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イマジナリーフレンドの部屋

子供の頃、想像上の友達はいませんでしたか?
私は自分で作りました。弟と二人で。
初めはままごとの様なものでしたが大きく広がっていきました。

私と弟は、現実と空想の区別が付かなくなるくらいその世界に没頭していきました。
現実が空想だったら幸せだと思っていたのです。

現実の世界はそれほどに苦しいものだったから。

イマジナリーフレンドとは?
幼児期〜児童期に子供達の心の中に住む、子供達が作った想像上の友達で「IF」とも言われます。

登場人物

私と弟で考えたイマジナリーフレンドたちを紹介しますね。
イマジナリーフレンドで遊ぶときは、イマジナリーフレンドが自分に憑依したかのようになってしまうのです。
私は自分なのか、イマジナリーフレンドなのか区別がつかなくなりそうになることがありました。
元々子供の頃から解離していたと思うので、別の人物が憑依することには何の抵抗もなかったです。

①ツトムくん 

弟のイマジナリーフレンド

あるファンシーショップに行った時、母が弟に買ってあげた便箋と封筒。黄色でビカビカしていてキャップをかぶった男の子が真ん中に大きく印刷されていました。男の子の上には「ツトムくん」と書かれていました。

弟は筆まめな方ではなかったですが、「ツトムくん」の便箋をいたく気に入り、歌まで作詞作曲しました。

ツトムくんは勉強など何でもできて強くてプロ野球選手という設定でした。

②ブリンキー 

弟のイマジナリーフレンドで心を持っている人形

ある時父は小さなコアラの人形を家に持って帰ってきました。同僚がオーストラリアに旅行へ行った様でそのお土産だった様です。弟はそのコアラを気に入り、名前をブリンキーとつけて可愛がりました。ブリンキーは神様の息子だそうです。

③うさこ 

弟のイマジナリーフレンドで心を持っている人形。持ち主はみかぽん

ブリンキーが家にきてから、もともと家にあった小さなうさぎの人形です。私たちはうさこと名前をつけて、うさことブリンキーは夫婦という事にしました。

④アンミツくん 

みかぽんのイマジナリーフレンド 性別は男性

弟「僕はツトムだけど、君はどうする?」と聞かれて、私も友達を作る事にしました。名前は適当につけましたが、男の人がいいなと思いました。優しくて、友達がいっぱいいて強くてなんでもできます。仕事は天才音楽家という設定でした。まあありがちですよね。

「男の人になりたい」と憧れていました。家では男性が優遇されていて、弟は明らかに私より楽をしていたと思います。みかぽんの実家や親戚は女性がたくさん働き、男性は早くから飲んだくれているのが当たり前の家でした。小さい頃から男尊女卑を強く感じていて、自分も優位な立場に立ちたかったという思いが現れていたのではと推測しています。

男性人格ゆうくんは本体(ゆきぽん)を守る役割を持っています。男性に生まれていれば、自分を守れたはずなのにという無力感もあったように感じています。

⑤ガンド 

みかぽんのイマジナリーフレンド

クリスマスの日に、ガンドくんが家にきました。当時あんまり英語を読めなかったけど、「god gad gand」と書いてありました。神様のガンド、という解釈を勝手につけて、ガンドはブリンキーの兄という事になりました。 

⑥父親をかたどった人物

ここに書いたら怒られそうな名前をつけていたので、書きませんが、現実の父親をより乱暴で醜悪で卑怯にした人物でした。

⑦母親をかたどった人物

これまたここに書いたら怒られそうな名前でしたので書けませんが、父親をかたどった人物同様現実の母親と比べてより気持ち悪く醜く卑怯にした人物でした。

想像上の世界の役割

ブリンキーは神様の子供という設定だったので、私たちはこのブリンキーを中心にした世界を「ブリンキーファミリー」という名前にしました。

最初はおままごとみたいなものでした。
親の前でもごっこ遊びのように行われていたと思います。

次第に登場人物が確固たる存在になってきました。憑依している時間も長くなり、想像上の世界が役割を果たし始めました。恐怖からの逃避です。

イマジナリーフレンドが真の役割を果たす様になってからは、親の前では行われず、隠れて行うようになりました。

想像上の世界で毒親を倒す

みかぽんの実家は毒親…虐待親でしたから、現実の生活は恐怖そのものでした。毎日親が帰るのは恐怖で、いない時間は幸せなのです。親がいなければ何も起きません。何も起きないことが幸せなのです。

