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「キルビル」はものすごくとんでもない映画だ

とんでもない物を観た。
妻が所用で実家に帰っていたのでプライムビデオを観ようと思い立った。妻がいると集中できないのだ。ちなみにその日は結婚記念日である。一緒になんかするのもいいけど、お互いに自分の好きなことをするのもいいんじゃないの。
何を観ようか。

1作目「ナックルガール」
主人公が頑張っている。見終わった後、何を見たか忘れた。

2作目「ハイキック・ガール!」
主人公は空手の黒帯なので回し蹴りや後ろ回し蹴りは流石!ストーリーは杜撰だけど、それが面白いという人もいるだろう。
空手の先生が学校で試客を一人づつ闘っては次々と倒していくのは「死亡遊戯」にヒントを得たのか。細かいところだが、倒れた相手の顔面に横から平拳を入れるなら頸動脈に手刀の方が何倍も効く。すごく気になった。

3作目「キルビルvol 1」
残酷な描写があるということで敬遠していたが、観てみようと何気なく思った。
オープニングからタランティーノのオタク感満載である。ゴージャスなB級映画だといえばいいのか。血は吹き飛び、日本刀で手足や首が切断されるが残酷だとは感じない。リアル感がないのだ。青葉屋での死闘はブルースリーの「怒りの鉄拳」で日本人武術家との対決を思い出してしまった。次々とやってくる殺し屋たち。なぜか武器は拳銃ではなく日本刀。
ほぼ皆殺しにしたユマサーマンがふすまを開けると庭は雪。ルーシーリューとの一騎打ち。演歌が流れる。

4作目「キルビルvol 2」
続編を急いで観る。前後編で4時間超えるのだが全く退屈しなかった。一番恐ろしかったのは手足を縛られたユマサーマンが棺に入れられて埋められる場面。埋められる寸前にビルの弟が言う。

「騒ぐな。騒いだらこの催涙スプレーを一缶使ってお前の目を潰す。ひどく苦しむ。それとも大人しく埋められるか、どちらか選べ」

棺に釘を打ち込み、穴に埋めて土をかぶせていく。画面は真っ暗。閉所恐怖症で暗所恐怖症の私は見ているだけで苦しくなる。

不死身の女も万事休すか。

だが、彼女は脱出する。
深夜カフェに向かって砂ぼこりを立てながらサーマンがこちらにやって来る。店員はその異様な光景にギョッとする。店に入り腰掛けた砂まみれの女は「悪いけど水一杯くれない?」

ここでアメリカの観客は大爆笑だろう。

ストーリーはただの復讐劇なのだが、斬新である。テレビで「2001年宇宙の旅」を観た時の、すごいものを観たというあの感覚。
マンガで言えば赤塚不二夫の『レッツラゴン』。
衝撃的すぎて、ふとした瞬間に場面場面が脳裏に浮かぶ。
三島由紀夫が観たら絶賛するだろう。

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