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#翻訳 今どきの労働力はフリーランスである――都市は準備すべきだ

フリーランスの増加に備えて、自治体は受け入れ準備をすべきだという記事が
Fast Comapnyに載っていました。

アマゾン支社(HQ2)の誘致で経済効果を狙うのではなく、起業家育成やフリーランス受け入れの仕組みを整えることが、これからの時代に必要とされているのだ、というのは同意。

今年の2月にHQ2の建設が中止になっているので、なおさらこれから必要とされているのは規模の経済を生む大企業ではなく、スモールビジネスをさせられる街なのだ、という気がしてくる。(記事は2018年6月)

私の住んでいる台東区ももともとものづくりの街だったのですが、フリーランス支援で減税措置とかやってくれないかなぁ。。。

原文:The modern workforce is freelance–cities should get ready
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今どきの労働力はフリーランスである―都市は準備すべきだ

2027年までにアメリカの人口の半分はフリーランスになるだろう。もし都市そのことを重視し、個人事業主とスタートアップを誘致することは、突然にもっと大事になるだろう。言ってしまえば、アマゾンの気を引くことなんかより。

昨年、北アメリカ中の238の市が、約束された5万の高給な求人と50万ドルの投資に刺激され、アマゾンの次の支社の候補地として申請した。2018年1月、テックジャイアントは候補地を20に絞り込んだ。

会社の気を引くことを意図したいくつかの奇妙な施策があるが――ストーンクレスト、ジョージアはアマゾンに名前の変更権利を提案したし、ジョージアとカルガリー、アルバータはHQ2を巡って熾烈な戦いなるだろうとツイートした――申請した都市は、その決断について、本当にアマゾンにアピールすることに価値があったのか自己反省が必要となった。

アマゾンがまだ見ぬHQ2の受け入れ都市に欲しかったのはこれらだった。地下鉄駅周辺エリアに100万人以上の人口、安定したビジネス環境、主要な高速道路や幹線道路との近接、主要交通網と空港への便の良さ。

HQ2調査の息もつけない入札戦争は、この要求は、実際特異なものではないという事実を隠した。事実として、これらの基準のほとんどは、ある外部企業を誘致するためではなく、そこに存在する労働力により良い支援をし、より小さくて多様な企業、アマゾンのうな派手なアピールを持っていないかもしれないが同じくらいインパクトのあるセクターをけん引するために、都市が満たすべく努力すべき事柄だ。

例えば、都市はHQ2への入札にささげたのと同じエネルギーを強力なフリーランス労働力とスタートアップコミュニティにフォーカスすることもできた。US中に、およそ5300万人のフリーランスがいる――1社に社員として雇用されるというより、契約ベースで複数の仕事を持つような人だ。彼らは労働力全体のうち36%を占め、まとめるとおよそ1.4兆ドルの米経済効果がある。フリーランスのプラットフォーム、Upworkに委託された調査によると、この傾向がこのまま続けば、2027年までにアメリカ人のマジョリティはフリーランスになる。

「私たちのフリーランスネットワークに、住む場所を決める時に重要な要素は何か聞きました。」UpworkのCEO、ステファン カスリエルは言う。「第一位は、弁護士や会計士のような、自分のフリーランスとしての事業の運営を助けてくれるビジネスの専門家との強いネットワークです――フリーランサーは自分自身でスタートアップをやっているようなものですから。」そしてこれらのすぐ後ろにあるのは、他の似たような専門家たちとのローカルコミュニティだ。「フリーランスの受け入れ限界が多くなれば、彼ら全員がより生産的になる。」と彼は加える。

都市はこれらのニーズを聞くべきだし、いくつかの都市はもうやっている。昨年の秋、サンフランシスコは「フリーランスのためのギグエコノミースターターキット」を発表した。それには、無料のオンラインコースや、契約ベースで働く人のための税金・キャリアプランや、専門家とのネットワークに関するヒントがのったガイドが含まれている。昨年にはニューヨークも、40万人の地元のフリーランサーを保護するfirst-of-its-kind lawを制定した。そこには合計で800ドル以上の契約を強制し、支払い要件をより厳しくすることなどが含まれる。新しい法の下では、フリーランサーは市の労働基準局を通して法律に関して相談する権利が与えられている。

