【後編】思春期の息子への対応は?(精神科医みきぽんの人生相談室#4)

みなさん こんにちは
思春期の息子さんの言動に悩む母親からの悩み相談の後編をお届けします。


思春期の息子さんの言動は激しいことも多く、手におえないと感じることもあるでしょう。
息子さんと適切な距離をとり心の平穏を維持するために 思春期の心と体に何が起きているのかということを理知的に知っておくことがおすすめです。



【成長プロセスのアンバランスとは?】


人間の心身の成長はすべての器官が同じペースで進むわけではありません。
筋骨格系に比べると脳神経系は後から追いつくようにゆっくりと成長してきます。中学、高校生で体格は大人に近いが、話や行動が幼稚な状況というのはこの成長のアンバランスから生じてきます。

小学校高学年から中学生ころになると性ホルモンの分泌が旺盛になり、体に様々な変化が現れてきます。その影響により精神の衝動性や爆発性が高まりざわざわと心落ち着かない状態になります。
エンジンフル稼働、アクセル全開という感じですね。
この衝動性や爆発性を制御する役割を果たすのがのが大脳皮質の主に前頭葉になります。こちらがブレーキの役割を果たします。
ところが前頭葉は後から遅れてゆっくり成長してくるため、アクセルの暴走を止めることができません。このような成長のメカニズムのために思春期の暴言や激しい行動が生じてきます。
車にたとえますと、アクセルはすこし踏み込むと暴走するがブレーキは踏んでも効かない状態です。なかなかやっかいな状況ですね。

前頭葉は二十歳ころまでに成長してきますので(二十歳を超えても成長する可能性ももちろんあります)二十歳前後までには衝動性は落ち着いてくることが多いのです。
このことが、激しい台風もやがて必ず過ぎ去っていくといえる生理的根拠です。



【返らぬ日々への思い】


“かわいかったあの子がなぜ、、、、、″
という母親がもらす嘆きの言葉をいくどとなく耳にしてきました。
思春期の変貌はそれほまでにはげしいものなのだと思います。

個人的見解ではありますが、思春期の子供の変貌に驚き傷つく母親の心理は失恋した女性の心理に似ているとわたしは考えています。
乳児期、幼児期、学童前期と母親と子供の関係には特殊性があります。多くの場合、母親は子供にくびったけで子供はお母さんのことが大好きです。
「お母さんのことが世界で一番大好き!!」
「ママ 大好きだよ!!」
純粋でつぶらな瞳、最高の笑顔でまっすぐに飛び込んできてくれたいとおしいぬくもり、、、
結婚前の独身のころでさえ、あのようにストレートで熱い告白を受けたことはあったでしょうか?
学童前期までの子供と母親は多くの場合、相思相愛の関係です。
もう少し大きくなるとこの関係が変わっていく..と心のどこかで思いつつ心の準備をする余裕もなく月日がながれていきます。
・・・そしてある日いきなりの別離宣言をいいわたされることになるのです。

相談者のお母さんが昔のことを思い出して涙が流れることがあるといわれているのは、相思相愛であった頃の記憶が思い出され、返らぬ日々への思いで心がいっぱいになり切なくなってしまったのだと思われます。


やっかいな思春期ではありますが、嵐がすぎていくのをしのいでいくと必ず状況は変わってきます。
台風が過ぎ去り、穏やかに大人同士の会話ができるときがやってきます。
そうなるまでご自身をいたわりながらうまく切り抜けていってください。

相談者さんが心穏やかにすごせるようになることをおいのりしています。

お読みくださいまして誠にありがとうございました。












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