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イン ア モデルルーム/P-MODEL 音楽スタイルはテクノだが紛れもないロックミュージック

YMOでテクノにハマり、その後はいわゆるロックが聴けない耳と頭になってしまい、あれほど入れ込んだ洋楽ロックから足を洗う形になってしまった自分。人格形成期の中学〜高校〜専門学校に通うまでの7年ほど、嫌と言うほど聞きまくり、余暇のほとんどを洋楽ロックに費やしてきた日々。なのにテクノポップを聴くようになってから、従来のロックが耳から弾かれるような感覚に変わってしまった。

別にロックをキライになった訳じゃない。だけど何だか違う。この音、このリズムじゃない。その「なんか違う」感が頭や体の中でどんどん大きくなり、「ギュインギュイ〜ン」とうねるオールドウェイブのロックは聴けなくなってしまった。自分の音楽、と言う感覚から離れてしまったような気がした。


テクノポップはピコピコパコパコ、電子音のポップで音楽表現としては単純明快で変にひねった所がない。微妙な陰影とかを一切削ぎ落とし、必要最小限のみの音。

そしてこのP-MODELのデビューアルバム。メッセージもかなりストレートだ。テクノロジーに殺されていく現代人。子どもが子どもらしくいられない世の中に警鐘を鳴らす。それを最新のテクノロジーを駆使した電子楽器で表現する。この矛盾に満ちた音楽。でも奏でられる音楽は秀逸なのだ。

このショッキングピンクとイエローのジャケットの中のレコードは(初回限定プレスだったか)透き通ったピンクのレコード盤だったよ。このピンクのレコードを何回ターンテーブルに乗せた事か。

音の表現が削ぎ落とされた単純なものだからこそ、聴くものにストレートに響くその音楽。

みけ子はP-MODELのライブに1度行った事がある。狭いライブハウスでリーダーの平沢進とベースの秋山勝彦が手の届くような近さで演奏していた。その演奏の熱さはテクノのクールさとは全く違うものだった。アクションも激しかったし、その熱さはパンクかニューウェーブバンドのような若さと熱さだった。


ライブで面白かったのは「MOMO色トリック」の歌詞の中で「ユージさんにには分かるまい」としていたのをライブではストレートに「今野雄二にゃ分かるまい」と歌っていたこと。(ありゃりゃ💦)今野雄二って音楽評論家で映画評論家でもあった人だ(現在は故人)。下に示したYouTubeの「これがテクノポップだ!」の中でもはっきり「今野雄二にゃ分かるまい」と歌ってたね。ロキシーミュージックのライナーノーツも書いていたんではなかったか。↓このアルバムのライナーね。

テクノという表現手段を使いながら、音楽はロックそのものだった。テクノポップと言うその時の最新流行の音楽表現は「使えるからそれを選んだ」だけだったのかも知れない。その時に一番聴くものに響く表現手段はどんなものかと探っていたらテクノになったって感じ。

その当時「テクノ御三家」と言われたのは

P-  MODELE

PLASTICS

ヒカシュー


の3つのバンドだったかと思う。

プラスチックスも好きだった。ヴォーカルのチカの髪型やファッションを(ちょっとだけ)真似したこともあった。ポップでアートな雰囲気が最先端でファッショナブルだった。メンバーはミュージシャンも居るにはいたがコピーライターとかスタイリストとか、あの当時輝いていた横文字職業の人たちで。10代後半の自分にはおしゃれな都会の香りを漂わせる、憧れの人たちだった。

ヴォーカルのチカもカッコよくて手本にしたい人だったけど、PLASTICSの中では立花ハジメが存在としてすごく大きかった覚えがあるよ。「立花ハジメ」って名前の字面から見ただけでもカッコいい❗️(そう思うの私だけかな?)本職はグラフィックデザイナーらしいけど。

テクノ御三家の中では、自分はヒカシューだけはまともに聞いた事がない。ヒカシューって言えばTOTOのコマーシャルの歌だよね。

↑この曲はTOTOのコマーシャルの曲ではないけれど、みけ子が知っている唯一のヒカシューの曲。

戸川純がブリブリの衣装を着て「お尻だって洗ってほしい」ってウォシュレットのCM。トイレのシャワーでお尻を洗うの???そんな商品はかつてなかったし正に衝撃的だった。ヒカシューの歌のCMは戸川純が出ていない最初期のバージョンだったかな?探したけど見つからなかった。

おトイレした後 
キレイにお尻を洗ってさ 
気持ちいいなぁ〜♬

とヴォーカルの巻上光一が独特の特徴的な(ちょっと気持ちの悪い)声で歌っていたのを思い出す。

ヒカシューはファッションも古臭い感じがして好きになれなかった。赤いジャケットに白のボトムと帽子。まるで昔の東京オリンピックの日本のユニフォームじゃない。ダサさをわざと前面に押し出したファッションだったのかも知れないけど、自分にはその見た目のダサさでもう聴く気がしなくなっちゃったわ。ちゃんと聞いていたらまた違った認識になっていたかもしれないが。いや、でもやっぱり好きにはならなかったろうな。

テクノポップはピコピコ電子音、電子楽器を中心にした音楽だったから、削ぎ落とされた単純さで初めて聞いた時のインパクトは大きかった。だけれど、その単純さが表現を限定してしまったというか何なのか。割合、音楽として飽きられるのも早かったような気がする。

ただこの「In A Model Room」はただの時流に乗った音楽スタイルをなぞっただけではないのだ。今でも改めて聴く価値のあるアルバムだと思う。

あの透き通ったピンク色のキレイなレコード、実家から独立して一人暮らしを始めた時にそのまま置いてきてしまったが、今考えると非常にもったいなかったと思う。



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