これらは素晴らしい前進だが、都市にはもっとできることがある。ユニバーサルベーシックインカムがフリーランスやスタートアップの起業家をサポートできるかもしれない、というような戦略を構想したり、またはそこに住みたい人が住めるような家賃を保証した住居プログラムを構築したり。

これらの考えは、フリーランスのための強固なポリシーの枠組みを作るために、ニューヨークやサンフランシスコでローンチされたような構想と融合させることもできるだろう。しかし独立した労働者がさらに必要なものは、安定していて参加しやすい地元のコミュニティだ。「これは都市にとって合理的で簡単なことだ」とカスリエルはいう。「イベントを運営したり、アクセスのよいところにフリーWifi付きのコワーキングを提供したり、考えられることはたくさんある。」フリーランサーのネットワーキングイベントを通じて、都市は弁護士や会計士のような専門家と彼らのサービスを使えるワーカーをつなぐことができるし、フリーランスが集まって利用できるスペースを作ることで、個人で働くものに欠けがちな、ノウハウをシェアしたり、コミュニティをを作ることができる。

VRの設計工程の仕事をしている、熟練した建築家であるブラッド・マーティンは現在フリーランサーとしてセントルイスで働いている。アマゾンはこの都市を、今年の1月に候補地を20に絞る時に置き去りにした。巨大なテック企業にとって必要な求人を満たす人材パイプラインや労働力が足りないという理由からだ。これは正しいのかもしれない。なぜならセントルイスは圧倒的に製造業の街で、労働力の礎をゆっくり再構築している。ただし、この変革の大部分は、T-Rex(マーチンもここで働いている)を含んだスタートアップとフリーランスを誘致することにフォーカスしている。過去数年間、セントルイスはたくさんの育成支援の仕組みを構築した。そしていくつかのスタートアップ向けのコンペを実施し、州と地元の起業家から後押しを得て、ベンチャー基金も設立した。彼らはArch Grantsという、セントルイスにあるアーリーステージのスタートアップへの出資に特化した団体も設立した、それは次々に1500の雇用を創出した。
マーチンは今年Arch grantに応募し、メンターリングの機会の権利を得たし、ネットワークからのさらなる投資契約の機会を得た。

セントルイスの、アーリーステージのスタートアップ及び個人事業主を誘致した事と、古くて使われていない製造業のビルを入居可能なコワーキングスペースに変換したつぎはぎのアプローチは、都市が、一枚岩のビジネスに依存するのではなく、ビジネスカルチャーを多様化するための主導権を握れるようにするという戦略である。そしてこの、都市にフリーランスとスタートアップが根を下ろすことをより簡単にするという戦略はまだ比較的有効である。

カンザスシティは、アマゾンのファイナリストに残らなかった他のメトロエリアだが、似たような状況にある。セントルイスのように、スタートアップアクセラレータープログラムとコワーキングスペースを二倍にしているが、アマゾンへの入札はまた、地元大学生と高校生のために技術教育のインターンシップのリソースが必要であると都市を目覚めさせた。「私たちは資格認定やエクスターンシップ(訳注:大学生に対するキャリア教育の一環として行われる短期就業体験プログラムのこと)とビジネスとのパートナーシップを通じて、子どもたちに現実世界のスキルを提供する目に、どのようにキャリアパスを作れるか考えたい。」とラリー・ジェイコブ、起業家育成を重視する地元の非営利団体で、カンザスシティのアマゾンへの入札を支援したカウフマン財団のVPは言う。これらの機会提供にを通じ、カンザスシティが地元の若者たちが都市を基金として利用し自分の会社を作ることを有期づけけることによって、技術人材がサンフランシスコやニューヨークのようなビジネスハブへ流出するのをとどめるだろう。

このようなタイプのプログラムを体験した若者がフリーランスになったり自分で小さい会社を始める可能性は高い。そしてこの現実はは、一周回って、都市がより積極的に個人で働く労働者のためのネットワーク支援に投資を始める必要性に戻る。疑いようもなく最終的にAmazonのHQ2の入札に勝った都市は経済的に利益を得るが、一方で、競争に刺激されたものが、現代の労働力をどう支援するかよりクリエイティブに考えれば、素早く興味深く迅速に変化している経済の風景に適合できるようになるだろう。