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【詩】手を離すとき

しがみついていました
あなたに
あなたを想い続ける自分に
人は不思議なもので
しがみつく
その手の痛みに
気が付くことができません

でも
手を離すべきときがあるのです
それは
あなたへの想いが純粋ではなくなったとき

はじめは
純粋に
ただ
想い続けていました
溢れでる想いはただただ
あなたへ流れていき
あなたの元へ届いているはずなのに
何も返ってこず
いつしか“見返り”という
不純物が私の想いに紛れ込んでいました
私はここです
助けて
何か言って
混乱した私のSOSは
誰にも届かず
どんどん不純物が混ざって
想いが汚れていきました

汚れてしまった想いに
あなたは見向きもしません
まるで私なんか存在していないかのように
あなたは生きていて
それが耐えられません
私は死んでしまったのか
生きている価値もないのか
混乱が私の首を締めました

私はどんどん汚れた想いを
悴む手で握りしめていました
そして最後のSOSが届かなかったその時に
勇気をもって手を離しました
想いを純粋なものに戻すように
手を離しました

私はあなたの人生から潔く消えましょう
あなたの幸せを願う
一欠片の純粋な想いと
一緒に幸せになりたかったと願う
一欠片の不純物を残して
私は消えます

この涙がいつか不純物を洗い流したら
いつかまた純粋な想いをもつことが
できるでしょうか

あなたがいない世界で生きるのは
怖いです
それ以上にこの汚れてしまった想いを
あなたに流れていくのが怖いです

だから私は
この想いから手を離しました
そして
あなたのいない世界の片隅で
ひそやかに
生きていきます

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