大自然のなかで秩序をとりもどす|MikaGoRock美加
上高地は、いわゆる日本の山岳登山のハブになっているようなところだった。ここからは、The 登山のメッカ、奥穂高や、あの槍ヶ岳に行くことができる。
かつて6年間続けて、ヒマラヤ4000mの聖地で一カ月間すごしていた。その時に知らずに体に染みついていた山岳地帯の独特の香りを感じた。
大自然を前にするピリッとした謙虚さというものだ。
旧いロッジでは、人は自然にはかなわないことを知っている人々が働いているので、登山者への厳しいアドバイスと、疲れて帰ってきた人への労りと、サービスではなく、根本的な人への優しさがある。
のんびり過ごすはずが、上高地の美しさに圧倒されて、歩き回りプチ登山もした。途中ヘトヘトになって、引き返そうと思ったり。帰りは細心の注意を払ってがれ場を降りたり。平地に戻ったとたん、雪あられが降り出したり。
不思議なもので、山岳地帯へくると、自動的に不快の閾値が跳ね上がる。
どういうことかというと、不快だと思うことがなくなるということだ。
それは我慢強くなるということではなく、自然の厳しさには抵抗しても無駄なので、不快だと思うスイッチがなくなる、という方が近い。
寒ければ、「寒い~」と不快に思う時間の代わりに、すぐに暖かくなるようにする。足が疲れてきたら、「疲れた~」と思う時間の代わりに、細心の注意を足元に払う。「もう歩くの無理~」と思う時間のかわりに、歩くしかない。というとてもシンプルな生き方になる。
そんな状態で歩いていると、野生動物が近寄ってきたり、大自然のマジック空間にはまったりするのだ。
気が付いたのは、家に帰って日常に異変を感じてからだ。
日常が信じられないほどスムーズに流れていく。
今まで気が付かなかった日常の全ての側面が大自然の秩序に溶け込んでいるのだ。
日常という大自然の秩序。
扉はいつも空いている。
(photo: ©MikaRin)
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