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人は他人をカテゴリーで見る

先日行われた「超RIZIN」という格闘技の大会において、2つの残念なことがありました。

一つは外国人選手に花束を贈呈する際、贈呈の権利を得た方が花束を床に投げ捨てたこと。

もう一つは大会終了後の会場にゴミが大量に捨てられていたことです。

格闘技ファンでない方からしても、自分の推しの現場でこのような事件が起きる可能性はあります。他人事として捉えていてはいけません。

ファンとして、どうすればこのような事件を防げるでしょうか?

これらの事件を学びに変換し、推し活はもちろん、仕事にも活きる糧とするべく考察していきましょう。

人は他人をカテゴリーで見る

これらの事件で嫌悪感を覚えた方も多いとは思います。そこでお聞きしますが、嫌悪感を覚えた対象は何でしたか?

恐らく特定の個人ではなく、カテゴリーではないでしょうか。

事件を起こした本人だと答えた方もいらっしゃるかと思いますが、例えば花束投げ捨て事件を受けて、事件を起こした本人が所属している政党に対する印象はどうでしょうか?その政党に所属する他の人に対して、嫌悪感まではいかずとも、多少の警戒心は持つようになったのではないかと思います。

もしそうであれば、自覚していなかっただけで事件を起こした本人を個人としてではなくカテゴリーとして捉えていたと考えられます。

社会心理学の観点から見ても、人間には以下の特徴があるようです。

ある外集団のある成員の特徴を、ほかの成員も共通して持っているように見てしまうのである。たとえば、アフリカ系アメリカ人のアスリートがスポーツ競技で活躍するのを見ると、同じ人種の人たちはみな身体的能力が高いと思うかもしれない。けれども、そうではない人もいるはずだ。海外の人からは、日本人はしばしば礼儀正しいイメージで描写されるが、そうではない人もいるのと同じである。このように、外集団の成員をみな同じように見ることが、その集団成員に対する「ステレオタイプ」を形成させてしまう可能性がある。

田中知恵.「印象」の心理学 認知バイアスが人の判断をゆがませる(pp.166).株式会社日本実業出版社.Kindle版.

思い返してみれば、僕たちは学生時代に集団行動や連帯責任という形で、このことを幾度となく教えられています。

中学~高校では多くの学校に制服がありますし、いじめが起きるとクラス全員で怒られる。今でこそ減ったかもしれませんが、部活のチームメイトが校則違反をするとチーム全員で丸坊主にさせられる、なんてことも頻繁に見られました。

学生時代は「そういうものだ」と何となく受け入れていたかもしれませんが、社会に出てから振り返ると社会の法則を繰り返し教え込んでくれていたようにも受け取れます。

人は何故他人をカテゴリーで見るか

では何故他人をカテゴリーで見てしまうのでしょうか?

先程ご紹介した『「印象」の心理学』という本の中に、以下のようなことが書いてあります。

わたしたちは日常のなかで多くの人と出会う。そのため、相手がどういう人なのか、また相手に対してどう対応すればよいのか、すばやく判断する必要がある。(中略)他者を「カテゴリー化」することによってその人に対するシンプルな見方が可能になる。

田中知恵.「印象」の心理学 認知バイアスが人の判断をゆがませる(pp.165-166).株式会社日本実業出版社.Kindle版.

つまりカテゴリーで見るのは、少ない情報から短時間で相手の人物像を予測しなければならないからであり、合理的な判断なのです。

そもそも社会では、人を短時間で判断しなければならない場面ばかりです。

例えば企業の採用面接では、初対面の人が会社で活躍できそうな人間かどうかを履歴書や面接だけで判断しなければなりません。どれだけ時間を掛けたとしても他人の内面を完全に理解することはできない。ましてや紙っぺら1枚と1時間程度の会話でわかることなどたかが知れています。

となると、正確な判断は不可能だと割り切った上で、行動や言動を細部まで観察し、なるべく多くの相手の特徴(カテゴリー)を読み取り、それらを元になるべく確度の高い予測をするしかありません。そしてカテゴリー自体の良し悪しは、その人が今までに出会った人にどうしても依存してしまいます。

よく「マナーの悪いのは一部だけだ!」「全員がマナーの悪いと決めつけるのは良くない!」という意見を目にしますが、それは誰しも承知の上です。

悪意を持って主語を大きくし、感情的に批判している人もいるかもしれません。しかし忘れてはいけないのは、冷静に合理的に考ても、人は他人をカテゴリーで判断せざるを得ない・・・・・・・ということ。

そして、カテゴリーの社会的評価にはファンの印象が大いに影響します。以下の動画でも、第三者からの生の声が表れています。

つまり、『ファンの評価=推しの評価』となるのは避けられないことだと捉える必要があります。

積み上げてきた信用も、一度の不祥事で地に落ちる。社会は「如何に失点せず、地道に得点を積み重ねるか」という戦いなのです。

ルール・マナーの遵守はファンの最優先事項

以上のことから、推し目線で見た時にファンに求める最優先事項は、失点しないこと。いわばルール・マナーの遵守です。

一人のファンが推しに与えられる影響は、プラス方面ではどう頑張っても微々たるものですが、マイナス方面では底がありません。

権利と義務はセット。推し活ではどうしても自分が楽しむことを重視しがちですが、自分がファンを名乗ったりイベントに参加する権利とセットになっている義務を常に頭に置いておく必要があります。

ルール・マナーの遵守というとできて当然のような印象がありますが、案外そうではありません。

日常の風景を思い返してください。歩き煙草をする人、ゴミをポイ捨てする人、電車で足を広げて座る人、満席の喫茶店で荷物を座らせている人、目にしない日はないと思います。ルール・マナーの遵守ができない人、意識的にやらない人は少なくありません。

しかし推し活に勤しむファンは息を吸うようにできなければならない。そのためには、日ごろから考える癖をつけるのが第一歩です。

車の運転で道を曲がる際、「ルームミラー確認→サイドミラー確認→指示器で合図→目視確認」という手順で行います。教習所で習った直後は曲がろうとする度に頭がパンクしそうになりますが、何度も行っているうちに無意識にできるようになります。

ルール・マナーの遵守も同じで、何度も何度も考え、実行することで無意識に実行できるようになり、注意力や視野も広がります。

そして、何度もルール・マナーの遵守を修練するのにもモチベーションが必要です。推し活を起点として考えたとき、このモチベーションを生み出すのに必要なのは、推しに貢献したいという意思、いわば推しへの情熱と己の道徳心なのです。

まとめ

  • 人は他人をカテゴリーで判断せざるを得ない

    • 少ない情報から短時間で相手の人物像を予測する必要があるため

  • ファンの悪評=推しの悪評

  • 推し活の最優先事項はルール・マナーの順守

  • 推しへの情熱と己の道徳心を常に持ち、冷静に推し活に励むべき

さいごに

本記事ではファンが与えうるマイナス影響にフォーカスして話をしましたが、逆に考えればファンの力で推しの社会的評価を上げることも可能です。

推しの社会的評価を落としてしまう怖さを自覚しつつも、是非ポジティブに捉え、推しの社会的評価を上げるモチベーションに変換してもらえれば幸いです。

また、『推しへの情熱を稼ぐ力に変えるマガジン』では、

  1. 推し活を自己研鑽に活用し

  2. スキルを高めて収入を上げ

  3. 上がった収入を推し活に還元する

という好循環を作るべく考察・調査・試行錯誤した内容を整理し、皆様が経済的、精神的に豊かな推し活ライフを送るためのサポートとなる情報発信を行っています。

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それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。


イラスト制作:池田泰葉 様
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