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優しい国育ち優しい人
寒い田舎。窮屈な村。
そうやって故郷を捉えた時点で私は負けていた。
すぐ側で優しさを見ると、悔しくて仕方がない。
思い付きもしない優しさを持っている事は才能なのだと思いたいような。
思いたくないような。
しかし、優しくなる努力とはおかしい気がする。
優しくしても優しくされないのならば
それはなんて辛く恥ずかしい事なのだろう。
あなたはそうやって思わないんでしょう。
優しい国育ち。優しい人
蚊に人権はあるのか。
「蚊に人権はあるのか。」
みんなはそわそわ話し出す。
私はずっとあなたを見ていた。
「ないと思う?」
みんなはざわざわ話し出す。
あなたはいつもと変わらない顔でそっと手を挙げた。
私はまたあなたの事が一つ知れて嬉しかった。