとしても、維持が大変なうえに心身の健康を害するようになるでしょう。

数々のセレブが告白している摂食障害の経験からも、その大変さが伺えます。

終わりのない苦労に、幸せとは程遠い生活を送ることになるのがオチではないでしょうか。

憧れの人の身体が羨ましいからって、その人みたいになろうとしたところで、幸せにはなりません。いつも今の自分じゃない誰かになろうとしてたら、そんなの、自分の人生なのに自分が主人公じゃない人生です。

そんな届かぬ理想を追いかける苦しい生活、あと何年続けるんだろう?


◆くびれに執着することない

今の美の基準にハマる身体を手にして生まれるその自信に、どれほどの価値があるでしょうか。

また10年後、流行が変わった頃には揺らいでしまうような自信なのではないでしょうか。

くびれが無くてもキラキラしてる人は世の中にたくさんいます。

誰かが作った「くびれは美しい」という基準に振り回され、深く考えることなく他人のくびれに憧れていませんか?

くびれがないと自分には魅力がないと勘違いして、自分の軸を見失っていませんか?

先ほど説明をしたように、くびれ体質でない人にもできる方法はいくらでもあります。でも、身体に合ってない理想を追い求めてまで、一体誰になろうとしてるんでしょう?

くびれが出来なくて悩んでる人に必要なのは、新しいエクササイズや食事改善ではなく、『自分じゃない誰か』になるのをやめることかもしれません。

誰かみたいな自分より、誰にもなれない自分になる。

あなたがなりたいと思ってるキラキラしたあの人は、他の誰かになろうとしたから輝いてる訳じゃないと思うんです。

人それぞれ、キラキラする生き方・身体・考え方は異なります。自分の方法を見つけようとした方が、ずっと人生のためになる努力だと思います。

くびれがあっても無くても、自分の人生を生きている人は輝いているし、美しいし、魅力的です。なにより、一緒にいる人は、あなたがあなたらしくいる方が楽しいよ。

足痩せ!腕痩せ!くびれが出来る!といった分かりやすいメッセージが飛び交うこの情報社会で、地に足をつけて「でも私は何でなんでその部分に執着するようになったんだろう?」って質問できる視野を育てて欲しいなぁ。

以上、「どうしたらくびれが出来ますか?」に対する私の回答でした。


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