寒い田舎。窮屈な村。 そうやって故郷を捉えた時点で私は負けていた。 すぐ側で優しさを見ると、悔しくて仕方がない。 思い付きもしない優しさを持っている事は才能なのだと思いたいような。 思いたくないような。 しかし、優しくなる努力とはおかしい気がする。 優しくしても優しくされないのならば それはなんて辛く恥ずかしい事なのだろう。 あなたはそうやって思わないんでしょう。 優しい国育ち。優しい人。 私はそんな風に、今でもなりたい。
映画を観ていたけれど半分で飽きてしまった 昔は最後まで集中して観ていたのだろうか 思えばいつだって別の事を考えていた気がする 画面が明るく光った時は 消えた非常灯を見て あなたに会いたいとばかり思っていた あなたに会えた時は 天井の角を見て 家族に会いたいとばかり思っていた 家族に会えた時は 暗闇の照明を見て 神様に会いたいとばかり思っていた 神様に会えた時は 何を思うのだろうか いつまでも幸せで居たいと本当に思っていた
私が私を真っ直ぐに歩かせることは きっとそれに価値があると教えられたから 徐々に真っ直ぐ歩くことをやめた私は それはそれで。と割り切ることもなく 鉛を抱えたように矛盾を抱え それでも歩くことはやめていない 鉛は体の真ん中で浮いたり沈んだり 時には発泡スチロールのように軽くなったりした それでも確かに存在するので それに気を向けないように外を見ている あなたには分からないだろうと 睨み付けた瞳で あなたにはわかって欲しいと訴えている そんな事全てわかっている
ふと気がつき 自分の大きな影を見た 確かな自分はどこにも居ない 影をさわってもさわれないように 自分は自分をさわれない 私はひとりですらないのか。 散らばる自分をただ見ていた
2020.7.14 出来る事なら素敵な気持ちを大事にしたい。 自分を。自分の考えを大切にしたいと思いだしたのは1年ほど前からだろうか。 私は自分が嫌いで仕方なかったけれど、最近は少しだけ好きになった。 世の中そういう人をよく見るようになった。憧れるからだろうか。私もそうなりたい。 自分を大切にしたい。自分は酷い奴だと認めて、それでも愛していたい。何が悪いかも全部わかって、それでも良いと思えたら素敵だと思う。 私は悪いところばかりなのだろうか。私は自分が薄情で最低で自分
「蚊に人権はあるのか。」 みんなはそわそわ話し出す。 私はずっとあなたを見ていた。 「ないと思う？」 みんなはざわざわ話し出す。 あなたはいつもと変わらない顔でそっと手を挙げた。 私はまたあなたの事が一つ知れて嬉しかった。
