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#翻訳 "Lift Off"ハーバード大学院教育学部の卒業式のスピーチ(2016年)

(Header画像は、ドノヴァン氏のTwitterより)
3年も前ですが、ハーバード大学院教育の卒業式でのドノヴァン・リヴィングストン氏(Donovan Livingston)スピーチが面白いです。


メタファーが多かったので、解釈に苦労したけれど、たくさんの意味を含むスピーチなので、調べるたびに驚きがあり楽しみました。

読んでから動画を見ましたが、予想外にパワフルでフリースタイルのラップを聞いているみたいな感じ。聞いていると未来がぱっと明るくなるスピーチに圧倒されました。

参考:"Lift Off!" 全米の話題をさらったハーバード大学院教育課程卒業生代表スピーチ
原文:https://www.gse.harvard.edu/news/16/05/lift

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飛び立て

「教育とは、どのような人の生い立ちをも超えて、人々の境遇を等しくするものだ」
―ホラス・マン(Horace Mann)、1848年発表。

この詩が発表された時代、私は読むことができませんでした。書くことも。
そうしようとするいかなる試みも、死罰に値していました。
何世代もたってから、私たちは知識の果てしない力を知りました。
しかしまだなぜか、私たちは鍵の持ち主―情報の監視者に対して、一度も疑問を持ってきませんでした。

残念なことに、私は現実がどんどん分割統治※されるのを見てきました。
―許しがたい計算ミスもありました。

※分割統治法(divide and conquer) = 大きな問題を小さな問題に分割し、小さな問題を解決することで問題を解決する方法

ある意味、教室と農園の違いは時間の経過だけです。
自分たちが割り当てられているような気持ちを何回味わわないといけないのでしょうか―新しい言葉の中の証拠のように?
"ダイバーシティ","インクルージョン"※
自分が一人だけの存在のように感じる日々があります―破られた約束でできたいばらの茂みの中の、唯一のつぼみのように。
それでも、私はいつも不公正の中の茨であり続けています。

※インクルージョン=多様な価値観を尊重する姿勢のこと。
参考 https://www.kaonavi.jp/dictionary/inclusion/

規律を乱したり、おしゃべりしたり、注意散漫だったり。
私の意識の制約を超越する情熱をもって
あなたのカリキュラムを超えて、あなたの普通を超えて、
私は、内に革命の血を受け継ぎながら、愛と痛みの表出としてここに立っています。
私はポプラの樹についた、熟しすぎた奇妙な果実です。※
私は人の形をしたDream Actであり、Dream Deferredです。※
私は運動です―アメリカが忘れたかったであろう記憶の合成物です。
私の過去だけが私をそこにじっと座っていることを許さないでしょう。
私の体は、心と同様に
誰かに抑えつけられることはできないのです。

※ビリー・ホリデイの歌を引用しており、リンチにより木に吊られた黒人のことを表す。
※Dream Act不法移民でも真面目な若者にはアメリカ居住権を与えようという趣旨の法案。
※Dream Diferredはラングストン・ヒューズの詩

教育者というものは、私たちの鎖がカチャカチャいう音の上で、自分の意見を大きな声で叫ぶというよりは、
彼らを自由にするものです。私たちの鎖をはずすものです。
貧困と権威、また政治と無関心の重しによって前へ進めなくなっているものを開放するものです。

私が7年生だった時、パーカー先生は言いました。
「ドノヴァン、私たちは、あなたがあなたの有り余る力をうまく使うことができますよ。」
そして彼女は私に自分の声の響きを教えてくれました。
私に舞台を、発表の場をくれました。
私たちの物語は、星に簡単にさわれるようにしてくれるはしごだとも教えてくれました。
だから、はしごを登って、星をつかみましょう。
登り続けて、星をつかみましょう。
あなたの感情を北斗七星ですくって、魂に注ぎましょう。
あなたの輝く魅力で世界を照らしましょう。

教育とは、ガリレオ的な忍耐を必要とします。
今日、私が生徒たちの目を見ると、見えるのは星のあつまりです。
もしあなたが、点を線につなげることに時間をかければ、
あなたは、彼らの天性の才能―最も暗い時でも光輝くきら星―をつなげて、正しい星座を描くことができます。

生徒一人一人の目を見ると、オリオン座のベルトに並ぶ星や、ギザのピラミッドと同じ明るさが見えます。
ハリエット※を自由へ導いたのと同じきらめきが見えます。
彼らの仮面と茶めっ気の下に、標準化された評価に奴隷のように従っていることに対する、
本物のフラストレーションが存在しているのが見えます。

※ハリエット・タブマン:奴隷解放運動家

核となるのは、誰もありふれた存在として生まれてこなかったということです。
私たちは彗星になるために誕生しました。あらゆるものに突っ込んでは自分たちの印を残しながら、
宇宙と時間をまたいでびゅんと飛んでいくために。
クレーターは、ここで何か素敵なこと―世界を揺るがす信じられない衝撃―が起こったことの消えない証拠です。
私たちは次の流れ星を探している天文学者ではないでしょう?
私は、苦労が望遠鏡へ変わるように、教えたことがスペースロケットへ変わるという希望をもって教えています。
子供たちが、自分たちの秘めた可能性に、ただそこに立っているだけで知ることができるように。
不公正は、彼らを取り巻く夜闇のことを知らせず、彼らは星だと伝えています。
不公正は、自分がロックを変え続けているにもかかわらず、教育が鍵だと伝えています。

教育は、等しくするためのものではありません
―むしろ、アメリカンドリームを見させる眠りです。
だから、目を覚ましましょう―起きて!
子供の壊れた空の中にあるすべての穴を埋められるまで声を張り上げてください。
全ての子供を起こして、彼らの素晴らしいポテンシャルを知らせましょう。
私はとても長すぎる間、教室の中のブラックホールであり続けてきました。
自分の光を放出することも許さず、全てを吸い尽くしてきました。
しかし、それらの日々は終わりました。私は星です。
あなたも、彼らも。
一緒に、来るべき世代のために、私たちは銀河の数ほどの素敵なことを成し遂げられます。
空は限界などではありません。空は宇宙へ向けての単なる始まりです。
飛び立ちましょう。