色の饗宴2

色の饗宴|自然の愛撫

  自転車に乗って
  次々と流れていく自然は
  相変わらず沈黙している。

  それなのに
  色はより鮮やかに
  花の輪郭をくっきりと浮かび上がらせる。

  各々の花の微妙な色の違いや形のバリエーションは、
  私の性感を刺激する。

  全ての花は私。
  あなたに触れられる瞬間を待っている。

  全ての花はあなた。
  センシュアルで決然としたあなたの意志が隠れている。

  開ききった花は
  天に向かって蜜を滴らせる。

色の饗宴2


  蜂が花の中で蜜まみれになる。
  次に飛び立つ先を企みながら。

  蜂の行先は、さらに開いていく花。

  蜂は変化していく全ての瞬間の私の蜜を吸いに来る。

  私はそのたびに快楽に喜び溺れ、
  やがて萎れて地面に落ちる。

  私は大地というあなたの上で
  うごめく虫たちに食われ
  分解され腐敗し
  あなたとひとつになる。

  どうなってもひとつになるしかない運命。
  どんなに踏まれ、裏切られ、恥辱にまみれても
  私にはひとつになるという死が待っている。

  なんという幸運。

  冷たい風が頬に吹き付ける。
  太陽に焼かれた肌に心地よく。

色の饗宴

(Photo: ©MikaRin)





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