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03 訪問リハビリの日常【私にしか出来ないこと】

訪問診療の医師にも訪問看護師にもできず、訪問リハビリスタッフだけができることがあると、私は思っています。
それはQOL(生活の質)を上げること
そして最高の笑顔を引き出すことだと思っています。

その方は自宅の庭が大好きでした。庭で過ごすのが何よりも幸せな時間、そんな方でした。しかし、難治性の病気を抱えてしまい、1年ほど入退院を繰り返していました。入退院を繰り返すうちに、体力は低下し、どんどん動けなくなり、ついに歩けなくなってしまい、ベッド上で過ごす日々になってしまいました。
どんどん病状も悪くなり、「最後は自宅で迎えたい。最期に自宅の庭がみたい。」と言う利用者様の強い希望により自宅退院されました。退院後は訪問診療、訪問看護が導入されることになりました。退院後1ヵ月ぐらいしたら奇跡的に状態は安定し、少しずつ動けるようになってきました。
そして「もう少し動けるように」と、訪問リハビリが導入されました。最初は寝たきりだったその方も、自分のことは自分でしたい、そして「いつかには庭へ出たい」と言う希望のもと、一生懸命がんばりました。そして、念願叶ってついに庭に出ることができました。庭に出たときの笑顔は今でも忘れられません。この笑顔を一緒に頑張ってきた訪問診療の医師や看護師に見てもらいたいと思い、利用者さんにお願いして写真を撮らしてもらい、その写真を訪問診療の医師や訪問看護師さんに見てもらいました。すると医師から「めっちゃ嬉しい!!素敵な笑顔ですね。この写真もらってもいいですか。」と言われたので、利用者さんにも許可をいただき先生に共有させていただきました。その時、気づきました。この笑顔をみることができるのは、訪問リハビリだけなのだと。
訪問診療の医師や訪問看護師は自宅内で利用者さんの状態を見ることはでますが、この方の「庭に出る」と言う思いを叶えるということができません。訪問リハビリならではの仕事だと思っています。私はこの笑顔を引き出すために、これからも訪問リハビリとしてスタッフとして頑張って仕事をしていきたいと思います。この方は次なる目標が出来たため、現在はその目標に向かって今もリハビリを頑張っています。

今日の一枚


【一言メモ】
「訪問診療」と「往診」の違いをご存知ですか。私は病院で働いている時には同じものと思っていました。実は違うんです!!

訪問診療:定期的かつ計画的に訪問するもの
往  診:患者様の急な体調不良等に対応して臨時的に行われる医療サービス

大原在宅診療所 ブログより引用

「通院が困難な方を自宅で医師に診てもらう」と言う点では一緒ですが、「訪問診療」では定期的に患者さんを診に行くことですが、体調が悪くなった場合などに予定外に患者さんから呼ばれた場合は「往診」と言います。
時折、利用者様から「昨日、先生の往診があってね。」と言われることがあるので、「体調でも悪くしたのかな?」と思って聞くと、利用者様が「訪問診療と往診」の違いを知らなかったと言う場合も多いです。

個人情報に配慮し、実際にあった内容をもとに、創作しています。そのため、内容はフィクションで登場人物も架空の人です。

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