親が買い物でいない時に、私たちは空想の中で登場人物⑥⑦である両親を象った敵を何度も懲らしめました。

自分たちの成功を見せつけ、どんなに助けを求められても無視し、攻撃には何倍もの力でやり返すのです。

そうして日頃の鬱憤を晴らしていました。

いつまでもいてはいけない?イマジナリーフレンドの世界

イマジナリーフレンドの世界。
そこは心地よい物でした。
でも、必要なくなったら、卒業していってしまうものだと思います。

 弟はある時、
「俺もうやらない」
と言いました。

弟は大人になったのかもしれません。

でも私は大人にはなれていなかったのです。

もしかしたら、頭の中に別の世界があることは恥ずかしいことなのかもしれない、と思いました。

それに弟がいなければ、イマジナリーフレンドとの遊びの世界はないのです。

もしかすると弟は、傷だらけの手で傷だらけの姉の心を癒すためにイマジナリーフレンドの世界を作ったのかもしれません。

弟は毒親の虐待とマルトリートメントにより、周りの人物を慰める「ケアテイカー(ACの一種)」やおどけて周りを笑わせる役割である「ピエロ(ACの一種)」を担っていました。
恐らく、かれはまだ傷ついたままで、トラウマの中に生きています。
弟が私を救おうと思ってもできなかったように、私が弟を救いたいと思っても救うことはできないでしょう。

私は、弟から生気を吸い取るだけ吸い取り、それでも足りなかったのです。
もしかすると弟は、限界を迎えていたのかもしれません。

本能に任せて吸い取ることしか行わない私は、当時イマジナリーフレンドを諦める方法が思いつかなかったので、想像の中で自分のイマジナリーフレンドを何度も自殺させました。

私はとても病んでいたのです。

遺書をパソコンで書いて、1人きりで雪山の中の小屋に入って死ぬところを想像しました。

恐らくうつ状態だったと思いますが、イマジナリーフレンドを自殺させる想像をしながら、私自身も自殺することにしたのです。

自殺未遂をした原因はイマジナリーフレンドの世界から出なければならなくなったことだけではありません。

当時の私は残念に思っているでしょうが、運良く私もイマジナリーフレンドも死にませんでした。

人格でないイマジナリーフレンドにも部屋がある

イマジナリーフレンドは、今も私の頭の中に存在しているのです。

人格さんたちが部屋を持っているように、アンミツくんも部屋を持っています。重厚な木の扉の奥に彼はいるのです。

彼はほの明るいぼんやりとした照明のついた部屋にゆったりとしたソファにかけて、本を読んだり、上質なコーヒーを飲んだり、たまにブランデーも飲んでたりします。

私は話を聞いてもらったり、一緒にコーヒーを頂いたりするのです。

アンミツくんの部屋を開けると、
「どうしたの?」
と心配してくれて、温かいココアを入れてくれることもあります。

疲れた時は頭の中のイマジナリーフレンドの部屋をノックするのです。

 私は今もアンミツくんというイマジナリーフレンドと共に生きています。

イマジナリーフレンドは頼りになる存在

 皆さんはイマジナリーフレンドはいましたか?

 私の様に虐待にあっていない普通の子供でもイマジナリーフレンドを持つことはおかしいことではないそうです。

私のイマジナリーフレンドは、今も私に落ち着きと穏やかさを与えてくれます。

 そのお子さんが大人になろうと成長するのを手助けしてくれるそうですよ。

(こちらの記事は、2020年3月5日にはてなブログであげた記事をリライトしたものです。現在リライトしながら記事を移管中です)

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