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”コスパがいい”漢方薬の飲み方。

「コスパ」と聞いてすぐに思い浮かぶイメージはなんですか?

 人によって様々だと思いますが、多くの方がイメージするのは「〇〇のわりには”安い”」ということではないでしょうか。

「美味しいのに安い」
「デザインがいいのに安い」etc…

 つまり、”支払った対価よりも満足度のほうが高い”と感じたとき、人は「コスパがいい」と言います。

 では、コスパよく漢方薬を飲む方法はあるのでしょうか?
 これは「ある」とも言えるし、「ない」とも言えます。

 というのは、漢方薬はもともとわりと高いものだからです。
 つまり「コスパ」を「値段」という側面だけで考えると、漢方薬はたいしてコスパよくありません。
 というか、悪いです。

 でも、「対価として”元気”になれる」という側面から考えると、漢方のコスパはそんなに悪くはないと思います。

 たとえば、

出かけた翌日はクタクタで動けない → 2日連続でも出かけられるようになった!
夕方になると横にならずにはいられない → 終日活動できるようになった!
体調がいいのは3日のうち1日だけ → ほぼ毎日そこそこの体調を維持できる!

 すべてわたしの経験ですが、ここ何年も(10年くらい?)「体がツラい」ことに慣れきっていたので、久しぶりに「体が軽い」と感じたときには、正直びっくりしました。

 もちろん、これらの”元気”を手に入れるためには、それ相応の対価が必要でした。でもおかげで、以前はできなかったことができるようになりました。外出やお買い物がとても楽しくなりました。家事もね。

 とはいえ、出費はできるだけ低く抑えたいもの。
 そこで今回は、費用を抑えつつ、最大限の効果を実感できる(=つまり”コスパがいい”)漢方薬の飲み方について考えてみたいと思います。

「体(心)がツラくてしょうがない」ときには思い切って煎じ薬を試してみる

「体(心)がツラい」というのは大変キツいものですが、漢方薬にとっては「効きやすい状態」であるともいえます。でも、漢方薬なら何を飲んでもいいというわけではありません。より効果を実感するための「コツ」があります。

 と、その前に。
 漢方薬の形態について説明しておきますね。
 漢方薬には次のような形態があります。

★粉薬(散剤):生薬を粉末にしたもの。即効性がある。
★丸剤:生薬を粉末にして丸く練り固めたもの。薬効が穏やかで持続性がある。
★煎じ薬:漢方薬の基本形。生薬を水から煮出して作る。
★エキス剤:煎じ薬・丸剤・散剤の成分を凝縮したもの。液状、乾燥顆粒、カプセル、錠剤など。保険が効くものが多い。
★OTC医薬品:一般薬局で購入できる。医師の処方箋は必要ない。

(参考文献:「東洋医学の教科書」ナツメ社)

 他にも塗り薬がありますが、今回は「飲む」ことを中心に考えるので省きます。

 で、この5つの中で一番薬効が高いのは「煎じ薬」です。
 しかも、漢方薬は体調が悪いときほど、その効果を実感しやすいという特徴があるので(薬はなんでもそうかもしれませんが)、「体(心)がツラくてしょうがない」というときには、煎じ薬を試してみるのがいいと思います(あくまで私見ですが)。一番、効果を実感できます。「鉄は熱いうちに打て」方式ですね。

 ただこれ、値段は高いです(!)。

 その上、煎じる手間がかかるので、慣れないうちは、結構面倒です…(病院によっては煎じるサービスを行っているところもありますが、薬代とは別途費用がかかります)。

 値段が高くて面倒なので、いいことなんてな~んにもないような気がしますが、薬効は一番ありますよ。

保険適用のエキス剤は「手軽で安価」!

 二つ目にご紹介するのは、保険適用の漢方薬(エキス剤)です。
 お医者さんの処方箋が必要なお薬ですが、保険適用なので、わりと安価で、かつ効果もあります(実はこれが最強の選択肢かも?)。

 現在、日本では、148種類の漢方薬が保険適用になっています。
 具体的には、葛根湯(かっこんとう)や五苓散(ごれいさん)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)などです。一度はお聞きになったことがあるのではないでしょうか?

 しかも、それだけではありません。
 エキス剤は手軽に飲むことができます

 煎じ薬のようにいちいち煎じる必要がないので、多忙な方、煎じるのが面倒な方にはうってつけです。

 ただし、デメリットもあります。

 それは、個々の症状に合わせたオーダーメイドの漢方薬を作れないことです。
 エキス剤はいわば「パッケージ商品」なので、生薬の量を加減できないんです。

 わたしも煎じ薬を飲むようになって初めて知ったのですが、漢方薬って、案外、生薬の量を足したり引いたりするものなんですね。症状によっては別の生薬を足すこともありますし…。

 エキス剤ではそういう「微調整」ができないんです。

 でも、その代わり――といってはなんですが、とっても手軽ですし、費用も安め。病気によっては西洋薬より安くすむ場合もあります。

もっと安くすませるにはOTC医薬品という手もあるが…

 もっともっと安く始めたいという方には――ドラッグストアなどで、お医者さんの処方箋なしに買えるOTC医薬品を買うという手があります。

 ですが。これは、うーん…、あまりオススメしません。

 理由は2つあります。

 一つ目は「自己判断で漢方薬を買う=お金のムダ(になることが多い)」から。
 別の記事でも書きましたが、中医学や漢方の知識がないままに漢方薬を買うのはオススメできません。それは目隠しをしたまま矢を射るようなものです。
 的外れなお薬をあれこれ買いこんで、「効かないよ~(泣)」と思うくらいなら、最初から、お医者さんや薬剤師さんに相談したほうがいいです。トータルコストが安くすみますし、万が一、思ったような効果が出なくても、その理由をたずねることができるからです。

 二つ目は「効果が弱い場合がある」から。
 OTC医薬品は安全性を第一に考えて作られています。
 つまり成分量が抑えめなんです。
 なので、安全は安全なのですが、薬効のほうは、その分弱くなっている場合があります。

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