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見知らぬ人から優しさは巡る|MikaGoRock美加語録

【ちょっとおもしろかった日常の風景】

遅い時間の電車に乗った。

やや満員電車の中、斜め前に酔っ払って爆睡中の男子学生。隣の女性に完全にもたれかかっている状況。人々は冷たい眼で見てたな。。。

しばらくすると、「ガコン」と大きな音がした。

爆睡している学生が床にスマホを落とした!

私は反射的に拾ってしまったよ!
さて、どうする?

学生の右手はだらんと伸びていて、膝の上ではスマホは転げ落ちるし。左手はバッグをしっかりと握っているし。。。。

そこで、私はバッグを持っている左手の脇の間に思いっきりスマホを突っ込んだ。

一瞬、周りの人が息を呑んでびっくりした波を感じた。
たしかに誰も脇に思いっきり突き刺すとは予想してなかったのかも。。。。


しばらくすると、またガコンとスマホが落ちた。

すると隣の男性がすかさず拾って、学生の脇にスマホを突き刺した。
(おお、私もびっくりした!けっこうインパクトのある行動だとわかった。)


またしばらくすると、ガコン。すると他の女性が拾って、脇に突き刺す。

というのが、界隈でちょっとしたブームになり、コントのように何度も繰り返されていた。

そしてある停車駅で、学生はガバッと起きて、慌てて降りて行こうとした。もちろんスマホは椅子の上に忘れている。

すると隣の男性がスマホを拾って、学生をムンズと掴んで手渡した。寝ぼけていた学生は、びっくりしながら降りて行った。


残された車内の人々は、一様にほっとした。
なかには、「もう、ハラハラしちゃったよぉ」なんて会話も聞こえてきた。

優しさがゲームのように伝染していったことも面白かったけれど。。

一番感動したのは、その学生は、自分が寝ている間に、どれだけの人に優しくされていたのかを全く知らないこと。多分未来永劫、このことは知らないままだと思う。

それでも、と思う。

彼の意識は寝ていても、優しいエネルギーに包まれていたことは、身体が記憶しているのじゃないかと。そして、ある時、「ふと」彼は見知らぬ誰かに優しくするんじゃないかなと思う。

慌てて降りていく学生を見ながら、私もきっと子供の頃から、全く知らないうちに、周りの見知らぬ無数の人々に、こんな風に見守られていたに違いない。

と、無数の知らない人々に感謝が溢れた。

そして、私もその無数の一人になりたいなと思った。


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Photo: @MikaRin








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